6-4 遺跡探索(2)
ご愛読有難う御座います。
謎の空間での探索は続きます。
オリンポスの襲撃準備も整いつつあります。
レオン達はどうなるのか。
先史時代の宗教施設の遺跡に入ったフェリ達は、なぞの声に呼び寄せられ広い空間に出た。そこで魔獣と戦って勝利した。一行は唯一見える明かりに向かって歩くのだった。
アイスレーベン某所 <ヘルメス>
「皇女一行は探索を開始しました」
アイスレーベンに拠点を作り、遺跡の情報が逐次入るようにした。
俺は部下の報告に相槌を打ち、引き続き監視するように指示した。
「どうした。もう出たか?」
隣の部屋に居た若い男が、目の色を変えて俺に話しかける
「そんなにポンとは出て来ぬよ。二日ぐらいは掛かるんじゃないか」
「早くあいつと戦わせろ。今度こそ実力の差を見せてやる」
困ったもんだ。戦いはあくまで目的のための手段でしかない。こいつらにはそれが解らんのだ。
「目的をはき違えるな。例のものを手に入れるのが第一だ。アーレス」
「アーレス、焦るんじゃないよ。女傭兵はわたしがやるからあんたは三男坊をやればいい」
「ふん、俺は負けてねえからな。ヘスティアと違ってな」
「私は負けてない。撤退しただけだ!」
「それを負けたって言うんだよ」
「お前こそ大層な鎧を着ているくせにケガさせられたんだろ。おまえこそ負けてるさ」
「何だとこのアバズレが!!」
「何だとこのガキがあ!!」
ヘスティアまでこちらに来て始めやがった。こいつらを一緒に置いておくといつもこれだ。
こいつらはバトルジャンキーだから扱いにくくて仕方が無い。
だが、三男坊や女傭兵、そして従者ども、そいつらと戦うにはこちらも大ゴマを用意しないと駄目だ。
・・・俺が我慢するしかないのか。
******
遺跡
「ここで消えたんだ。この台座に吸い込まれるように消えたんだ」
ブルックスは説明するが誰も理解できない。台座は石の塊だ。人間が入れるわけがない。
「ブルックスのいうことは本当です。信じてください」
アデライーデもブルックスに加勢する。
「もし、それが本当ならなぜわしが入れんのだ。遺跡に一番愛されているはずのわしが」
ギュンター博士が騒ぐ。彼にとっては自分が選ばれなかったことの方が重要らしい。
ウェルバルがハンマーを持ってきた。
「砕いてみたらカラクリも分かるんじゃねえすか」
「馬鹿!!やめんか!わしの遺跡に傷をつけるな!」
ギュンター博士が必死に止める。
「じゃあ、どうするんっすか?」
「とにかく遺跡に傷をつけることは許さん!」
誰一人として対策を思い付く者はいなかった。・・・
******
遺跡? <レオン>
俺達はオークの襲撃を殲滅した。俺達は明かりに向け歩きながら話をしていた。
「コトネ、オークどもに変わった事があったか?」
襲ってきたオークは五十体ほど居ただろうか。どうも普通のオークとは違う気がする。
「一番大きな違いは魔石を持ってなかったことです」
そう言えば俺が倒したオークも魔石を落とさなかった。
「他には?」
「致命傷を与えたはずの個体が再生したことです。ルシーダさん、御厄介をお掛けしました」
「問題ない」
そう言えばコトネ側から何体かのオークが来ていたな。
「フェリ様は気付いたことはありませんか?」
「・・・ごめんなさい。あなた達を危険なことに巻き込みました。ゆるしてください」
立ち止まったフェリ様が言葉を改めて謝った。???
「大丈夫ですか?そう言えば、ここへ入るときに躊躇がありませんでしたが」
「申しわけないです。こんなに危険だとは思わなくて・・・」
フェリ様は俯いて涙をこらえようとしているようだ。
「フェリはいつも無理をしているのです。フェリは・・」
「良いのです。ルシーダ、私が話します」
フェリ様は顔を上げた。目には涙が溢れようとしていた。
「聞いて下さい。私は平凡だった。魔法は発現しなかった、身体強化レベルも平凡、学業も平凡でした。ジークが成長するにつれて自分の平凡さが許せなくなってきたのです。
皇帝の子供として、人民を幸せにするにはどうすれば良いか、悩みました。
自分を大きく見せるためのじゃ言葉を話しましたし、ルシーダに頼んで平凡な生まれでも努力で克服した人を探して貰いました。
そんな時に初代様が夢枕に立って私を呼んだのです。私は歓喜しました。私に初代様が期待をしてくれている。それだけでも天にも昇る気持ちでした。
だから、初代様の言葉に従ってここに入るときも何も考えずに入りました。
それであなた方を危険な目に会わせてしまいました。
私は皇女失格です」
実際問題、俺はこの探索がハイエルフの予言のヴァルハラが近付いているので、初代皇帝がフェリ様に強大な兵器を授けてくれるのではないかと期待はしていた。
しかしフェリ様は俺達を犠牲に出来るような強い気持ちは持ち合わせない様だ。
いずれにせよこの試練?をクリアしないと外にも出られそうにない。
「フェリ様、俺は近い未来に大きな戦いに参加せねばなりません。この程度の試練が俺達を阻むことなどできません。どうか前を向いて、蹴散らせと命令してください」
フェリ様は赤くした目を俺に向けた。ルシーダもウンウンと頷いている。
「いいのか。ワシが命令しても」
すっかり十五の乙女の顔になってしまったフェリ様は、服の袖で目を擦る。
しかし、次に現れた顔には決意が現れていた。
「済まぬ、お前達を失うかと思ったらビビってしまった。ワシは次期皇帝を目指す者だった。さあ、皆のもの前を向いて進め!」
フェリ様は復活したようだ。もしかしたら精神攻撃でも受けていたのかもしれない。まあ簡単に犠牲にされても困るが、その覚悟があるのとないのでは大きな差がある。
俺達はまた歩き始めた。
「魔力を感知!!魔獣です!!前方百m・・・・総数 十体ゆっくりこちらに向かって来てます」
アンナが叫ぶ。また百m、いきなり現れやがる。
正面の明かりが隠れる。やはりいる。
「先ほどの倍以上の魔力量です。気を付けてください」
「コトネ、見えるか?」
「はい、いきなり現れました。オーガクラスです。武器を持っているみたいです。済みません逆光で見にくいです」
五十から十に数が減ったら、オーガで武器持ってんのかよ。
「フェリ様、ルシーダはここで待機。アンナは援護できる所まで前進。行くぞコトネ」
「解ったのじゃ」
「ラジャ」
「了解です」
「先に行きます」
コトネがまた飛び出す。
「いつもより慎重に行け。多分手強い!」
「はい」
・・・
ライトの魔法が敵の頭上で光る。始まったな。
戦斧をもってやがる。振りも鋭い。こりゃヤバいな。
コトネの脇差では致命傷は難しいか?
