第二十九話 人を操る双子
やっと、更新できたよ……
人を操る双子
美奈との無理やりのデートの次の日。
俺は部屋で寝ていた。
すると部屋のドアからノックの音がした。
「一応言っておくが開いてるぞ?」
ちなみに、俺の部屋のドアは前は鍵がかけられたらしいが瑞花が壊したらしい。
だから、鍵を閉めたくても閉められない状態に陥っているというわけだ。
「お久ぁ」
「いや、昨日会ったばっかだよな? 瑞菜」
俺の部屋に入って来たのは瑞菜だった。
「あはは、これは手痛いツッコミだね」
笑って誤魔化そうとしている瑞菜。
その顔もかわいいから反応に困る。
「そんなことよりなんだよ昨日の無茶ぶりは! あの後美奈の昔の人たちと会って大変だったんだぞ!!」
そう、俺は昨日美奈の知り合いに会った。
その知り合いはなんと昔美奈をいじめていた人物たちだったのだ。
俺はそのことを知ると頭に来た俺はその人物が纏める暴走族を意図もたやすくねじ伏せてしまったという見事な黒歴史ができてしまったのだ。
「でも、すっきりしたでしょ? あいつらをしかったおかげで」
なおも笑顔を絶やさない瑞菜を見てある疑問が浮かんだ。
「もしかして、お前が全部仕組んだのか?」
そう、今の口振りはまるで俺たちがあそこであの瞬間出会うことを知っていたような、そんな口振りだった。
「あはは、流石に分かっちゃったかぁ。そうだよ、全部私が仕組んだ事だよ。いやぁ、うまく行って良かったよ」
良かった?
あんなに美奈は傷ついたのに?
俺は静かに瑞菜を見つめる。
「わかってるよ。美奈ちゃんは昔の、現仲間だよ。でもね、昔の事を引きずってもらってちゃこれからの戦いで支障が出る。だから、苦しい目にあってもらった。それだけだよ」
俺は女子である瑞菜の胸元を掴み俺の方に引き寄せる。
そして、拳を握り殴るのを一生懸命に我慢する。
「殴ってもいいよ。私は殴られてもいいことをしたんだから。覚悟は出来てるよ」
そう言って初めて瑞菜の本気の顔を見た。
すべてを見てきたような目が俺を突き刺す。
「なんでだよ」
「ん?」
「なんで、お前がそんな悲しい目をするんだよ」
瑞菜は少し笑みを浮かべ俺に抱きついた。
「女の子の顔をまじまじと見るなんて犯罪だぞぉ?」
いつもの調子に戻った瑞菜が俺から離れたかと瑞菜はとんでもない事を言い出した。
「じゃあ、今日は私たちとデート行こうか」
瑞菜のとんでもない事を言ってから三時間が過ぎた。
「なあ、瑞菜」
「ん? 何?」
「なんとなく予想はしてたけどさ。なんで瑞花もいるんだ?」
そう、着替えを終え出てきたかと思うと瑞菜だけではなく、瑞花までいたのだ。
「えー、だって『私たち』って言ったじゃん」
確かに言った気がする。でも、これは果たしてデートというのか?
ありとあらゆる地点で疑問が減らない瑞菜の言動に呆れを覚え仕方なくデートに付き合うことにした。
「まあまあ、そんな嬉しそうな顔をしないでよ」
「俺の顔のどこが嬉しそうに見えるんだよ」
「え? もしかして……すごく楽しい?」
「お前の思考には呆れているっていう項目はないのか!?」
「あ、クレープだ! ねえねえ、あれ食べに行こうよ」
「頼むから話を聞いてくれぇ!」
俺と瑞菜の会話を聞いて瑞花は笑っていた。
そういえば俺は瑞花の笑顔を見たことがあまりないと思う。
俺の瑞花のイメージは凛としてかっこよくて言っていることはなんでも正しい。そんなイメージだったのだが、この顔を見ると瑞花もやっぱり女の子なんだなぁと思えてしまう。
「あ! あっちにはたこ焼きがあるよぉ」
そう言って一人ではしゃいでる瑞菜はどこを取っても姉さんには見えない。
「瑞菜っていつもああなのか?」
「あなたがいるからよ。姉さまは昔、笑顔の仮面をかぶっていたの」
笑顔の仮面?
