蒼と大地の絆
碧は文化祭の準備が進む中で、生徒会長としての重責を感じていた。兄の影から逃れるために必死で努力してきたが、それでも時折自分が小さく思えてしまう瞬間がある。
そんな彼の様子を見た大地は、昼休みの時間を利用して話しかけた。
「会長、無理しすぎじゃないですか?」
碧は少し驚いたように顔を上げた。
「無理なんてしてない。俺には、これくらいが普通だ。」
「でも、それって自分を苦しめてないですか?」
大地の言葉に、碧は一瞬返す言葉を失った。彼の真っ直ぐな瞳には、嘘偽りのない優しさと強さが宿っている。
「…大地、お前はどうしてそこまで自分を信じられるんだ?」
大地は少しだけ笑って答えた。
「俺も、自分の村から出るのは怖かったですよ。でも、自分がどう生きたいかを考えたら、怖さよりも前に進みたいって気持ちが勝ったんです。」
碧はその言葉に感銘を受けた。自分が何のために努力しているのか、もう一度考え直さなければならないのかもしれない。
「ありがとう、大地。お前の言葉、少しだけ勇気が湧いた気がする。」
大地は照れ臭そうに笑いながら、碧の肩を軽く叩いた。
「俺たち、生徒会のチームじゃないですか。もっと頼ってくださいよ。」
碧はその言葉に静かにうなずいた。そして、ふと視線を窓の外に向けた。
「文化祭、成功させような。」
「もちろんです!」
二人の間に生まれた絆が、これからの生徒会に新たな風を吹き込むことになるだろう。