追放
この世界に来て気がついたことがある。
こいつらに人種差別はない。
あるのは・・・
「おっさん!黒髪なのに、つかえねえ。追放だ!」
利害関係だ。冒険者パーティーを追放になった俺は32歳松永康夫だ。
転移者だ。
「分かった。そうなるよな。あばよ」
十代、二十代の冒険者チームから追放を受けた。まあ、仕方ない。
「ふう。明日から独りでもいける薬草探しにでも行くか・・・」
と思ったら。服の裾を引かれた。
「私もついてく・・・」
「エスダちゃん・・・」
彼女は帳簿係だ。元貴族令嬢だ。
「エスダは有能な雑用係だよ。残っていいよ」
「リーダー、雑用じゃない。帳簿係だよ」
金髪で背が低い15歳だっけ。そのエメラルドグリーンの瞳でジィと見つめられるとなんだかなーと感じる。
「どーしてついて来たの?分け前か?」
6人パーティーだった。剣士のゾロをリーダーに俺以外の女のハーレムパーティーだった。
女大歓迎、そして、分け前は基本6等分だが平等ではない。エスダは後方の帳簿係だから分け前が少なくなる。でも、エスダの答えは意外だった。
「マツナガ優しかったから・・皆を見ていた・・・」
ああ、そうか、荷物持ったりしてあげたからな。
「分かった。でも、薬草探しするよ」
「うん」
薬草探し。
浅い森ではあまりお高いのはなく、薬草も少ない。
2人で探して日本円で五千円か?
宿は・・・同じだ。
「ほれ、エスダはベッドだ。俺は床に寝る」
「うん。まだ、早い・・・」
毛布をくるまい寝る。固い床だ。思い出したら夢を見た。
☆夢
『除染所開設!』
『被災者の方はこちらへ!』
『隊員は交代で休め!』
ああ、この時も固い三トン半トラックの荷台で寝たっけ。
泥の中で寝たときもあったな。
「マツナガ、シェイプコ!シェイブコ!」
「な、何だって!」
・・・・・・・・・・・・・・・
「はっ!」
目が覚めた。朝は早いのに・・・
と思ったら、森に立ち入り禁止令が出た。
「緊急クエスト!森に・・・魔物、下等遊民級出没!異界の傭兵崩れと思われる。
1人金貨一枚!B級パーティー以上!成功報酬金貨100枚!」
「「「「よっしゃ!稼ぎ時だ!」」」
あ、ゾロのパーティーもクエストに参加した。
「へへへ、本物の黒髪を殺って、有名になるぞ!どこかのなんちゃって黒髪とは違うから手強いぞ」
まあ、俺には関係ないけどね。しかし、困った。金がないな。
しかたない。
「エスダ、これを食え」
「・・・何これ?」
「ポーションだよ。袋を開けて、夜は木賃宿で寝よう」
「うん」
クラン規模で出撃したから、大丈夫だろう。下等遊民級一人に100人くらいで討伐出来る戦力比だ。何故か下等遊民級は一人で出没するらしい。
と思ったが、3日後。
ゾロのチームの女が怪我だらけでやってきた。
「はあ、はあ、はあ、マツナガ」
「逃げて。もう、無理だよ。私達以外は全滅だよ」
「ゾロは?」
「殿をやって、街の門で力尽きた」
「な、何だと!もうすぐか・・」
「冒険者総動員発令!等級問わずに招集!これでダメなら領主案件になるぞ!」
今、残っている冒険者で最高年齢は俺か?皆、10代の若者だ。
俺は腹を決めた。
【冒険者よ!名を轟かせたい奴は集まれ。俺が勝たせてやる!】
数十人ゾロゾロ来た。
門の前に来たら、ゾロがいた。血だらけで座っていやがる。
「ゾロ大丈夫か!今、止血するからな!」
「お・・・さん。何故?俺、お前を追放し・・よ」
「黙っていろ!」
「嫉妬・・したよ。おっさんに」
おっさん。みんなに声をかけて、体調とかみていた・・・よな
細かいところに気を使ってよ・・・おっさん。びっくり箱のようにいろいろな物を必要な時に出してくれる。
「俺がリーダーなのに・・・よ」
「ああ、お前がリーダーだ。お前も経験積めばそうなる。俺も若い上官に対する接し方不味かった。すまない」
「ば~か、そういうとこ・・・嫌いだった・・」
ゾロは息絶えた。
すると、見たくもない奴らがやってきた。
黒髪の同族だ。
ランドクルーザータイプをオープンにした車両で・・・4人か。車と4人だから苦戦したか。もしかしてサバゲタイプか?
