穢之endC しんじる
穢之さんはそう言ったけど―――
「あはは……さすがに冗談ですよね」
と笑って信じていない感じにした。
しかしその話はあながち間違いではないのかもしれないと思う。
だってこの手にある伝説の珠がなによりの証拠だから。
「いくら田舎でも、やっぱり夜は危険だし、帰ったほうがいいんじゃない?」
“送るよ”と穢之さんが行動で示した。
「あ、そういえば厭紀さんに言わなくていいんですか?」
話中の両親はともかくいきなり穢之さんがいなくなったら心配するだろうし。
「そうだね。面倒だけど……」
穢之さんは中へいく。暫くして本殿とは別の窓際から厭紀さんが見えた。
「厭紀さん」
「静華!?なんでここにいるんだ?」
「えっと、たまたま来たんですけど、穢之さんが送ってくれるそうで……」
「え?」
厭紀さんがぽかりとしている。
「どうしたんですか?」
「あいつ今日ここに来てたのか?」
「はい、一緒に呼ばれたって聞きましたけど」
なんだか話が食い違っているみたいだ。
「ああ、お前には言ってなかったけど双子って昔の人は忌み子っていうだろ?」
「あ、はい」
「先に生まれたのは穢之で後に生まれたのは俺なんだけどさ、昔の基準で後から生まれた俺が兄ってことになったんだ」
「はあ……」
たしか双子の場合は弟妹が兄姉を守るために先に生まれる。たしかギリシャ神話のアポロンとアルテミスも先に産まれたのが妹のアルテミスってネットかなにかで記事を見たことがある。
「この村に伝わる双子逸話もあってさ、男二人だったから特に。
だから婆さんが穢之に女の格好をさせたんだ」
あ、昔男の子はよく病気になるから丈夫に育つように女の子の格好をさせるとか聞いた気がする。
でもこの場合は違う意味でなんだろう。
その伝承の双子がどういうものかはわからないが―――。
「あれ、でも穢之さんが呼ばれなかったのって?」
「よくわからないけど、俺が次の儀式でやるかららしい」
つまり穢之さんが呼ばれなかったというより村の偉い人が厭紀さんに用があったということか。
「……穢之さん来ませんね」
「ああ、じゃあ俺見てくる」
心配だし私も行こうかな――やっぱり待つことにした。
しばらく待っても、二人は現れなかった。もう時間が――帰らないとだよね。
後ろ髪をひかれながら、私は帰路につく。
――――――
翌日、厭紀さんと豈透さんに会えた。
「おかしいんだよな。昨日神社に行ったことは覚えてるのに、中身を忘れてんだ」
「都市伝説の類いか」
「あの、厭紀さん、穢之さんは?」
「誰だ?」
「え、やだなあ厭紀さんの双子の弟の……」
「なに言ってるんだ。俺は一人っ子だろ?」
「あれ、そうでしたっけ……」
私は何か大切な人を忘れていったような――――
【悲恋end・・忘却は死より辛いこと】




