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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第一章 フェンリル計画
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第十八話 どうにも出来ない戦い

どうにも出来ない戦い


どうしたらこんな状況に陥るのかわからないがどうやら俺は中国マフィアにちょっかいを出しているらしい。

いや、その逆か。ちょっかいを出されてるらしい。

ともあれ、この状況だけはまずいんじゃないか?

「いくネ!」

紫影と名乗った少女は俺の元に走ってくる。

対して俺は動かずいつものように立っているだけだった。

「はい!」

両手を突き出し掛け声と共にとてつもない威力の波が俺を吹き飛ばす。

だが、少女はそこでやめず俺の足を取ると地面に叩きつけた。

そして、さっきと同じように両手を前につき出す。

「二度目は喰らわないよ」

俺は体を捻り追撃を躱す。

「これで終わりじゃないネ!」

少女も同じく体を捻り腕をムチのように俺の顔面に炸裂させる。

これが中国拳法か!

今まで戦ってきたやつらより戦いにくいぞ。

中国拳法は一撃必殺を狙う日本武術とは違い連打で確実に敵を仕留めるのに特化した武術だ。

だから、動きが柔軟で臨機応変していてどこから攻撃が来るのか予想できない。

「流石に甘く見すぎてたかもね。君はかなり強いよ。でも、君ほどの人がなんでこんな集団に力を貸すのか。同時にそれも気になってきたかな」

こんな状況でさえ笑顔を見せる俺は少女の怒りに触れたらしい。

「お前には関係ないネ!」

怒りを乗せた一撃が俺の顔に飛んでくる。

俺はそれを左手で微かに軌道を変え顔を動かしてなんとかそれを回避する。

だが、素早い二撃目が既に俺の腹部に向かって放たれていた。

「遅いネ! ほらほら!」

続いて少女の足が俺の首を絞め、手で俺の足をがっしりと掴んだあと体を縮める。

腰の骨が悲鳴を上げ始める。

「ぐぁ、あああああ」

初めて聞くもう一人の俺の悲鳴。

完全にあちらの方が一歩上手だった。

このままだと……負ける。

「お前、怪我をしてなければ勝ってたネ。でも、それは負けたあとで十分に後悔すんるんだネ!」

絞める強さを上げる少女。

ここまでか!

「負けないで!」

奏の声が廊下に響く。

ったく! こんな状況で負けるなだと!!

「お、女の子を傷つけるのは僕には出来ない。だ、だから――」

君に任せるよ。

ドクンッ

嫌な仕事ばかり俺か!

俺は全身に残った力を全て搾り出す。

「負けないでよ、誠ぉお!!」

あーもう! わかったよ!

「はん! そんな声は無意味――」

「ざ、けんな、よ、なぁ!」

首をを絞める力に真っ向から立ち向かっているせいで息が出来ない。

「な、な、な、な、な、な!」

「こんなんで俺を縛ったと思うなぁぁぁぁぁああああああ!!」

俺を拘束していた少女の体を引き剥がし壁に投げつけた。

「きゃぁ!」

俺は立ち上がると大きく息を吸う。

「くっ、やるネ。でも――」

これならどう?

そう言ってまたしても少女は俺の元に走ってくる。

しゃらくせぇ! 今の俺に対抗できる武術は備わってねぇんだよ!

「だから、こっからは俺流だ!」

肺にいっぱいまでの空気を吸って少女が近づくのを待つ。

少女が俺に攻撃を仕掛けてきた瞬間、俺は少女の耳元に顔を近づけると

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

大声で叫んでやった。

少女は驚き耳を塞ぐとその場にしゃがみ込むと体を震わせていた。

俺はそれを見過ごさずそのまま少女をホールド。

「はぁはぁはぁ、こ、これでおしまいだ」

「……なぜ、殺さない?」

殺す? 何言ってんだ?

「あのなぁ。俺はお前を倒すってだけで殺しやしねぇよ」

拘束を解くと俺はその場に座り込んだ。

「ほら、勝ったんだ。周りにいる奴らを追い払ってくれよ」

俺はその場に大の字に寝そべり笑っていた。

我ながらかっこわりぃ勝ち方だな。

にしても、奏の叫びは一体何だ? 俺の体に力がいつも入るんだよなぁ。

「みんな立ち去れ。今を持って中国マフィアはここから脱退する」

そう言うと敵は銃を捨て立ち去っていった。

スゲェ、マジでマフィアの頭かよ。

「一つだけ聞きたいネ。なんでお前はあの女たちを助けるヨ?」

それはさっきもう一人の俺が答えたはずだけど。

「今のお前に聞いてるネ。さあ、なんでだ?」

「簡単だ。助けたいからだ。それに奏が外の世界に出られないのはここのせいだろ? 奏だって人間だ。人間を束縛していい人間なんていないんだよ」

「本当に、本当にそれだけあるカ?」

何か驚くことでもあったか?

「それだけだ。あと、訂正だけど。別に俺は瑞花たちだけを助けに来たんじゃねぇよ。お前らも助けに来たんだ」

俺がそう言うと再び驚いた顔をする少女。

「私たちを助ける? その意味をわかっているカ? 私たちは特殊体質で――」

「だけど人間には変わりないだろ? だったら、助けるよ。困っているなら、俺は助けるよ。だって――」

困ったときはお互い様って言うだろ?

俺が言うと少女は泣き出した。

「な、なんで泣くんだよ」

「お、お前のせいネ」

なんで俺のせい!?

「私たちは世間一般から邪魔扱いされ、研究モルモットになったことがあるやつもいたネ! そんな私たちを助けてお前に何の得があるネ!」

「特なんてないさ。考えもない。俺はただ俺の生き方に反しないように動いてるだけだ。それに俺は約束したんだ。奏が安全に外の世界で羽ばたけるようにするって。そのためなら俺は誰だって倒すし、誰だって助けるよ」

「そ、そんな事のために力を使えるのカ? お、お前は本当にバカだナ」

バカってなんだよ。

俺は真面目に話してるっていうのによ。

「そこまでだ。異国の不良どもの長が」

そこに現れたのは刀を手にした男。

「千本刀。テメェ……」

俺が初めて戦いそして勝利した奴がそこにいた。

「久しいな。こんなところで出会うとは思わなかったぞ。……残念だがお前はここで永眠だ」

嬉しいねぇ。永眠か。

「断るぜ? 俺にはまだやらなきゃいけないことがあるんでな」

「一体いつ断っていいと言った?」

そう言って千本刀は俺がいるとことまで走る。

だが、そこに邪魔が入った。

「行け! お前ならこいつらの作戦の真理を知れるかもしれないネ!」

そこに立ちふさがったのは紫影だった。

「不良風情が!」

紫影は千本刀の刀を蹴り上げガードしながら最後の問いを言う。

「最後に聞かせて欲しいネ!」

「何だ?」

「もし、私が助けてくれと頼んだらお前は助けてくれるカ?」

それはどういう意味だよ。

「当たり前だ!」

紫影はふっと笑い続けて言う。

「早く行け。ここは私が足止めくらいはしてやるネ」

俺は奏の手を素早く取り走り出した。

ああ、助けてやるよ。だから、死ぬなよ。

「ちっ。千本刀、針地獄」

千本刀は地面に刀を突き刺しそう唱えると地面からランダムで刀が無数に飛び出してきた。

「おいおいおい! マジで殺す気か!」

俺は必死に逃げエレベーターに飛び込んだ。

最後に見た光景は紫影が千本刀と互角に戦っているものだった。

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