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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第一章 フェンリル計画
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第十四話 最前線

最前線


案の定、俺は先の戦いのあと性懲りもなく筋肉痛になった。

そして、同時にこんなことも思った。

もしかしたら、入れ替わると筋肉痛になるの?

多分、それは正しいだろう。

なぜなら、入れ替わった俺は普通では有り得ないスピードと破壊力で常に動いていられる。

それはきっと、体にかなりの負担を与えるのだろう。

そして、そんなことに気づいた矢先、瑞花からとんでもない意見が入った。

「誠、今から敵地に襲撃をかけるわ」

うん。

取り敢えず瑞花は俺の状態を見てからものを言ってもらいたいね。

続けて瑞花はこんなことも言った。

「だから、あなたの怪我はあと一秒で直しなさい」

理不尽だ。

真っ事なき理不尽だ。

「いいか。瑞花ケガってのは――」

「口答えは許さないわ」

「……」

俺の反撃はたったの十二文字で撃沈した。

「はい。一秒経ったわ。どう? 体の調子は」

「見ての通り――」

「良好ね」

「どこが!?」

ダメだ。完全に瑞花のペースにハマってるよ。

このままだとホントに俺は怪我が治らないまま戦闘に駆り出されるぞ。

「諦めて、瑞花は……」

「もう、うるさいわね」

そう言って助け舟を出そうとした美奈を瑞花が口と鼻を掴み窒息させた。

こ、怖ぇ。

どうしたんだ瑞花。いつも以上に怖いぞ。

「あ、あはは。瑞花、冗談は――」

「私はいつでも本気よ」

「誰か助けてぇ~このままじゃ殺されちまうよぉ~」

本気怖い! マジ怖い!

俺は筋肉痛じゃなければ直ちにベットから逃げ出すところだぞ。

「しょうがないのですな。今日未明、偵察部隊が敵地を見つけ突入した時一瞬で壊滅されたのですな」

壊滅? 偵察部隊?

そんなものが存在したんだぁ。

そんなくらいにしか思わなかった俺は呆気に取られた顔で反応すると可憐が俺を燃え上がらせる衝撃の言葉を放つ。

「その中に来夢がいたですな」

俺の中に消えかかっていた炎が再び燃え上がる。

「来夢が?」

「ハイですな。今、集中治療室ですな」

そんなところまであるのか。

だが、そんなことより来夢がケガをしたのか。

なんだろうな。この気持ちは。

「取り敢えず、明日まで待ってくれ。明日までには直すからよ」

俺の言葉を聞いて瑞花は少し考えてから頷いた。

「でも、待ってる時間はないわ。私たちだけでも突入するから誠は後から来なさい」

「お、おい! そんな事したら――」

「みんなの怒りは爆発寸前だわ。それは私も含めてね。姉さまといえどこれはやりすぎですもの。だから、明日までなんとか生き残るから、誠はすぐに来なさい」

どうする。

瑞花でも抑えられない怒りを俺なんかが抑えられるのか?

いや、それ以前に俺は自分の怒りを抑えられるか?

いろいろな疑問が俺の中をぐるぐる回り、混ざり、反発してぐちゃぐちゃになっていた。

「……わかった。でも、死ぬなよ?」

俺の言葉を聞いて瑞花は笑い飛ばした。

「死なないわよ。死ねないわよ。だから、あなたはその傷をちゃんと直しなさい」

「わかったよ。待ってろ。すぐに直してやるから」

俺が言うと瑞花は部屋を出て行った。

俺は静かに天井を見つめる。

シミ一つない天井が今は暗く見えた。

来夢が怪我をしたのか。

瑞菜がしたのか?

元仲間にそんなことできるのかよ。

「お邪魔するよん♪」

窓の方から声が聞こえた。

俺は瞬時にそっちを見るとそこには瑞花に似ているが全く違う人がいた。

「瑞菜……」

「覚えてくれてたんだ。ちょっと謝りに来たんだよ」

謝り?

「どういうことだよ」

「来夢ちゃんどう?」

「……!?」

こいつ、よくもぬけぬけと聞けるな。

「お前たちのせいで集中治療室行きだとよ」

「……そっか、ちょっとやりすぎたかな」

やりすぎた?

それが傷つけたやつの言葉かよ!

「元仲間なんだろ? なんであんなことできんだよ!」

俺は気付けば叫んでいた。

「私もさ。あいつらを結束するには実績が必要なんだよ。あいつらさ、私が仲間を庇ってるって勘づいてさ。だから、傷つける必要があったんだ」

なんだよそれ。それじゃあ、まるで……。

「あなたたちにはいっぱい迷惑かけたね。これでおしまいだよ。今日、あなたたちの集団は再起不能のダメージを与える」

「ちょっと待て! お前はそんなことしたく無いんじゃ――」

「これは全ての人が平等に生きるために通らなくちゃいけない道なんだよ」

そう言い残すと瑞菜は窓に手をかける。

「待てよ。一つだけ質問に答えろ」

「いいよ。一つだけね」

「お前まさか……死ぬのか?」

そう、俺が聞きたいのはそれだけだった。

俺らの集団を壊滅させるなら今までだってできたはずだ。

でも、それはできなかった。

今までの敵はほとんどが元仲間だった。それはなぜだ?

諦めさせるためじゃないのか?

そもそもそれたちの集団は戦うために作られたんじゃないんじゃないか?

例えばそれはバラバラになった仲間の居場所を作るために作ったとか。

だから、これまでの敵はみんなが死なないような戦い方をして心に傷を負わせてこの集団を解体しようとしたんだ。

だけど、俺が尽く勝ってしまった。

そう思えば辻褄が合うじゃないか。

「……」

答えない瑞菜。

多分当たってる。

だから答えられないんだろう?

「答えないならもう一つ聞く。前、瑞花に手紙を送ったな? それにはこう書いてあったんじゃないか? 『私たちは戻るつもりはないから集団を解体しろ』とか」

窓にかけてあった手を離し瑞菜が俺の方を見る。

「あはは、バレちゃったか。そうだよ、私がいなくなればこの集団の存在価値はない。あとは私だけなんだよ。ここに戻ってこないのは。でも、私はこっちには来ないよ。だって、決めたんだもん『みんなが平等の世界をつくろうって』」

それだけ言って瑞菜は悲しそうな目を見せて窓から外へ出て行った。

残された俺は増えた疑問を考えるが答えは出なかった。

そして、今日の夜は始まった。

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