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「私の部屋、二階にあるから先に行っててもらっていい?階段上ってすぐの部屋だから。他の部屋と間違えないでよ?」
深波の声かけに飛鳥は一つ頷くと、階段を上っていった。階段を上った正面にはドアがあり、minami's roomと彫られたプレートがかかっている。ここまではっきりと主張されていて間違えるはずがないだろうと、飛鳥は小馬鹿にされた気分になりながら深波の部屋であろうドアを開けた。
深波の部屋は女の子らしくありながらもさっぱりとした部屋だった。白やピンクを基調とした家具でまとめられてはいるが、ただただ物が少ない。勉強机に床におかれた小さなテーブル、教科書などが詰め込まれた本棚に真っ白い布団がかかったベッド。勉強机の上にはノートパソコンが一台置かれているだけで他に物は見当たらない。
ぬいぐるみや可愛らしい小物の一つや二つ飾ってあったりしていそうなものだが、それがないどころかティッシュやゴミ箱といった生活用品も見当たらなくて、モデルルームにでも来ている気分だった。
飛鳥はとりあえずテーブルの横に腰を下ろし深波を待つことにした。カーペットもなくフローリングにそのままテーブルが置かれているからおしりが痛いのがすこし難点だった。
長い間座っているのはきついなと思っていると、階段を上ってくる足音が聞こえ
「おまたせー」
と、おぼんにコップを二つのせた深波が部屋に入ってきた。そんな深波の姿を見て、飛鳥は怪訝な表情を浮かべる。
「別に私は依頼品を取りに来たのだから、もてなさなくてもいいんだぞ?客でもあるまいし。これが済んだら帰るしな」
「家に上がった時点で客よ。客をもてなさないのは私の規律に反するの。というか出されたものに文句いうとか何様よ」
再び始まる口喧嘩。ここは部室でないのだから止めてくれる人も居ないのに、二人の口は閉じることを知らないのか言葉を紡ぎ続ける。
「もてなさなくてもいいと気を使って言ったのに、なぜ私が怒られなければならんのだ。だいたいお前はいつもいつも一言余計で......」
「そういう飛鳥こそ、その気づかいの言葉が余計だってわかんないの?先に部屋に行っててって言った時点でもてなすことくらいわかるでしょ。それを飲み物を持って部屋に来てからもてなさなくてもいいとか......なんなの?」
「なんなのと言われても、私は私だとしか言いようがないのだが」
「そういうんじゃなーい!」




