第十章 エスパー
涼子がワークステーションのメールを見ている
「あれっ」見慣れない名前のメールが一通、まさかウィルス?職業病かな?
「ハロー、何やってるのかな?」計算機室に久しぶりに伸也が入ってきた
「もう、変なメールが着てるの、差出人はガリレイって人」
「あ~ガリレイさんって浮羽天文台の研究者だよ、元ハッカーで今は真面目に天文学の研究やってる人なんだけどね」
「そのメールの内容が、地球が焼け野原になるって書いてあるの」涼子が心配そうに喋った
「あ~太陽のフレアの事だね、太陽は十一年周期で磁石の反転運動をしてるんだけどね、それが今、異常な状態なんだって」伸也は何故か知っていた
「え、じゃあ本当に焼け野原になるって事?」
「いやっ、焼け野原にはならないんだけど。大変な事になるってのは本当らしいよ」
「怖いわね」涼子が悲しそうな顔をした
「まあ、それより俺テレパシーとサイコキネッシス出来るけど。今度、瞬間移動出来るようになったんだ」伸也が自慢げに話した
「そんな、馬鹿な」涼子は苦笑いをし、手を横に振った
「じゃあ、いいかな」伸也が気合を入れ「えいっ」と掛け声をした
次の瞬間涼子には、伸也が二重に見え微かに霞んで消えた
そこから五メートルの所へ伸也が現れた
「え~」涼子は目を疑った。「何かのマジック?」
「それは、このスマートフォンにあるんだ、テレパシーは電波、サイコキネッシスは電磁波、そして瞬間移動は光量子」
「何また訳の分からない事を」涼子はぷんぷんと怒った様な顔をし、ワークステーションに向かった
「それはね、フォトンを粒子化して、このスマートフォンで変換するんだけど、映像は結局フォトンの集まりで・・・」伸也の馬鹿話には、涼子は飽きていた
「手品馬鹿」プログラマーも手品の様な物である
「また悪巧みですか?」そこへ匡がやってきた
伸也と匡は何故かテレパシーが通じない
是は、二人にとって不満な事だった
何度か練習もしていた
「いきますよ伊藤さん、今僕の考えている事を想像して下さい」
「OK宜しく、んんん分からん」
「では、もう一度、はー」
二人はばからしくなった。
「無理だね、木村さんとは上手くいくんだけどね」伸也は不思議に思った
「携帯が有るからいいんじゃないですか」匡は現実的に言った
そう、この世は進歩しすぎたのかもしれない