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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第一章 フェンリル計画
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第十五話 潜入

潜入


瑞花たちが家を出てから一日たった。

戦況は全然聞かされてない。勝っているのか、負けているのかいっさらわからない中で俺はただ自分の回復を待つしかなかった。

あれから誰も入ってこない部屋。

俺以外誰もいない部屋。

そこに人が入ってきた。

「奏、なのか?」

「うん。えっと……体の方は大丈夫?」

奏は恥ずかしいのか部屋の中までは入ってこなかった。

「ああ、昨日よりは大分良くなった。でも流石に戦いまではいけないな」

「そ、そっか。えっと……」

奏は何かを言いに来たようだがそれを言えずに悶々と黙ってしまった。

「あはは、ちょっと私飲み物持ってくるね」

それだけ言って奏は俺の部屋を出て行った。

さっきの話で少し今の状況に落ち着きを取り戻し再び天井を見る。

どうしたものか。こんなに落ち着かないのはいつぶりだろう。

今までは敵が攻めてきたから幾分安心できた。

だが、今回は攻めに行ったのだ。味方の戦況が分からなければ俺は動揺するばかりだ。

俺はそこまで考えると飲み物を持った奏が部屋に入ってきた。

「はい。飲み物持ってきたよ」

「お、おう」

俺は飲み物を受け取り一気に飲み干した。

うん。カル○スだな。

「で? 瑞花たちはどうなったんだ?」

俺は飲み干してから奏に本題を聞くと奏は体を震わせその場に固まる。

「え、えへへ……私――」

「食いもんはいい。戦況を教えてくれ」

俺がそう言うと奏は観念したように口を開こうとすると部屋のドアを蹴り破った小さい少女がいた。

「今! 私のこと小さいって思いましたですな!!」

「……いや、思ったけどなんで蹴り破った?」

それ、壊したら俺が弁償しなくちゃいけないんですけど。

「そんなことはどうでもいいんですな!」

「どうでもいいんだ……」

「いや、どうでもよくないのですな。でも、今はそれどころじゃないのですな! 奏! なんであなたは機密事項を誠くんに話そうとしてるのですな?」

機密事項? ああ、瑞花たちのことか。

「それは……誠が私を押し倒そうとするから……」

「してないよ!?」

痛い。視線がいたよ可憐さん。

「はぁ~どうでもいいですな。それよりも誠くん体の方は……大丈夫そうには見えないのですな」

「いやいやいや、大丈夫だよ? ほら、こんなに手をあげても痛く――」

「えい♪」

「いってぇぇぇええええええええ!!」

奏はなんで四文字固めするモーションするの!? 痛いよ! めっちゃ痛いよ!

「これは重傷ですな。安静に――」

「今のは奏の――」

「えい♪」

「だからいってぇえええええええ!!」

腕が! 腕が外れるぅぅぅぅぅぅぅううううううう!!

「俺が何した!?」

「え――」

「させん!!」

俺は奏の動きを完全に停止させ俺は安全を手に入れた。

「それで? 可憐、瑞花たちは?」

俺はなおも抵抗する奏を押さえつけ可憐に戦況を聞き出す。

「瑞花たちとの連絡は先ほど途切れたのですな」

可憐の言葉に俺は動きを封じられた。

途切れた。連絡が途切れた? なんだよそれ。

「いつの話だよ、それ」

「一時間前ですな」

可憐は淡々即答して語る。

一時間前? なんでもっと早く教えなんだよ!

「誠くんはきっとなんでもっと早く教えなかったのかと思っているのですな? 簡単ですな。教えたら誠くんはきっと助けに行くですな。そんな体でも」

可憐はみんなより俺の体を心配してるのか?

違う。きっと可憐だって助けたいはずだ。ならなんで……。

「瑞花に頼まれたのですな。連絡が途切れても誠くんには教えないで欲しいと。私だって最初は断ったですな。でも、その真偽に気づいた私は断ることができなかったのですな」

なんで、俺なんてお前らからすれば過去を知らないただの人だろ?

確かに俺はお前たちの仲間だ。でも、俺のことを考えるほどの仲でもないはずだ。

その答えはすぐにわかった。

「私は誠くん。君が好きなのですな。異性として君が好きなのですな」

……ああ、これは夢だな。

俺は自分の頬を引っ張るが夢は冷めなかった。てか、痛かった。

「あ、えっと、その……はい?」

「君は自分のことを顧みず私の仲間を助けてくれた。こんなケガまでして私の望みを叶えてくれた君が好きなのですな」

えっと、これは告白というやつですか?

