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8-6 帰還

ご愛読、ありがとうございます。

戦場から帰って来たレオン達、最後はバーベキューで〆です。

 ハーヴェル諸国連合軍を機能停止に追い込んだレオン達、その報告に帝国軍の野営地にやってきた。


 女兵士達は皇帝やら元帥やら偉いさんの役職を言われて目を丸くしている。

「少し、お待ちいただいてもよろしいですか?」

 まあ、驚くのも解る。少年が一人とメイド服の猫獣人と狐獣人、狼獣人がカーキ色のTシャツとパンツ姿4人がショップ店員みたいなエプロンドレスだからな。どんな組み合わせだと思われてるだろう。

 そんなこともあろうかと陛下と元帥閣下の署名入りの奇襲命令書を貰ってたんだよ。

 ちなみにノルンは何回も変身させると疲れるので黒鷲のまま休んでる。


 女兵士、多分、伍長が俺が渡した命令書を持って、中央の天幕目掛けて走っていく。

 他の兵士は目の前で直立不動の姿勢でいる。


「なあ、ヴァイヤール王国軍もそうだったけど、女兵士の割合多くないか?」

 横に居たメイド服に着替えたコトネに小声で聞く。

「レオン様、知らないんですか?」


 後ろで俺の声が聞こえたらしいジェリルが「これだから坊ちゃんは」とか言ってる。知ってないと恥ずかしい事らしい。

「一般人は獣人を含めて女性の生まれる確率が七十%以上です。男性が生まれる確率は四人に一人です。ですから男が兵士になるのは、士官か従士がほとんどですよ」


 そうか、だから従士は男ばかりなのか。

「レオン様の家は男三人女二人ですから一般人から成り上がった家系では珍しいですね。伯爵様はどこかの貴族の血が入っていたのかもしれませんね」


 どういうことか聞いたら貴族、特に上位貴族は男子が生まれる可能性が高いそうだ。これは遺伝に依るものらしく、庶民でも男がたくさん生まれた家系は結婚の申し込みが多くなるそうだ


 そんなことやっていると伍長が士官を連れてくるのが見えた。多分佐官だ。うん、命令書は?

「第七国境守備隊、パウル少佐であります。命令書は確認させていただきました。それでどのような伝言でしょうか?」


「ご苦労様です。実は命令書通りに敵の指令部への夜襲を実施いたしました。その結果、司令部を壊滅、敵軍は既に瓦解し、ハーヴェル諸国連合に向かって撤退を開始しました。今、追撃をなされば多大な成果を得ることが出来ると思われます」


 もうじき帝国軍の偵察部隊が帰ってくるけど、現象に対して原因が解らないと腰を上げづらいからね。ちょっと報告してあげといた。


「そろそろ偵察に出した部隊が帰る頃なので、その報告と合わせて検討いたします。あなた方もこちらにどうぞ」

 偵察部隊はもう近くまで来てるよ。来るときに見えてた。まあ、いくら偉いさんの書類を持っているからと言って、報告の精度は解らないよね。より多くの情報を精査する必要はあるけど早く動かないと逃げちゃうよ。

 まあ、お節介かな。


「いえ、命令書は返してください。我々は帝都に戻ります」

「え、こちらでご休息なされてはどうでしょうか」

 えー、どうせ根掘り葉掘り質問攻めにするつもりでしょう。


「我々は帝国に所属している訳ではありません。あなた方が危ないと元帥閣下が言われるので手助けに来ただけです。もうあなた方だけで戦えるようにはしましたので、我々の任務は終了しましたので帰ります」