「姉さまは笑顔を絶やさなかった。何があっても笑っていた。でも、そのどれを取っても本物はなかったの。でも、あなたに会ってから姉さまは変わったわ。あんなに楽しそうに笑うようになったの」
あの瑞菜がねぇ。あいつに限ってそんなのことはないだろうと思ったがその考えはすぐに消えた。あいつだって元はリーダーだ。それに頭だって切れる。
「なあ、なんであいつはお前たちを、その、裏切ったんだ?」
裏切り。その言葉がとても重く感じた。
「姉さまは能力者だってことは知ってるわね?」
「ああ、聞いたよ。確か、微弱な電磁波を放出するんだっけ?」
「ええ、姉さまが使う『マインドタッチ』はその微弱な電磁波を直接相手に送り込んで相手の脳から発せられる運動という電磁波を無理やり変更または無理やり行わせる。まるで相手を操るかのように」
だが、その能力にもデメリットがある。
瑞菜はその能力を発動できるのは一日三時間まで使い切れば休養が必要になる。そして、重大な欠点は相手に触り続けないといけないという点だ。
このデメリットはかなり痛い。
相手が一人の時は確かに使えるが仲間がいるときはダメなのだ。
「おーい! 早く来ないと全部買い占めちゃうよぉ!」
「ほら、姉さまが呼んでるわ。早く行かないとホントに買い占められるわよ?」
「ま、マジ?」
瑞花の本気の言葉を聞いて俺は駆け足で瑞菜の元まで向かった。
◆ ◇ ◆
そんな頃、ある裏通りでの出来事
「おいおい。あいつに負けたままで引き下がれって言うんですか、総長!」
一人の男性が女を片手に座っている男に話しかける。
「ああ、あいつには今後一切手出しを禁ずる。あいつは化物だ。襲えば確実に俺たちが負ける」
総長と言われている男は諦めの目をして語る。
「美奈の奴、いつの間にあんなに強いやつと知り合ったわけ? あんなの反則だよねぇ」
総長と呼ばれていた男の横に座っている女子が怒りの表情で語る。
そんな頃、遠くから人の叫び声が聞こえる。
「な、なんだ!!」
男は立ち上がり叫び声があった場所の方を向く。
「ああ、悪い悪い。見張り(?)みたいなやつには少し寝てもらったわ」
「き、貴様何者だ! 百人もいた見張りをどうやって……」
「この拳と俺様の仲間によって粉砕させてもらったけど何か?」
侵入してきた男は口元をニヤつかせ語っている。
「な、何が目的だ?」
総長が水無月に向かって問う。
「お前ら、最宮誠、あの女の連れの男と戦ったんだって? そんでもって惨敗とは悲しいねぇ。いやはや、悲しすぎて笑いが漏れそうだ」
水無月は腹のそこから笑いを起こし腹を抱えていた。
「クッ……そ、それが何だって言うんだ!」
総長は叫びを上げる。
だが、そこにはさっきまでの威勢はない。
水無月から発せられる危険なオーラを感じ取り怖気付いているのだ。
「はは! そこで提案だ! 俺様の仲間をお一人貴様らに貸してやろうと思う。それで勝てばいい。どうだ? ムカつく奴を倒してスカっとするチャンスだぜ?」
総長はしばし考え答えを言う。
「その話には乗れんな。第一、俺たちはあいつに復讐なんて――」
「なんだ。案外つまらないやつだな。美留香、シャットダウンだ」
水無月が言った瞬間総長の視界が真っ暗になる。
そして、次に世界を見たとき彼の仲間たちは全て地面に倒れており息をしているかわからない状態だった。
「な、何が起きたんだ! 俺の仲間に一体何をした!」
恐怖、その言葉が彼を染める。
既に立っていることすら奇跡なぐらいに足は震え、言葉は裏返る。
「ははぁ! お前はこの状況を見てまだ断れるかねぇ?」
水無月は狂ったように笑い、問う。
総長は震える体をなんとか支え、回らない頭を回転させ思考を巡らす。
そして、出た答えは――
「わ、わかった。お、お前の話に乗る。だから、もう、何もしないでくれ」
「最初からそういえばいいんだよ。美留香、それがこいつの名前だ」
それだけ言い残し水無月は裏路地を出るのだった。




