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ヤンデレ彼女の社会復帰政策  作者: 羊羽 一
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引きこもり記念日

初めまして。羊羽一ひつじばねはじめと申します。読んで感想とかくれると嬉しいです。よろしくお願いします。

 突然だが、僕は今日で引きこもり歴が丸一年となった。


 全く持ってめでたいことではないのだろうが、節目は大切にしていきたい。僕が幼いころは誰かが誕生日を迎えるたびに盛大に祝っていたので、その影響が出ているのかもしれない。


 しかし丸一年かぁ・・・思い返しても思い出なんて何も無いなぁ。まあずっと家に居る以上は当然のことなのだろうけど。


 丸一年ともなると両親も半ば放置気味になってきて、実家暮らしなのに一人暮らしみたいでお得な感じがするね! どこどうお得なのか理論的な説明を要求されると口を噤んでしまいますが。

 もし引きこもり検定があったら三段くらいは取れちゃうかな。三段っていったら人に自慢しても大丈夫な感じ?


 しかし、僕は完全に引きこもっているわけではない。


 食事やトイレに行くときは億劫ながらもちゃんと外に出ている。まあトイレは部屋から六歩くらいの位置だし、食事も階段降りるだけなんですけどね。

 最近階段の上り下りすら疲れてしまう。ますます外に出て社会的な生活を送る自信が無くなっちゃうなぁ。 


 それに最近親が僕のことを見る目が哀れみに満ちている気がする。とりあえず気のせいということにして深く考えないようにしとこう。

 考えるとすぐに気分が暗くなってろくでもないことになるってこの一年で分かった。


 後ろ向きな知識ばかりが脳内に蓄積されていく。ひょんなことから前向きに方向転換される日は来るのかな。あることを切に願うことにした。


 僕が自分の部屋でやることはネットの海に潜ることが大部分を占めている。僕がまだ外で胸を張って生きていたときは機械音痴だと数少ない友人に罵られていたけど、一年間でパソコンに対する知識はめきめきと身についていった。あのとき罵倒した友達に思いっきり自慢してやりたいぜ!


 その光景を頭に思い浮かべようとしたけど、苦笑いをする友人の顔しか浮かばなかった。自分の想像力の貧困さに辟易する。

 いや、想像力が貧困というか、単にこれまでの人生で人が楽しそうに笑っている顔をあまり見たことがないからか? 人を嘲笑するような笑いなら今から一年前、嫌というほど見てきたけどね。


 いかん、思い出したらブルーになってきた。早く気持ちをレッドにしなければ。いや、オレンジとかの方が明るい感じがするかな? 赤あんまり好きじゃないし。血の色を連想しちゃうからね。


 さて、ここらで今の自分を客観的に分析してみようか。何か変化が起きるかもしれないし。まず引きこもることになった原因を考えてみよう。


 僕はどうして引きこもりなどになってしまったのだっけ? 毎日何も考えず無気力に生活を営んでいると忘れてしまうな。でも無気力に人生生きるのって楽でいいんだよねー・・・・・・おおっと、現実逃避するところだった。危ない危ない。これは僕の悪癖だな。早速自分のことが一つ分かった。自己分析ばんざい!


 ・・・・・・いや、真面目に思考しろよ。なんて自分でツッコミを入れてみる。人との接点が無いから、自分で自分を制御しないと。


 ああ、思い出した。


 高校入学早々にいじめにあってしまったんだった。


 テレビでよく見かける社会現象が自分の身に降りかかるとは、あの時は全く想像していなかった。被害者に同情することはあっても、自分が被害者と同じ立場だったらとかは考えていなかった。

 もしちゃんと考えていたら、僕の心へのダメージもある程度は軽減されていたかもしれないね。今更こんなことを言っても遅いけど。


 じゃあ暇だし、そのときのことを回想してみようかな。辛いことを忘れずにいることによって、より強い精神を育むのだ! なんて強がっても虚しくなるだけでした。残念。

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