「上からもあなた方をご案内するように言われておりますので、お願いします」

 ポーロ少佐だっけ、それはあなたへの命令であって俺達が斟酌する必要はないよね。


「命令書を返してください。これ以上、我々を拘束するなら陛下にクレームを入れます」

 まずないと思うけど命令書が無いと俺達がやったことを無いことにされちゃうかも知れないからね。


「伍長、准将に理由を言って、命令書を持ってきなさい」

 可哀そうにまた伍長が走らされる。


 ふーん准将が来てるのか。どうせ俺達にふんぞり返って講釈を垂れたいだけだろう。無視無視。

「レオン様ぁ、まだ終わらないのぉ」

 アンナが飽きてきたようだ。コトネが焦ってアンナの口をふさいだが手遅れだった。


 ボレロ少佐だっけ、驚いてるよ。そりゃ十歳の小間使いが主人に文句を言うんだからな。

 アンナは小間使いと言うより、妹みたいなもんだからな。


 暫くすると伍長さんが戻ってきた。

「命令書です。お受け取り下さい。もうすぐ准将が見えますので、もうしばらくお待ちください」

 俺は中身が間違いない事を確認して受け取った。

 遠くに二人のお供を連れた小太りの叔父さんがふんぞり返りながら歩いて来る。


 もう、今度こんなことがあったら、仮で良いから高い身分を貰おう。小物を相手するのが面倒臭い。

「ご苦労様でした。それでは失礼します」

「い、いや、待ってください。准将が・・」

 俺達はボール少佐だっけ、の止めるのを無視して、ゴロを残して帰途に就いた。


 ******


 帝城 <レオン>

 帝都に戻った俺はコトネ達をアキラの店に置いて、一人で帝城に来た。

 顔なじみになった門番のおっさんと駄弁りながら、皇帝か元帥のアポを取ろうとしていた。

 だって夜襲の報告をしなくっちゃね。まあ、おっさんには言って良いのか良く解らないので言ってない。


 暫くするとよく見る侍従の人が走って来た。

「レオンハルト=イエーガー殿、陛下がお待ちです。着いて来てください」


 魔動車は官庁街を抜け、皇族の住居に入って行く。

 皇帝の執務室に通されると皇帝と元帥が待っていた。


 俺が椅子に掛けると早速皇帝が話し掛ける。

「ご苦労様、どうだったね」

 俺は簡潔に夜襲の結果を説明した。


「するとバルドゥール王国は危機を脱したと見て良いのだね」

「はい、あとは追撃戦でどれ程の打撃を与えられるかになります」

 皇帝は元帥を見た。その後を聞きたいのだろう。


「追撃はすると思いますが、訓練の行き届いていない軍隊です。どれ程の成果を上げることが出来るのか?」

 元帥はあの准将を信頼できないらしい。


「出来れば、再起できないくらいには叩いて欲しいものだ。レオンはどう思うか」

 皇帝は俺に振って来た。まあ、今時点で一番情報を持ってるのは俺だからな。


「まず、諸国連合はすぐに軍を起こすことは出来ないと思います。しかし、聖金字教国正規軍がどう動くのかですね」

「国軍にバルドゥール王国の東国境を見張らせよう。他にあるか?」


「正規軍は失いたくないはずですから、帝国やヴァイヤール王国を相手にすることは嫌なはずです。そうなると北に行くのか、西に行くのか、侵攻を停止して国力の回復に努めるのか・・・」

「南はどうだ?」

 元帥が聞いて来た。俺が答える問題なのだろうか?


「ユグドラシル聖皇国もエルハイホ共和国も国力のある国です。戦力の消耗を考えると後回しにしたいのではないかと・・・」

「つまりバルドゥール王国を落とせなかったことで、聖金字教国は計画の見直しを迫られるわけだ。後はハーヴェル諸国連合やエドゥアルト王国の戦力を教国軍として再編するのにどれ程掛かるかという事か」


