第1章 SF編
これまで自分が読んだ小説の中で、ジャンル別にベスト10を選んでみました。
できるだけ同じ作家が重ならないようにしたつもりです。
その日の気分で微妙に順位は変わり、オールタイムベストとは言えませんが、執筆時点でのベスト10です。
異論がある方、ぜひ感想をお書きください。
まず最初のジャンルはSFです。
①「ハイペリオン+エンディミオン」シリーズ/ダン・シモンズ
②ニューロマンサー/ウイリアム・ギブソン
③高い城の男/フィリップ・K・ディック
④ウォッチャーズ/ディーン・R・クーンツ
⑤復活の日/小松左京
⑥ブラッド・ミュージック/グレッグ・ベア
⑦家畜人ヤプー/沼正三
⑧ライトニング/ディーン・R・クーンツ
⑨ブレイブ・ストーリー/宮部みゆき
⑩ソラリスの陽のもとに/スタニスワム・レム
番外編 海底2万里 ジュール・ベルヌ
①は文庫本で計八冊。質より量で1位ということにしました。シリーズ最後のタイムパラドックスを駆使したオチは秀逸。ただ読むのが少し退屈ではあります。
②は言わずと知れた本家本元サイバーパンク。これははずせないでしょう。
さて、③はディックの作品。ディックは好きな作家で何を選ぶか迷いました。世間一般に代表作は「電気羊はアンドロイトの夢をみるか」でしょうし、個人的には「ユービック」や「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」も好きな作品です。
晩年の大作「ヴァリス」は別のエッセーで言及したので、今回ははずすことにしました。
小説としての完成度という点では、③の「高い城の男」がディックの代表作でしょう。
④と⑧はモダンホラー作家、クーンツの作品。SFプロパーでない作家の作品が二つもランクイン。クーンツは最も好きな作家なので二つ選びました。これでもセーブした方です。
④はバイオテクノロジーで猿と犬を進化させた物語。⑧はラストでタイムマシンを使ったドンデン返しがあります。どちらもSFということでいいでしょう。
さて、⑤は国産SF。世界を舞台にした国際小説は英米にいくらでもありますが、地球(とりわけ南半球を含む)をまるごと舞台にした小説は、小松左京にしか書けないでしょう。
⑥は⑤と同様、バイオテクノロジーでとんでもない病原菌を作り出す話です。文庫本の帯は当初、サイバーパンク物として宣伝していました。今ではこの作品をサイバーパンクに分類する人はいないでしょうが、当時人気の②と同じくらい抜群に面白いSFであることは、まちがいありません。
⑦はもともとSMポルノ小説、⑨はファンタジー冒険ゲーム小説ということで、SFベスト10に選んだことを怒られそうですが、とにかく面白いことは請け合いです。
そこへ行くとポーランドの作家レムの⑩は古典的名作。誰にも怒られないでしょう。タルコフスキーが映画化もしています。
番外編の「海底2万里」ですが、私がはじめて読んだのが三十歳過ぎ。本来、子供向けの小説ですが、子供の頃は読む機会がありませんでした。
レイブラッド・ベリが雑誌のインタヴューで、この作品をオールタイムベストSFとしていたのをふと思い出し、文庫本を買って読んでみたところ、あまりにおもしろくて半日で読了しました。
SF黎明期の古い作品ですが、不朽の名作とはこのことでしょうか。
よろしければ「なろう」内の拙作SFもお読みください。
①ぼくはいまここにいる!
②Kの冒涜
③近未来ユートピア