「ニキ、現地人弱いね~」
「魔法対銃じゃ、簡単だね」
「ゲーム的処理だな~」
「戦争たのしー!」
俺は指示を出した。
「門を閉めろ!あの銃は厚い木の門と石は通さない!冒険者は城壁の前で待機!」
門を閉じた。奴らは銃を撃つが、やはり城壁や門は通さない。
そして間違いなく彼らは間接射撃が出来ない。
そして、こちらは出来る。
この世界の弓手は間接射撃が日常だ。
「弓を使える者!曲射だ。距離300,十四時の・・・」
分からないか。なら、俺は城壁に登り。落ちていた槍を立てた。
【この方向に300メートルだ!討て!】
矢が俺の頭を越えてやってくる。
ランドクルーザーに矢が数本当たるが・・・
「ニキ!城壁に男いるよ!」
「撃てよ」
「あ~、小説的処理だな。わかんねえ」
「ねえ。いつ、この戦争面白くなるの?」
奴らは城壁から100メートルの位置で止っている。
エスダが登って来やがった。
「おい、エスダ来るな。足手まといだ」
「うん。すぐに引っ込むよ。冒険者が次の指示を聞きたがっているよ」
「なら、城壁の上のカタパルトを撃つ!射手と水と炎の魔法使える奴上がってこい!」
「うん!」
上がって来た奴に指示を出す。
「ウォーターボールだせる奴は展開しろ!水は弾をはじく!」
「カタパルトで矢を放つ。矢の先に着火!あれはガソリン・・いや、燃える油が充満している!」
さすが、いつも小集団で戦闘を繰り返していた奴らだ。未熟だが兵士だ。
俺やカタパルトを守るようにウォーワーボールを展開する。
ウォーターボール、生活魔法だ。大気中の水を結晶させて飲み水にする。
勝手に油を持って来て、矢の先に油を染みこませた布を巻き付いて着火している。
「お前らの判断で撃て!」
「分かった。少し時間が掛かる」
そして、彼らは自ら考えて行動する。
「なら、投石は、この距離なら届くぜ!俺は投石のビリー」
「おう、気をつけてやれ」
実はこいつらが敵に回ったらよっぽど厄介だと思う。
・・・・・・・・・・
「あ~、馬鹿だ。城壁の上に登って来ているよ」
「撃て!撃ったらログアウトしようぜ。もう飽きた」
「ってか出来るの?」
「あれ、人が倒れない。大きな弓が・・・」
「何か布を回している奴がいる。投石か?」
「プゥ、馬鹿だな」
バシュン!
一名負傷した。
「あれ、ニキ血が出ている」
「たいした問題じゃないよ」
「ログアウトしようぜ。全然楽しくなくなった」
「い、いたい、医者、医者につれて行ってくれ」
次は燃えている矢を放った。
が、ハズレて、横に大きくそれた。
ヤバい車が動き出した。
「うわ。デッカい矢が来た。逃げた方がいいんじゃねえ」
「ニキ痛がっているから少し場所変えない。あ、これマニュアルか、バックバックっと・・」
「そのまま突っ切って右に行けばいいんじゅねえ」
こちらも余裕がない。
「ウォーターボール・・・小さくなってきた。空気の中の水ないよ」
もう、限界か・・・仕方なし。
「(六十四式7.62ミリ小銃、銃搬出!)」
ピカッと空間から64式銃を出した。
「装填!」
銃の状態を確かめる間もなく、構えて。
ダダダダダダダダダダ!
連射をした。あっという間に20発弾倉は空になる・・やったか?
奴らは車に伏して動かない。
「ヨシ、車は燃える。もう一度カタパルト・・・」
銃を見せてしまった。こいつらの反応は・・・
「うそ・・」
「マツナガ、やっぱり悪い方の黒髪族だったんだ・・」
「殺る?」
俺はそのまま逃げた。
もう、誰も信用できない。こちらがバンバン現地人を殺すように、この世界の者は銃を持っている者を本能的に恐れている。
この世界はどっかのゲームに似ているらしい。
追っ手が来るか?来たのはエスダだった。
「マツナガ・・」
「エスダ!帰れ!パーティーは解散だ!」
「マツナガァ」
ついて来る。
「キャア!」
転びやがった。
仕方ない。山の中でポーションを召喚する。
「ここで野営する。飯やるから交代で見張りだ」
「うん・・」
もう、利害関係に持ち込むしかない。
俺は捕まって人体解剖されるのか?それとも、武器を死ぬまで出される奴隷になるのか・・・
一応、エスダの見張りの時、弾は装填したまま抱いて寝る。危険だが・・・仕方ない。
夜・・・夢を見た。
「マツナガ!マツナガ!」
金髪の白人女性が俺を呼ぶ。あれは・・・ターニャ!
「ターニャ!」
目が覚めた。
「あっ」
エスダが銃を構えていた。俺の手には銃がない。
「そうなるよな」
「マツナガ、動かない」
もう、撃ち方を覚えたか。感心な子だ。
バン!バン!
銃声が2発響いた。
だが、俺の体からは血が出ていない。
「う、ウグ、ハグ・・」
「ヒィ、逃げろー!」
俺の後ろに人がいた。あれはあの街にいたやつらだ。見覚えがある。
「返すよ・・・大事なジュウ触ってごめんなさい・・」
「エスダ・・・ありがとう」
「ターニャって誰?」
「お、お袋だよ」
何故かお袋と言った。前世の恋人だ。
どうやら利害関係無しで背中を預けられる相棒が出来たようだ・・・
最後までお読み頂き有難うございました。




