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俺と彼女と狼な関係  作者: 七詩のなめ
第一章 フェンリル計画
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第一話 不幸が一転幸福に……ならないよな

不幸が一転幸福に……ならないよな


俺、最宮誠は絶賛不幸続出中である。

家に帰ったら何もない部屋。あるのはテーブルとその上に置かれていた手紙。

『拝啓 最宮誠 様


 今日はとても曇っていますね。

 まあ、そんなことはいいとしましょう。

 実は……借金を作りました。

 お母さん曰く「ごめんね、誠ちゃん、お母さんはあなたよりお金が好きなのよ!」だそうで す。

 では、頑張ってくだい。

 

 追伸

 この手紙を読んでいる頃借金取りが来るかもね』

「なん……だと……?」

軽くないか、マイペアレントよ。

「って、待て待て。最後になんて書いてあった?」

借金取りが来るだと!?

ちょうどその頃家のインターホンが鳴り出す。

「最宮さーん? 怖い人ですよー」

「少なくてもそういう言い方はしないよな!?」

俺はドアを挟んで向こうにいるいかにも怪しい人物にツッコミをしていた。

「声が返って来たってことはいるんですねー」

ま、まずった。

これじゃあ、俺がいることを教えてるようなものじゃないか。

俺はその場に立ち上がり逃げる手段を模索する。

「おい、バズ――物を持って来い」

「今、バズーカって言おうとしましたか!?」

俺は逃げ場所検索を倍速にする。

玄関ダメだろ。

他に逃げられる場所は……。

「ファイア」

ズドーンと大きな煙を上げて玄関が破壊された。

「ホントにバズーカだったよ」

俺は間一髪で窓から飛び降り今現在は走って逃げていた。

「不幸だ。いや、大不幸だ」

親に捨てられ借金まみれだと? そんな素敵な人生を送りそうな人が一体どこにいるだろうか? 否、いないだろう。

「おい!  ガキがいねぇぞ! 探せ!」

「いました! 外です!」

「いたじゃねぇよ! 追えよ!」

「ははは、はい!」

チッ、もう見つかったよ!

俺は行く宛てもなくただひたすらに走った。

街まで行けば裏路地を使って逃げ切れるんだろうけど、ここだと単純すぎて逃げるには適してないぞ!

「待てガキぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!」

「待つか!」

俺は大声で否定してひたすら走る。

それから、三十分ほど追いかけっこをしたあと、やっと街についた。

「よし、これで逃げきれる」

俺は一番手短の裏路地に入ろうと体を右に回転させると……。

「きゃ!」

「うお!」

誰かとぶつかり押し倒される。

ん? なんだ? 口元に柔らかいものが……。

こ、これは唇か!

ま、まずい。これはまずいんだ。俺にはキスはダメなんだ。

ドクンッ

ああ、なっちまった。

「ご、ごめんなさい。ええ!? ああ、ごごごごめんなさい!」

どうやらぶつかったのは少女のようだな。

いや、少女だから大丈夫とかはないぞ?

「待て! 少年! その子を抑えてくれ!」

「おい。待てやゴラァ!」

片方は少女を、片方は俺を狙って走ってくる。

「あ、あの会ったばかりで何ですけど、私を助けてください!」

少女が泣きそうな顔で頼んでくる。

ああ、ダメなんだ。そんな顔したら『今の』俺は断れないんだから。

「ふふっ。それは君の願いかい?」

ああ、始まったよ。

俺はこれが嫌なんだよ。

「え? う、うん」

「そうかい。なら、その願いを叶えてあげようじゃないか」

俺は立ち上がりついでに少女をお姫様だっこしていた。

「え? ええ!? ななな、なんですか?」

「君の足は綺麗なままが可愛いからね。このままでは傷ついてしまうよ」

見ると少女の足には靴がなかった。ついでに言うなら足から血が出ていた。

「え? でも……」

私がいたら邪魔ですよね?

