第九章 太陽系第3惑星地球号
伸也に何処からかテレパシーが送られて来た
しかも、早朝だ
木村ではない信号だった
信号は全て16進数、どうもコンピューターを使った信号の様である
「眠い」伸也はスマートフォンを手に取り、信号の解読を行った
「UL研は我々が貰う?朝から酷い悪戯だな」
ピコピコ「――木村さん起きてる?え、もう研究所?朝から酷い悪戯ですよ~」
木村は笑っていた。「貰うって、何処かの大富豪なのかな?念の為に信号の発信源を調べて見ましょうか?え、ブリスベン。オーストラリア連邦クイーンズランド州か。行ってみたいわね」
「え、オーストラリア?衛星使わんと無理でしょう?ネット回線でいけるのかなあ」
伸也は即効で着替え、菓子パンを片手にマンションから飛び出していった
塚口から電車を乗り換え、北伊丹駅へ、そして市バスを乗り継ぎ研究所へ着いた
「あ~やっぱり腹が痛い、くそっC棟だな」そう言ってC棟セミナールームの横のトイレに駆け込んだ。
U棟計算機室に着くや否や、自分のスマートフォンを木村に見せた
「あ、是衛星回線使ってるわ」
「テレパシーでそんな事出来るの?」
「発信するのはコンピューターなのよ、其れを日本のテレパシー発信源を中継して送ると、こんな信号になるの」
「へ~じゃあ是馬路な訳だ」
「まあ、是多分貰うと言うより法るって事かしら?」
「くそっ出来るもんならやってみろってんだい」伸也は鼻息を荒くして言い放った
そして、ネットワーク管理者としての正義感を放っていた
「こっちには伊藤君が居るからねぇ」木村が珍しい事を言い放った
遠方からの来客者になりそうだった
「オーストラリアだったらインドネシアの秋栄電機支店のネット設備を使って応戦って処かしら」木村は対電子攻撃システムの事を知っていた
何故、伸也に直接テレパシーが有ったのか?多分応用物理学会関係であろう
伸也は是までに十回近く応物で発表しており、馴染みの顔もいた
特に日立関係の知り合いが多く、よく笑い話などもしていた
そして、HL800DGに尽いても情報を交換していたのだった
翌週、「ブリスベンから攻撃が有ったわよ」木村から珍しくテレパシーで連絡が伸也に有った
「ウィルスで?」
「違うの、チャットで。ワークステーションに直接。私の014番と加納君の121番に」
「へ~やるじゃん、じゃあそのログ見せてよ。防御はその後したの?」
「それがね、加納君が気に入っちゃって、逆にこっちから交信して行ったらしいのよ」
「それじゃあ、法るんじゃあないじゃん」
「ま、彼次第ね」
「じゃ、僕は身を引くという事で良い訳だ」
「何か有ったら連絡するわ」
「やっぱり地球は丸いんだね」
伸也は事件の報告を001番ワークステーションにしました
家に帰り妻由果にも報告した
スペースバトルも考えなくてはならない時が来ようとしている事が伸也には分かってきた
EU圏からも最近テレパシーが多い、特にフランス
原子力発電施設を58基も持っている国だ。原発依存度79.1%この国の原子力研究所から伸也の元へもテレパシーが入ってくる事が多くなってきている
それらは、好意的なものもあるが敵対してくる事も有るのだった
その他にも、IT大国インドからも
伸也もワークステーション三百数十機を取り纏めるのに苦労していた
その為、休日は返上という事が多かった
最近、伸也は電波望遠鏡のネットシステムに従事した仕事を始めていた
宇宙からの電磁波は色々有るが、その中の意味の有る物が最近になって発見され出したのである
意味有るというのは16進数に変換できる解析可能な電磁波である
この電磁波の解析に取り組んでいるのだが、これは木村と協同でやっており、態の良いアルバイトのようなものである
「この前の電磁波解析できた?」伸也が木村に尋ねていた
「凄いのよ、生命活動を意味するκ波のデータが取れたの」
「へ~じゃあ生命の存在する星が有るって話?」
「オリオン座の左肩のベラトリックス(アマゾンの女戦士)で地球から240光年の星の惑星σって星」
「へ~夢が有るねぇ、その資料あとで見せてよ」
「うん、今作成中だからあとで送るわ」
013番ワークステーションの警報が突然鳴り始めた
「ん、不審者かな?」
ハザードを見ると浮羽天文台からの侵入者だった。「あ~ガリレイさんか」
「EBの調子は如何ですか?久しぶりですガリレイです。去年の応物以来ですね、伸也さん」
ピーピーエントリーコード解除しました
「久しぶりです、突然の訪問ビックリしました。EB直描は順調ですよ。浮羽の具合は如何ですか?」
「そうですね、アルタイルの発表以来忙しくしてました」ガリレイさんは、チャキチャキのイギリス人であり日本をこよなく愛している
「赤色矮星のプレゼンテーション最高でした。あの発表は天文界の大事件でしたね」
「今度はネットカフェでチャットでも宜しくお願いします」伸也には嬉しい誘いであった
「此方こそ、このワークステーションならいつでもオッケーですよ」伸也はホッとした
不審者でなかった事が一番の事であったが、ガリレイさんはとても親切で優しい外国の人だからでもあった
「今日は頗る良い日だ」伸也はそう思った
こんな日の夕食は決まって由果の作るカレーだ。是が、最高に美味いのだった
人類にワープは可能なのでしょうか?
地球はワープしてない事は確かな様であり、そんな事はあり得ない
では、サイコキネッシスは可能なのか?
それは定義の問題であり、電磁波はサイコキネッシスではないのか?
という事は、万有引力はどうなのか?
今の時代スマートフォンは当たり前のように有るが、10年前は如何だっただろう?20年前は?その時代では殆んどサイコキネッシスの様な物だったに違いない
半導体の技術はあと数十年したら、人の脳を機能的に越えると言われている
U棟喫煙室にて
またもや伸也と中本氏がヒソヒソと話をしている
そこへ涼子が現れた
「まあた、内緒の話ですか?」涼子はタバコは吸わない、代わりにコーヒーを持って来た
「ちょっとね、次の時代のEB装置を誰に預けるかって話」伸也は此の先直描は有って当たり前になってくると察知していた
「その候補は篠原で決まりよ」涼子が珍しく人事に口を挟もうとしていた
「ま、それよりネットワークの方が行き詰るんじゃないかって思って」涼子が心配していた
「テレパシーの使用頻度を上げよう」伸也が突拍子もないことを言い出した
「駄目、それは公式に残らないから」涼子は反対の様である
「どう思いますか?、中本さん」
「わしはじゃなスマートフォン戦争が始まり掛けていると思っとる。歩きながらワークステーションを操っているような物だからな」
「そういえば、新作ウィルス出来たよ、是が画期的。ウィルスをウィルスが消滅させるって話なんだけど」伸也の自信作のようだ
「ウィルス、ウィルスって、もうばい菌だらけね」今はそれが有っての涼子なのだ
「地球がワープするって話が有るんだけど」伸也が訳の分からない話を涼子にしてきた
「何ワープって?」
「宇宙空間には電磁波的にねじれている所があって、そこを地球が通過するとワープ現象と同じ事になるんだって」伸也の新作のネタであるようだ。「何故にねじれるのかなんだけど、太陽のフレアに影響されて磁場がねじれるって言ってるんだ」
「そんな事より、次の人事移動どうなっちゃうのかなあ。計算機室を一つのグループにするって誰だったか言ってた」
涼子はずっとプログラマーをやりたかった