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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第二章 政府の闇
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第二十五話 勝利が見えない戦い

勝利が見えない戦い


「さあ、行こうか。僕が求める最高の結末のために」

そう言って廊下の床を思いっきり蹴って戦場に足を踏み入れる俺。

ちなみに靴はいつの間にか履いていた。一体どこから取り出したんだろうか。

「おうおうおう! リーダーさんのお出ましかい?」

炎矢が息を荒くしながらも嫌味を言い出した。

こいつなりに余裕を見せたかったんだろうか。

「あんたが来なくても勝てたんだぜぃ?」

「だったら、もっと早く倒してもらいたいね」

俺も負けずに嫌味を言うと炎矢は珍しく引き下がった。

「ちっ、入れ替わったあんたとは部が合わねぇんだよ」

まあ、そうだろうな。こっちの俺はどう頑張っても勝てるような相手じゃないんだから。

「君はまだ爆弾を持ってるかい?」

「爆弾魔にそれを聞くかい? まあ、ほとんど使ったけど半分はいつだって爆発できますよぉう!」

そう言って炎矢は近づいてきた敵に小型のペンみたいな物を投げる。

俺はそれが爆弾だと気付き直様回避する。

回避したあとすぐに爆弾は爆発した。

どうやら殺傷能力はほとんどないらしい。まあ、回避できるかわからない時に殺傷力のあるものは使わないか。

「君はどうやら充分に追い込まれてるみたいだね」

「それを言いますかぁ? まあ、否定はしませんよ。こいつら爆弾を受けても傷一つつかねぇんですもん。ほんともう泣きそうですよぉって感じですわぁ」

傷一つつかない? そんなことがありえるのか?

「どうやらあの人たちは何らかの防護服を着てるみたいだね」

「そうみたいぇすなぁ。まあ、これでオレッチが勝てるわけはないですよねぇ」

炎矢は首を振りなからしょうがないしょうがないと自分に言いかけていた。

「しゃべっている時間があったら手伝ったらどうだ? 俺もそろそろキツいんだが」

そう弱音を吐くのは千石だった。

千石はいつものように刀の無限召喚を使わず一本で戦っていた。

「敵の数が五人に対してこちらが六人。でも、戦闘経験は彼らの方が豊富そうだ。これは大変そうな戦いだね」

そう言いながらも笑顔をやめない俺は既に新たな考えが思いついていた。

「千石くんは庭の中心に。動ける者は直ちに撤退。動けない者は僕が助けよう」

そう言って瑞菜、陽を抱きかかえ撤退した。

瑞花たちもどうやらいなくなったらしい。

戦場にいるのは刀を持った千石だけ。

敵は全て千石に引き寄せられるように向かっていった。

「今だ、千石くん。君を縛るものは何もないよ。全力で戦ってくれ」

そう言うと千石は気に食わないというような顔をしたが手に持った刀を空に翳した。

「千本刀……ハリセンボン」

千石を取り囲むように刀が召喚されていく。

なんでだ? さっきまで技を使おうともしなかったのに。

次々と刀の餌になっていく敵たち。その光景を見て俺は少し笑った。

「いつから気づいていた。俺が刀を制御できていないことに」

「最初からさ。君の技は周りを余りにも巻き込みすぎていた。だから、すぐにわかったのさ」

そ、そうだったのか。俺はさっぱりわからなかったぞ。

「ふん。流石は新たなリーダーと言ったところか」

「僕はそんな素質はないよ。ただ、見極めただけなんだ。誰だってできる」

「普通、できないがな」

そんなやりとりをしているとあの大量の刀に刺された敵が動き始めた。

「炎矢くん」

「はいはい?」

「爆弾はあそこを中心にしてどっちにある?」

「北北東に三百、そこには爆弾だけならず火炎瓶も用意してあるぜぃ?」

俺は再び二ヤッと笑うと言った。

「僕が合図したらそれを爆発させてくれ」

「は?」

答えを聞く前に俺は飛び出した。

向かう先には敵たちがいるところだ。

「千石くん。思いっきりジャンして欲しい」

「クッ……わかった」

不服に思いながらも千石は空高くジャンプした。

俺は敵たちをまとめて爆弾があるところに蹴り吹き飛ばした。

「今だ」

俺は敵たちが目的地に落下する前に炎矢に合図を出す。

「はいはいよ。爆発協奏曲、第一章『破壊のコンチェルト』」

そう唱えると爆弾が順番に爆発し始める。

しかも爆発するのは敵たちが地面に落ちる瞬間だ。威力も最大限引き出している。

これが爆弾魔の、炎矢の才能なのか。

「だけど、どうすんだぁ? あいつらさっきより確かに攻撃が通じてるみたいだけど完全じゃないぜぃ?」

「だから、彼を空に飛ばしたんだよ」

そう言って空を見上げる。そこには自由落下してくる千石がいた。

そして、視線を爆弾に戻すと爆弾はまるで二章への転換のために盛り上がっていた。

最後の火炎瓶の炎上が治まった時、空から千石が唱える。

「千本刀、針山落とし」

無数の刀が針のように敵たちの頭上に落ちていく。

おいおい。流石に死んだんじゃ……。

「な、なんじゃこらぁ、こいつら機械だったのかよ」

機械?

俺は敵に近づくと確かに機械だった。

「やっぱりね。あの動きが何だか操作されていた感じがあったんだ。それに――」

言いきる前に俺は頭を後ろに逸らした。

次の瞬間、俺の目の前一ミリという途轍なく近い距離を何かが高速で通った。

「銃弾!?」

「敵はまだいるってことさ」

「いったい誰が……」

「言っただろう? 操作された感じがあったって」

「まさか」

「多分、そのまさかさ」

そう言って銃弾が撃たれたとされる方向を見て俺は笑顔を見せた。

「セカンドチルドレン。今回の敵はかなり厄介そうだ」

セカンドチルドレン。それは俺が関係しているであろうもので今は会いたくないものの一つでもある。

「ふん。今回だけは力を貸してやろう」

「そうそう、オレッチ早く昼飯食いたいしねぇ~」

そう言って炎矢と千石が俺の隣に立つ。

頼もしい仲間じゃないか。

「死んでも知らないよ?」

「俺は瑞菜様を守ると決めた。瑞菜様がいるのなら死にはしない」

「オレッチはしぶといからねぇ。ゴキブリも尻尾巻いて逃げ出しちゃうなぁ」

ちなみにゴキブリに尻尾はないぞ?

俺は短めのため息を吐いて上を向いた。

「まったく、本当に言うことを聞かない仲間たちだ」

やれやれと首を振っているが顔は笑っていた。

「なら行こうか。結末はすぐそこだよ」

そして、俺は歩みだした。

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