通り魔吸血鬼
『通り魔吸血鬼に襲われた件について』
『俺も！！』
『マジでやばいわ。吸われたら、すぐに持っていかれたしな』
『あれって、【吸血】の威力じゃないよな。その先か？』
『今のところ複数確認出来ているのは、【真祖】までだろう？』
『いや、あれは【真祖】じゃない。【真祖】の吸血のダメージ量じゃない』
『じゃあ、その先か』
『ずっとイベント荒らしをしてるあの女の子か？』
『いやいや、見た目が違いすぎるだろう』
『つまり、これまで隠れていた吸血鬼プレイヤーって事か。結構小さかったって聞いたぞ』
『確かに小さかったな』
『小回りが利くに加えて、双剣だっただろう。それに色々な属性技を使ってきたぞ』
『えっ？ ますます初代吸血鬼じゃね？』
『見た目を変えるスキルか？ 使うメリットないだろう』
『いや、その子説は簡単に否定出来るぞ』
『なんだ？』
『はよ』
『空で滅茶苦茶戦ってた』
『ああ』
『確かに、あの規模の戦いは、初代吸血鬼か』
『あの領域に踏み入った後続者はいないのか？』
『いるわけ』
『あれは、吸血鬼の領域じゃないだろ』
『化物の領域だな』
『無理無理』
『でも、あれをどうにかしないと優勝は出来ないだろ？』
『運営がスキルの封印とかしたらしいから、ギリ追いつけるんじゃね？』
『正直、あれは動く災害だと思ってる』
『今回は流星群だったからな』
『エグい』
『もう一人対全プレイヤーでも良いんじゃね？』
『いや、お前達は忘れているぞ。あの初代吸血鬼と一対一で戦い続けているプレイヤーがいる事に』
『それな』
『そうか。一人で戦闘しているわけないもんな』
『あれを抑えつけられるって、そっちの方が化物じゃね？』
『いや、まだどうにかなる化物だろう？ 災害を振りまく程の広範囲攻撃はなさそうだし』
『運営は言っている。強くなりたければ、【吸血】を取れと』
『なら、誰でも飲めるようにしてくれ。あれは無理』
『先人曰く、ドブをがぶ飲みするようなものらしい』
『それをずっと使っている初代吸血鬼って、味覚シんでんのか？』
『じゃないと無理だろ』
『それかドＭだったりしてな』
『そっちの方がまだ良いわ』
『我慢強いよりも説得力あるしな』
『初代吸血鬼はドＭだったのか……』
自分の知らないところでドＭ判定されるハクだった。
