転章 第二十一話 セカンドチルドレン
やっと、二章……お気に入りが少ない……
泣きたくなってきた(;_;)
セカンドチルドレン
目が覚めた。……ンだろうか?
なんだろう。目の前が霧なのは気のせい?
ここは心象世界とでも言うのだろうか。
「君はいい勘をしてるね。九十三パーセント当たってるよ」
ふと声が聞こえたのでそちらを見るとそこには俺がいた。
うん。きっと俺は疲れてるんだ。
「それは少し違うと思うよ?」
「なら聞くが残りの七パーセントは何が違った?」
「……ふふ」
あ、有り得ない。
俺の顔でさっきの笑いはないぞ。
「それは心外だなぁ。これでも君の顔に僕はがま――満足してるんだよ?」
「今、我慢って言おうとしたよな!」
「はは」
「笑ってごまかすな!」
何だ? 俺はなんで俺と話してるんだ?
いや、それより俺はコイツを知ってる?
「お前はもう一人の俺なのか?」
もう一人の俺はニコッと笑って拍手した。
「当たりだ。大当たりだよ。そうさ、僕はもう一人の君であって全くの別人。第二世代の子供『セカンドチルドレン』の中の最高傑作。それが僕、いや、僕たちだ」
俺たちが最高傑作?
それよりもセカンドチルドレンって何だ?
確か、黒崎のやつも最後にそんなことを叫んでいたし……。
「お前は、その……セカンドチルドレンについて何か知ってるのか?」
「知ってるよ。全てね。でも、まだ君に教えられない」
「なんでだよ」
「今君に教えても面白くない」
「単純に意地悪かよ……」
「はは」
笑うなや!
「はは!」
「今のはわざとだよな!?」
何が面白いのかもう一人の俺はずっと笑っていた。
「もう一人の僕と話せる機会は早々にないからね。少し教授してあげようかな」
そう言ってもう一人の俺は語りだした。
「そもそもセカンドチルドレンっていうのは今までに生まれてきた子供たちの斜め上を進む知能を持った子供を生まれる前に作ることはできないか? という発案を元に計画されたものなんだ」
難しいことを言われて何だかわからないが取り敢えず聞いていた。
「その発案者は僕たちの父親の最宮勝剛なんだ」
オヤジが発案者?
「まあ最初はカジノで必ず勝てる強運を持った子供は生まれないのか、というものだったんだけどね」
俺はその場に膝を落とし倒れた。
呆れた。俺は心底呆れたぞ、オヤジよ。
「それが研究者たちの目に入ったんだ。そして、研究を始めた。そして見つけたんだ。第二の存在形成を、ね」
第二の存在形成?
「まあ、簡単に言えば人間には存在するために他人と関わるだろう? それは自分という存在を認識させるためなんだ。人っていうのは他人の認識なしでは存在は出来ない」
それ以外の存在のあり方があるのか?
「存在している人の中にもう一人の人を存在させる。それが研究者たちが思いついた成果だった。つまり僕たちだ。まあ、失敗作はたくさんあったよ」
失敗作?
「片方の意識は完全に消されるか、ひどければ死んでしまう」
そんな、生まれてもいない人を殺したのか?
「言っただろう? これはただの研究なんだ。犠牲が出ようと国がもみ消す」
国? 政府がもみ消すのか?
「それに成功も多々あった。僕たちはその中で最高傑作だった、それだけさ」
そう言ってもう一人の俺は悲しそうな顔をした。
なんだよ。何をお前は知っているんだ?
「気をつけてね。特に知恵には。彼女は僕たちをよく思っていない。恩を仇で返すような人だからね」
そう言ってもう一人の俺は遠ざかっていく。
どういうことだ。誰なんだよ、知恵ってのは!
「さあ、君はもう起きないと。みんなが待っているよ」
そう言い残し去っていった。
起きる? そうか、ここは心象世界だったけ。
でも……どうやって起きるんだ?
そんなことを考えていると光が俺を包んでいった。
「こと……まこと……誠!」
ゆっくりと目を開けると大きな声が俺の耳を破壊しようとしていた。
真っ白な世界にいた。
あれ? 俺はまだ寝ぼけてるのか?
「誠!」
奏の声が聞こえるが奏は見えない。てか、ここはどこですか?
「やっと、起きたのね。あと三秒寝てたらしょうきゃ――電気マッサージをしようと思ったのに」
気のせいだろうか。瑞花の言葉に刺があった気がする。
「今、焼却炉って言おうとしたよな。ちなみにその先はなんというとした?」
「ブチ込むと言おうとしたわ」
「お前は生きてる人間を殺すような卑劣なやつだったか!?」
俺は辺りを見る。やっぱり真っ白だ。
「不思議そうな顔をしてるわね。そこは集中治療室よ? ちなみに誠が見ている私は立体映像よ」
集中治療室にそんな機能をつけていいのかという疑問は隅に追いやり記憶を呼び戻す。
そうだ。俺は黒崎との戦いの後全身の大怪我に気付き死を覚悟して寝たじゃないか。
なんで、生きてるんだ?
「なんで生きてるって顔ね。当たり前よ、普通は死ぬわよあんな傷。でもね、最後にあんなことを言われたらあなたの結末をひっくり返したくもなるわ」
そうか。そうだよな。目の前で人が死ぬのは誰だって気持ちのいいものじゃないよな。
「あなたは私たちのペットなのよ? 勝手に死ぬなんて許さないわ」
前言撤回、こいつらは悪魔だ。
「やっほ~。起きたんだってね」
テンションマックスで現れたのは瑞菜だった。
だが、その体は包帯を数箇所巻いていた。
「瑞菜、その傷は……」
「ん? あ、これ? いやぁ、あの狼結構強くてねぇ」
狼?
「狼ってなんだ?」
「奏ちゃんから出てきた狼だよ?」
待て待て。あいつはビルから落ちたんじゃ……。
「なんかね。あの狼ビルの壁を走ってまた登ってきたんだぁ」
あいつは化物か! いや、確かに化物だけどさ!
「また、あいつが暴れて――」
「ううん。なんか誠くんに懐いたみたいだよ? 君をここまで運んでくれたし」
はい? あの狼が俺に懐いた?
「フェンリルもなんか鉛っていうのを知っているみたいでさ。常に誰かと戦いたがるんだよねぇ」
どういうことだ? なんで俺に懐いたんだ?
「元々は奏ちゃんの中にいたから奏ちゃんの心情が伝染ったんじゃない?」
二ヤッと笑って横目で何かを見る瑞菜。多分その先に奏がいるんだろう。
その証拠に奏の叫び声が聞こえてきた。
「奏が俺に懐いてるのか?」
「……奏ちゃん。ファイトだよ」
なんか瑞菜にかわいそうな人を見る目で見られているのは気のせいだろうか。
奏も大きな声ではいっと答えていた。
え? 俺のせい?
「まあ、今日は休みなさい。明日は……ふふ」
瑞花の不敵な笑いが俺の恐怖心を煽り身震いが止まらなくなった。
「お、俺は明日何をされるんだ?」
「おっやすみ~!」
ぷつりと切れた立体映像。そして、取り残された俺は明日される事を想像すると身震いが止まらなくなってしまった。
「か、体の状態が悪かったら見逃してくれるよな? だよな!?」
俺はひとり叫ぶが答えは当然返ってこなかった。




