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プロローグ

あの頃のわたしは、誰かに言ってほしかった。

「それでも綺麗だよ」って。

見られるのが怖くて、見せることができなくて、

でもほんとうは、見てほしくて――。


世の中が、“マスクをつけているほうが普通”になって、

誰もが「隠すこと」に慣れてしまった頃。

わたしは、ずっと前からその中にいた気がする。


マスクをつければ、誰にも傷つけられずに済む。

でも、あの子が言ってくれた。

「誰かに好きって言われたいなら、自分のことを好きにならなきゃダメなんじゃない?」って。


その言葉に背中を押されて、

私は少しだけ、前に進めた気がする。


――あれから、あの人には会えていない。

きっとまた、どこかで、別の誰かの背中を押しているんだと思う。


だからこの想いは、ちゃんと心の中で伝える。

「ありがとう」って。

そして、

――「わたしは、もう大丈夫だよ」って。


これは、マスクの下に隠した“素直”を取り戻すための、ある女の子の物語。

そして、誰かの隠した想いをそっと支えた、もう一人の物語。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語は、「隠すこと」が当たり前になった世界で、

それでも「見てほしい」と願う気持ちと向き合う女の子たちの、小さな一歩を描きました。


誰かに認められたい。

でも怖い。

隠してしまえば楽だけど、ほんとうは――知ってほしい。見てほしい。


そんな、誰もが心に持っているかもしれない想いを、

マスクという現代的なモチーフに重ねて、綴りました。


登場人物たちの歩みは、派手なものではありません。

けれど、小さな「勇気」は、きっとどんなに静かでも、本物だと思っています。


あなたにも、

あなた自身の「素直」を、大事にできる場所がありますように。


そして、もし心がふと疲れたときは、

「誰かに認めてもらう前に、自分を認めてもいいんだよ」

――そんなふうに思い出してもらえたら、嬉しいです。


また、どこかの物語で。

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