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「簡単そうな依頼に見えるけど、そんなに大変そうなの?」
最上級生の余裕なのか未知の性格なのか、のんびりとした様子で口にする疑問は純粋なもののようで深波は返答に困った。俗に"いわくつき"なんて呼ばれている物の可能性もあるのに、それがどうしたの?とでも言うようなケロリとした態度だからだ。
「だってここに依頼がきている以上、ただのネックレスのはず無いでしょうよ」
困惑した表情の深波に、いい?そういって未知は人差し指を立てた。
「それが徳川埋蔵金でも飲みかけのペットボトルでも、それ相応の対価を頂いて預かるのが私たちの仕事。それがどんな物なのかきちんと裏は取らせてもらうけれど、法的に問題のある物でない限り引き受ける。入部の時にそう説明したはずよ?」
それは深波だってよく知っていることだ。
信用のため、信頼のため、ジェネラルストアは依頼された仕事はぼぼ全て引き受けている。未知が先ほど説明したように、殺人だとか強盗だとか法的に問題のある物でない限りは必ずだ。
「たった1日預かるだけじゃない。それにどんな手段を使ってもいいのでしょう?」
そして未知は極め付けにこう言った。
「それならカンタンなお仕事よ」
得意げにウインクを決めた未知に、深波は空いた口がふさがらなかった。