決心
夜町さんも帰宅して、遂に僕は一人になった。
病院の先生が言うには数週間の入院が必要らしいが、僕の華麗な説得によって退院までの時間を一週間にしてもらった。
早く自分の部屋に戻って、色々と片付けたいと思ったのだ。単純に部屋の片づけもしたかったし、今までの自分とも決別がしたかった。
もう迷わない。外の世界に再び舞い降りるなら今が絶好の機会。これを逃す手はあるまい。
僕が決心した理由は色々とあるが、一番大きな点はやはり夜町さんだった。夜町さんの笑顔が見たいというシンプルな理由。それだけでも僕には充分すぎる理由だ。
それに綾里のことや菜々美のことも気になる。菜々美も綾里もこんな僕のことを心配してくれている。それが堪らなく嬉しいと感じるようになった。
少し前なら事実を知っても大した感情は抱くことは無かっただろう。ここまで人の感情に心を揺れ動かされるようになったのは夜町さんの影響が大きい。
皆への感謝を形にするために、僕は再び社会の波にもまれる。
挫けることなど数え上げればきりがないほどあるだろうが、夜町さんがいればなんとかなるだろう。完全に人任せだが、僕と夜町さんは二人で一つだみたいな感じでここはひとつ。
今は最後の引き籠り生活を存分に楽しませてもらおう。病室が個室なのは大変ありがたいな。
さようなら、今までの僕。新たな自分に期待しててくれ。
社会復帰レベルを獲得するための旅はこれからだ! なんて漫画みたいなことを想像してみたり。