少女は悲しそうな目でそんなことを言い出す。

「邪魔じゃないよ。んー。でもこの量を敵に回しているから少し窮屈ではあるけどね。だから、ここで待っていてくれないかな? お姫様」

そう言って適当な場所に少女を座らせる。

「あ? おい、ガキ。追いかけっこはおしまいか?」

「き、君! その子をこっちに――」

「さあ、始めよう。僕が思い描いた最高の結末のために」

俺は両手を広げて無防備状態で立ち尽くす。

「ガキが!」

男が俺に襲いかかってきた。

「甘いよ」

俺は男の頭を掌で軽く受け止め横に誘導そのまま足を引っ掛けて転ばせた。

今のは確か古風武術だかの応用だったかな。

「な、なんだこいつ」

男は何が起きたのかわからず混乱している。

「く、クソが!」

もう一人の男が俺に突っ込んでくる。

「はぁ、君たちは格差というのがわからないのかな?」

俺は再び掌で頭を受け止め足を掛けて転ばす。

「ななな、何なんですかこいつは!」

ほかの奴らは皆腰を引いて逃げて行ってしまった。

ああ、『こっち』の俺は強いんだよなぁ。俺は……察してくれ。

「さ、残ったのは君だけだけど。どうする?」

俺は微笑んだ顔で少女を追っていた男性を見る。

「君は何者なんだい? どこかの武道集団なのかい?」

男性は驚いた顔で呆然と見ていた。

「そんなことは関係ないだろう? 今は君がどうするかなんだよ? さあ、どうするのさ」

今の俺に勝てるのは世界チャンピオンを余裕で倒せる奴だけだぜ。

まあ、そんな奴はいないんだけどな。

「だが、私にも仕事があるんでね。その子はこっちが保護しなくちゃならないんだ」

男性は構えを取る。

ボクシングだった。

え? これってまずいんじゃね?

「へえー。君は立ち技最強の武術を使えるんだね。まあ、關係ないけど」

「済まないね」

男性は俺に向かって快活なステップで来る。

対して俺は笑っていた。

「君が立ち技ならこっちは寝技だよ」

男性が放った素早いジャブを避けると懐に潜り込んで腰を掴んで押し倒す。

「なっ……」

男性は俺が一つの武術しかできないと思っていたんだろう。

まあ、当たらずも遠からずなんだけどな。

「はい、ギブする?」

俺は押し倒した男性に素早く四文字固めをすると激痛を浴びせる。

「ぐ、あ……」

このまま行けば足が折れるだろう。

というか、もうメキメキ言っている。

俺はどうやら折るつもりはないらしい。立ち上がり心臓にかかと落としをした。

「ぐはっ」

しかも心臓が脈を打った次の瞬間にタイミングを合わせてかかと落としをしたためダメージは膨大だ。

きっと、さっき飛び込んだ時に心臓の動きを把握して寝技で安定させてから眠らっせたのだろう。

まったく、大したやつだよお前は。

「これが僕が望んだ結末さ」

それだけ言うと振り向き少女に微笑む。

ドクンッ

って、ここで代わるのかよ!

「……」

ヤバイ。少女の目が怖い。

「えっと、チャンチャン。的な?」

俺が困り果てて出た言葉はそんなものだった。

ああ、なんでこっちの俺は女の子の扱い方がよくわからないんだぁ!

「すごい。あんなにいた人たちを簡単に倒すなんて。すごい、すごいよ!」

少女の目が輝いている。

あれ? もしかして俺褒められてる?

「あ、あはは。そうか?」

俺は照れ隠しの為に笑っていた。

「そこまでだ。少年」

俺の首元に鎌の刃が突き立てられていた。

「はひっ!」

俺は動けない。いやいや、そもそもこんな状況で動ける常人はいませんよHAHAHA……。

助けてぇぇぇぇぇぇええええええ!!

誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇえええええええ!!

「来夢、それくらいしてあげなさい。その子はこの子を守るためにしたことよ。まあ、下心があったかもしれないけどね」

いつの間にか少女の隣には別の髪の長い少女が座っていた。

「そうそう、でもさぁ、この子ホントにあいつらの手下じゃないのかな?」

俺の横にはいきなり現れた髪の短い少女。

「多分大丈夫ですな。その人はホントのマジで一般人ですな」

暗闇から現れたのは小さな体とそれとは正反対の大きな本を持った少女だった。

って、女の子ばっかりですか!?

「取り敢えず。殺しとくか?」

俺の後ろの鎌を突きつける少女がそんなことを言い出した。

「いえ、その子にはこの子の護衛でもやらせてみましょう。その子の力にも興味があるしね」

え? 何? 俺モルモットにされるのか?

YA・ME・TE!

そんな非合法・非合理的なことで俺を巻き込まないでくれ!

「なら、歩け」

少女が俺の背中を蹴る。

俺は渋々歩くのだった。

ああ、これから俺の人生どこへ向かっているのだろう。

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