いや~初めてだから分かんなかったっすよ。

……って、えぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ!!

「あ、ああ、これは本気で夢じゃないのか?」

「誠、言葉がおかしいよ?」

奏はさっきの言葉を聞いても動揺の色を見せなかった。

対して俺は動揺しまくっている。なんだよ。何なんだよ。

「だから、完全に体を完全に回復できるまでは瑞花たちは追わせ――」

そこまで聞いて俺は考えを改めた。

そうだ。俺は何を迷っている。

瑞花が傷ついているかもしれないのになんで俺はベットの上でくつろいでんだよ。

助けろ。そう体が叫んでいる気がした。

「可憐、お前はみんなより俺を選ぶのか?」

「そうじゃないのですな! 今は――」

「今動かなくちゃいけないんだ。後にすると絶対に後悔するぞ? 後悔してからじゃ遅いんだ。その前に動かなくちゃいけないんだ」

俺は可憐の頭を撫でもう一度聞いた。

「なあ、お前はみんなより俺を選ぶのかよ」

「でも、でもそれじゃあまた誠くんが傷つくのですな」

そんなことを気にしてんのか。

俺は嘆息してから可憐に顔を近づけて止められた。

「誠、キスはダメだよ」

頬を膨らませた奏が俺の顔を両手で包み自分の顔まで持っていく。

「ん……んん」

俺は奏の唇にキスをしていた。

ドクンッ

変わった。どういうことだ? なんで奏が怒ってるんだよ。

「誠は私が初めて好きになった男の子なんだからね? 勝手にとっちゃや」

ああ、奏にも女の子らしきものがあったのか。

「そうかい。なら、奏ちゃん? 君の願いを聞かせておくれ」

俺は奏の顎に手を当て顔を少しあげて聞く。

「私たちを助けて、誠も助けて、みんなを幸せにしてあげて」

奏らしからぬ強引で横暴なわがままだ。

だが、それでいい。俺もそうしたいと思ってた。

誰もが幸せの世界があったっていいじゃないか。

叶えろよ? もう一人の俺。代償は俺の体だけで頼む。

俺は立ち上がり私服に着替える。

「さあ、教えてくれないかい? 瑞花さんたちの居場所を」

「……だ、ダメなのですな。それは――」

「今の僕を見て怪我をしていると思うのかい?」

「そ、それは……」

可憐は今の俺に言い負かされ一枚の紙を俺に渡した。

そこにはビルの見取り図が書かれたものだった。

「ここに瑞花さんたちが?」

「ハイですな」

俺は返事を聞いてから部屋を出た。

廊下を歩いていると横に奏が付いて来ていることに気づいた。

「奏ちゃんはここにいたほうがいいよ」

「ううん。みんな私のせいで傷ついてるんだもん。私も行くよ」

そうか。奏もなんだかんだで気づいていたのか。

こんなに悲しそうな顔をする奏を見るのは初めてかもしれない。

俺はどうにかしてこの顔を喜びで埋めてあげたいという欲に狩り出されるが今の俺にはどうにもできなかった。

「ふぅん。しょうがないな。もう一人の僕も君を悲しませるなというのでね。君を連れて行くことにしよう。でも、僕が逃げろと言ったら逃げてくれるね?」

「うん!」

「いい返事だ。じゃあ行くよ……と思ったけどその前にお客さんだ」

俺は目の前に立っていた少年を見ていた。

少年は俺たちを見つけると笑った。

「ひひ、貴様らが当然敵なのはわかってるっていうのはわかりきったことだけどなぁ。わからねぇことが一つあるんだがいいか?」

「ああ、一つなら構わないよ」

「そんなに仲間が大切か?」

少年は狂ったような笑顔を見せて問う。

俺は肩を竦め当たり前のように言い放つ。

「ああ、大切だよ。少なくても僕の命よりね」

俺がそう言うと少年は少し驚いたように顔を引き釣らせていたがすぐに狂った笑い声を発する。

「ひひゃひゃひゃひゃひゃ!! そうか! そうだったのか! テメェはバカだなぁ!」

少年は俺を指差し続けた。

「テメェみたいなバカを見ていると爆発させたくなっちまうよ」

爆発? それってまさか……。

「俺は頼まれれば証拠隠滅から殺人までなんで負う何でも屋。爆発でなんでも解決、火弥炎矢だ」

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