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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第二章 政府の闇
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第三十五話 激戦区

激戦区


みんなと別れて数分が経った。

それぞれ違う方向に別れたためもう姿は見えないが多分まだ近くにいるはずだ。

「そんな事よりなんでフェンリルがここにいるんだ?」

奏のとなりを普通に歩く狼、フェンリル。

さっきから周りの視線が痛いんですけど……。

「え? だって、この子だって少しは運動しないと太っちゃうよ」

「太っちゃうって……」

どう見ても太りそうのない狼を見て俺は嘆息していた。

陽は別れてから一度も話していなかった。

「ど、どうしたんだよ、陽。元気無さそうだけど」

「普通、お前たちのそのイチャイチャを見ていたら言葉も失うと思うが?」

それを言わないでくれ。

頼む。さっきからそっち方面も視線が痛いんだから。

そう、今の俺と奏はぴったりと密着している。

まるで彼氏彼女だ。

「こ、これはだな……す、スキンシップって――」

「どっちがスキンシップしてるんだろうな」

冷たい! 陽が冷たいよ!

「そ、そもそも、なんでお前がそんなに怒ってるんだよ」

「これだから、ダメなんだ。……なぜ気づかないんだ」

「え? よく聞こえないよ」

「なんでもない!」

おかしい。なんか理不尽怒ってるように思えてきたよ。

俺たちはそんな話をしながら街を歩いた。

どこからか女の子の悲鳴が聞こえた。

それを聞きつけ俺たちは一斉に駆け出す。

「どこだ!」

「フェンリル、お願い。さっきの悲鳴の場所まで連れて行って!」

フェンリルは俺たちの前を先導しさっきの悲鳴の場所まで案内する。

「いた!」

奏の声が聞こえた。

俺は入り組んだ道を少し遅れて目的地に着き全貌を見た。

男二人が女の子一人を囲み手を引っ張っていた。

「やめろ!」

俺の叫びに男たちは気付きこっちを睨みつける。

「ああ? やめろだァ?  ふざけんな! せっかく俺たちと楽しいことをしようと思ったのによぉ」

つまらなそうに言う男に俺は怒りを覚える。

俺は奏にキスをする。

奏も反発せずに受け止めてくれた。

ドクンッ

「君たちは女性にひどいことをしたね? その報いは受けてもらうよ」

俺は疾走、男の顎に強打の一撃を入れ体をしびれさせる。

俺は体を素早く捻るともう一人の男の胸ぐらを掴みそのまま一本背負い。

地面に叩きつけられた男は気絶した。

「さて、大丈夫かい?」

俺は女の子に手を差し伸べた。

女の子はビックリしながらも俺の手を取って立ち上がると大通りの方に駆けていった。

「まったく。なんで襲うっていう考えが浮かぶんだよ」

俺は目の前で伸びている男たちを見てため息混じりの呆れを言う。

「どうしたの? フェンリル」

奏がフェンリルの異変に気付き、声をかける。

俺もその声を聞いてフェンリルに視線を送った。

フェンリルは路地の置くの暗闇を睨み、威嚇していた。

「何か、あるのか?」

俺はフェンリルの見ている方を見ると薄らだが人影が見える。

「いやはや、やはり我が子には見破られるか」

少し笑いの混じった話し方をする男。

俺はそいつを知っている。

黒崎だ。

「黒崎、お前警察に送ったはずだぞ」

「ははは、貴様は馬鹿か。私は警察じゃなく水無月の元に送られたのだよ。そこで私は時を待った。我が子が強くなるそのときまで」

我が子が強くなる?

「フェンリルがこれ以上強くなるのか?」

「ああ、フェンリルとは元はただの狼だった。神が餌を与え続けた結果神をも超える力を手に入れてしまったというものだ。そして、私が与え続けたものは『時間』だ」

時間? 餌が時間?

「時は満ちた! さあ、フェンリルよ。呪縛を解き放ち私のもとに来るがいい!!」

フェンリルは静かに黒崎の元に歩いて行く。

まさか、本当に行ってしまうのか?

奏は表情を変えずにただ呆然と見ていた。

俺の中に焦りが起こる。

今、フェンリルと戦えば無傷で生き抜くのは無理だ。

ここで、終わりなのか?

「な、何!?」

驚いたのは黒崎だった。

フェンリルが黒崎に噛み付こうとしたのだ。

そう、攻撃した。フェンリルは俺たちを選んだんだ。

「お前まで、裏切るのか! 私を、親を裏切るんだな!」

フェンリルはバックジャンプで俺たちの元に戻り、朽炎のスタンバイに入った。

「貴様の攻撃を耐えられないとでも思ったか!」

多分、防御魔術と思われる魔法陣をいくつも作り出しガードを固める黒崎。

「フェンリル! 思いっきり打ってやれ!」

フェンリルはそれに応えるように朽炎をこれまでにないデカさで放った。

朽炎が黒崎の防御魔術をかき消していく。

俺は駆け出す。

俺が考えたとおりなら朽炎だけじゃあれは破れない。

朽炎は黒崎の防御魔術を一枚残して消え去った。

だが、朽炎の効果で最後の一枚の防御魔術は朽ちてく。

俺はそこにタックルをした。

すると、あれほど頑丈だった防御魔術は紙のように簡単に破れた。

「なっ……!!!!」

仰け反った黒崎に俺は懇親の一撃を入れた。

「もう、奏たちに近づくんじゃねぇぇぇぇぇぇえええええ!!」

狭く暗い路地に俺の声が木霊し、懇親の一撃は何のガードもなく突き刺さる。

黒崎は俺の攻撃で吹き飛び、倒れようとする。

まずい。あの倒れ方はかなりまずい!

どうやら、黒崎は意識を無くしているようで吹き飛ばされた反動で後頭部から倒れようとしていた。

あのままにしたら確実に今後の生活に支障が出る。

俺は、それを望まない。

俺は走った。

だが、追いつかない。

もうダメだ。

諦めたその時だった。

黒崎の頭を地面寸前で支えた人がいた。

「ふう、セーフだ」

陽だ。陽が黒崎の頭を寸前で支えたのだ。

「ホントは後ろから攻撃しようと思ったんだが、結果的に助けてしまったな」

呆れ顔で言う陽を見て俺は安堵した。

「そう、だな」

俺は黒崎を拘束し、警察を呼んで置いた。

路地を出た俺たちは再び話を始めた。

「そういえば、なんでフェンリルは黒崎を攻撃しなかったんだ?」

「えっと、何て言えばいいのかな。……この子は私なんだよ」

「フェンリルが奏?」

「うん。この子は私が望んだ通りに動いてくれる。この子の一番は私なんだよ。例え、それが生みの親であったって言うことは聞かないよ」

なるほど。それで黒崎の命令に歯向かったのか。

「お前らばかりいちゃついてないで私もいれろ」

陽が俺のもう片方の腕にしがみついてきた。

右には奏、左には陽、後ろには狼。

ど、どんな体勢だよ……。

俺はなんか違う態勢で再び敵を探し始めた。

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