 結局、今の状況では、警戒しながら軍備の増強を図るしかないのが帝国だ。


「君の活躍で帝国は生き延びた。表彰はバルドゥール王国が一段落してからになるが、まずは礼を言おう。ありがとう」

 皇帝は俺に向かって頭を下げた。


「今回の戦闘には神狼族の協力を得ました。手当願います」

「うむ、早速、使者を送って置く」


 俺は帝城を後にしてアキラの店に帰った。


 ******


 アキラの店 <レオン>

 途中、肉屋に寄ってアキラさんが頼んだ大量の肉を貰って来た。帝都では牛や豚・鶏の肉がいつでも手に入る。周辺で飼育しているからだ。


 俺が帰るとジェリルが迎えてくれた。

「遅いぞ!早く来い!」

 俺はノルンから降りる間もなく引っ張られる。

「ちょっと待て!ノルンが倒れる!」


「あ、悪い。大丈夫か?」

 ノルンはいつもの叔父さんに変身する。

「大丈夫ではありますが。気を付けてください」

 温厚なノルンも少し機嫌を損ねたようだ。ノルンも少しずつ感情を獲得している。


 中庭に引っ張られていくと大きなコンロが作られ、木炭が並べられている。

「さあ、肉を出してください」

 テーブルの上にまな板と包丁が用意されている。そこへ買って来た肉を出す。

 小人妖精のビスマルクさんが指示をして焼き易く、食べ易い大きさにさばいていく。


「済みません。皆さんは食べられないのに苦労を掛けます」

「何言ってるんですか。あなた方が幸せを感じると幸福の霊力が漏れてきます。それが私達にとって最高の御馳走なんですよ」

 そう言う事だったのか。普段の霊力より幸せを感じている時の霊力の方がおいしいのか。それじゃあ、遠慮していると申し訳ないな。


 コニンさん達が網を担いできた。

「お待たせじゃあ。さあ、焼け焼け」

 アキラさんとマサユキさんが大きな瓶を持ってきた。

「焼き肉のたれを作ったぞぉ!」


「えー、我々の平和を守る為、戦ってくれてありがとう!!」

 アキラさんが絶好調だ。

「肉も酒もいっぱい用意しました!さあ、食べて、飲んで、また明日から頑張りましょう!!カンパーイ!!!」

 それぞれ好みの飲み物を入れたコップを頭上に上げる。

「カンパーイ!!!」×いっぱい


 俺達は箸を使えるが神狼娘達やドワーフ親子・サクラは使えないので小型のトングを使う。

「これ、もう食っていいスか」

 ナルがよだれを垂らしながら肉を凝視している。

 彼女たちはこういう食べ方をしたことが無いようだ。まあ、里では肉自体を食べることがめったになかったみたいだからな。


 うちの子達はまとめて焼いて、俺の分も一緒にテーブルまで持ってきてくれる。

「これ、レオン様の分ね。これがお姉ちゃんの、残りが私のっと」

 アンナも俺の世話を一人でするようになってもう半年、いろいろできるようになった。

 自分の分をさっさと平らげるとまたコンロに走っていく。

「また焼いて来るね」

 忙しいことだ。


 見ると神狼娘達も慣れたのか、ジェリルの真似をしているのか、すごい速度で食べている。

 見てても楽しくなってくる。

 ドワーフとアキラさん、マサユキさんは酒だ。シャラがかいがいしく酒を注いだり肉を焼いたりしている。


 アンナが帰って来た。サクラも一緒にやって来た。

「ジェリルさん達と一緒に居ると見てるだけで胸焼けしそうで」

「ハハハハ、俺もそれで逃げて来たんだよ」

 サクラの皿は焼いた野菜ばかりだった。


 そこへヤヌウニさんがやって来た。

「ゴロから連絡はありましたか?」

 ゴロは追撃戦の様子を見るためにバルドゥール王国に残してきた。


「結局、追撃を開始したのが昼過ぎで、半日以上の差があるから追付けるかどうかってとこかな」

「のんびりしてますね」

「仕方あるまい。戦争自体が初めてで、訓練もしてない奴ばかりだからな」


 ヤヌウニさんには外国の情報収集をお願いしている。今も主要各国に小人妖精を送り込んである。


 宴も終わり、学生寮に帰ることにした。いつものぼろ馬車をノルンに引いて貰って帰る。

 あれ、何か大事なことを忘れているような気がするんだが?

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

この小説は水曜、土曜の0時にアップする予定で書いています。

次回は戦争に対しての人々の思いの予定です。

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