<コトネ>
魔獣狩りと比べると振りや素早さが鋭い。どうする?
私は相手の攻撃を受ければ身動きが取れなくなる。じゃあ、魔獣狩りと一緒ね。
ちょっと回って、横に一列に並んだオーガを右端から・・・。
魔獣狩りのオーガは上から振るしか能が無かったけど、こいつは横に追うように戦斧を振る。
間合いの外でジャンプ、そしてがら空きの首を狩る。脇差だと切り離せないか。
「二式複戦”屠龍”」
私も気功の刃を延長する二式が使えるようになった。
オーガの首が飛ぶ。
左に居たオーガが私の落下軌道に会わせて戦斧を振る。
空中に居たら避けられない!
「二式単戦”鐘馗”」
空中に固定した板状の鐘馗を踏んで軌道を変える。
私は相手の攻撃を受けられないから、鐘馗を空中に固定できるように変化させた。
着地した私はまた全力で走る。後ろは見ない。だってレオン様が居るから。
敵の隊列は乱れた。その隙を見逃さない。
密集し始めた場所に居るオーガに狙いをつける。
こいつも戦斧を横に振る。こんなところで振り回したら。
ジャンプで避けて、戦斧は右隣りに居たオーガの胸に突き立つ。
動揺するオーガを屠龍で袈裟切りにする
左のオーガが攻撃態勢を取る前に右の傷ついたオーガを上下に両断する。
そのまま群れを引き離して走る。
次は左端のオーガだ。
二体が迎撃態勢を。まずい!!
二体が戦斧を私の走る予定位置に振るう予備動作をしている。
今からでは完全に避け切れない。一体分は受けざるを得ないか!
私は覚悟した。最悪、動きを止められ囲まれてしまう。そうなれば死ぬこともあるだろう。
その時オーガの頭部に何本かの赤い光線が突き抜ける。
アンナのレーザーだ。一体がアンナに注意を向ける。
私はもう一体の攻撃を躱し、足を斬る。
そしてアンナのレーザーに焼かれた方の首を切る。
そいつの肩を足場にして方向転換、片足を失くして喘いでいるオーガの首を落とす。
着地姿勢から立ち上がって、後ろを振り返ると最後のオーガを倒して、刀をくるりと回して納刀するレオン様が居た。
気負った表情もせずに当たり前のような顔をしている。この方が必死になるようなことってあるのかなと思う。唯一ケガをしたのはアーレスとか言うレベル6と戦った時のみ、その時だって必死な表情はしていなかった。
「コトネ、よくやったな。・・・うん、どうした?」
変なことを考えていて返事を忘れた。
「あ、すみません。ありがとうございます。アンナもありがとう」
駆け寄ってきたアンナが私に抱くつく。
「お姉ちゃん凄かったよ!」
フェリ様とルシーダもやってきた
「あれがオーガか、恐ろしいものじゃ。しかし、お前達は強いのう」
「最強」
「フェリ様あれを見てください」
レオン様の声で明かりの方を見ると壁に空いた出入り口から漏れる明かりが見えた。
「出口か?」
「そうみたいですね」
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アイスレーベン某所 <ヘルメス>
「皇女たちが行方不明だと?」
「はい、遺跡の宗教施設に入ったのですが、王女が行方不明になったと近衛兵が右往左往しております」
「そんな迷子になるような施設ではなかっただろう」
「はい、比較的簡単な構造になっております」
やはりあれを見つけたに違いない。
「引き続き、監視せよ。特に皇女の動きに注意せよ」
「はい」
連絡員は遺跡に去って行った。
「なになに、面白そうなことやってんじゃん!」
「げ、デメテル。なんで来た」
ここの存在は教えてなかったはずなのに。
「ヘルメス、恥ずかしがらずに喜んでいいのよ。こんな超絶美少女が来てあげたんだからあ」
何が美少女だ、この疫病神が!
「ポセイドンはどうした?」
「アーレスとヘスティアがここに居るって事は何か面白いことがあるんでしょお。白状しなさいよ、このむっつりスケベ」
「誰がむっつりスケベだ!。邪魔をするな!!出て行け!!」
デメテルはニコッと笑った。
「そんなこと言って良いのかなあ。確かヘスティアって帝国じゃあ、指名手配犯だよねえ」
「おまえ、まさか・・・」
「暫くここに居るね、よろしくう」
次回はフェリを待つ人物は?をお送りする予定です。




