閑話
変な女…たちが現れた。
*
ヴェール王国は大陸の中でも1・2を争う大国。この数百年安定した繁栄を誇り、城下の都も活気に満ちている。
そんなヴェール王国には現国王の元に2人の王子たちがいる。
第1王子 サイル。
御年28歳。
第2王子 リディアス。
御年26歳。
最近のヴェール王国家臣達の関心は、2年前隣国の王女と結婚したサイル王子から、未だにのらりくらりと婚約者どころか恋人も決めない第2王子リディアスにシフトチェンジしている。
そんな今日この頃。
*
変な女たちが現れた。
何をとち狂ったか、家臣達は国家が誇る最高位魔術師たちを総動員して異世界から女を召喚したらしい。
しかも何故か2人。
――――…嫁候補?
…正直まだ遊んでいたいんだが。
*
リディアスは異世界から来た2人を観察した。
向かって右の女はフワフワした髪を腰まで伸ばし、茶色とも栗色とも言えない不思議な色をしている。
「ねぇねぇ」などと軽々しく声を掛けられた時は驚いた。
隣の女はリディアスと同じ黒髪を…なんと肩より上で切り揃えていた。
普通女性は髪を胸元辺りまでは伸ばす。
2人は知り合いらしく、親しい口調で会話している。
似たような服装をしており、下着ではないのかというようなスカート………
(これはスカートと言えるのか?)
……もどきからは、白い足が惜しげもなく晒されている。
そして、2人とも目がでかい。睫毛に至っては恐ろしく長い。人形のようだ。
唇は見たことも無いほど光っており、ぷるぷるしている。
会話を聞く限り、なんだか頭の足りなさそうなフワフワ髪と、無表情で冷たそうな黒髪。
――この2人のどちらかと結婚…。
無理だな。
そう思った。
名前を教えたらフワフワ髪が困った顔をして言った。
「りでぃあす?」
ずっきゅん。
――――前言撤回。
フワフワ髪にしよう。
第1王子サイル「リドは昔猫飼ってたよね」
家臣「ええ、可愛がっておられました」
第1王子サイル「確か茶色の…」
家臣「いえ栗色では」
第1王子サイル「そうだったかな?ちょっとお馬鹿な子猫だったよね(笑)」