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部室塔の4階の一番奥に、ひっそりと存在してる部屋は、学校一有名な部活動の部室である。
その名も"ジェネラルストア"。
誰が所属していて、なんの目的があるのかわからない事から、学校の七不思議と同列の扱いを受けているその部活は、まだ出来てから3年ほどしかたっていない。
そんな伝統など全くない部活に所属しているひとりの女子高校生ー陽鈴奏 深波。
彼女にはある特技がある。
それは一般的にハッキングと呼ばれるもので、その技術はプロレベルだといっても過言ではないらしい。
「お姫さんよ。今回もいつものように、依頼主の詳細情報を手に入れといてなぁ」
お姫さん。
それはジェネラルストア店長兼部長の、紅桃林 紅が付けたあだ名だ。ちなみに、このあだ名は主に部長しか使わないしその由来も部長のみが知っているらしい。また、彼女はジェネラルストアの創設者であり、三年生という名の権力の持ち主でもあるため、逆らう事などもってのほかなのだが、美波は紅に対して腹を立てていた。
彼女の命令口調はいつもの事だから全く問題ないとしても、後輩をこき使いすぎだからだ。
〇〇しといて。
そんなことを軽々しくいわれたって簡単にできるわけではない。
個人情報を調べるのは根気のいる作業であるし、情報操作やハッキングなど精神的疲労がたまるものは出来ればしたくないのだ。だというのに紅はその言葉だけを残し今日もどこかへと立ち去って行った。