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5-3 アキラの店での出来事

ご愛読ありがとうございます。

さて今回はジェリルが滞在するアキラの店での出来事です。

ジェリルが暴れたり、アンナが居眠りしたり、ジェリルが暴れたりします。

 無事、ハイデルブルグ学園に入学したレオンとコトネは、フェリたちとの訓練も開始した。


 休日にレオン達はアキラの店に行く予定をしていたが、これはその前日の話。


 アキラの店 <シャラ>

 私は先週、レオン達の納品した薬草を魔素の定着処理してポーションに加工していたっすが、在庫が切れたので、店や治療院の在庫量を確認していたっす。


「ゾフィーさん、やっぱり傷薬が良く出てるみたいっす」

「そうね、今日中には品切れになりそうだわ」

「治療院の方は傷は魔法で治すから、ほとんど減らないんすけどね」

「やっぱり、常備薬で家に置いておく人が多いみたい。特に子供さんが居る家はねえ」

 一回の加工量を増やすかな?でもまだ始めたばかりだから、良く分かんないっす。


「おい!!」

 人相の悪い男が三人、店先で私達を睨んでるっす。

「はい、なんでしょうかっす?」

 嫌な予感がするっす。


「お前ら!!誰に断ってここで商売してんだ!!おう!!」

 見るからにチンピラっす。まあ、ゴブリンほども怖くはないっすが。

「もちろん、商業ギルドっすが。それが何かっす?」


「馬鹿野郎!!ここはグロム一家の縄張りだあ!!挨拶も無しに商売できると思ってんのかあ!!」

「あんまり大きな声を出さないで欲しいっす。あの人が来ちゃうっす」

 私で十分対処できるっすけど、今はあの人が居るっす。ややこしくなっちゃうっす。


「誰が来るって言うんだ!おう!!おう!!おう!!」

 やばいっす、絶対あの人に聞こえたっす。


「静かにしないと命の保証が出来ないっす。あの人は私と違って手加減しないっす」

 私は唇に指を立て、静かにしろムーブをするっす。

「はあ、なに言ってんだ!!てめえ!!グロム一家に逆らう気か?!」

 もう知らないっす。ああ、足音が・・・っす。


 店の奥からノソーッとあの人は現れたっす。

「なんだ、こいつら。ぶっ殺してもいいのか」

 まるで目の前に岩山が現れたみたいっす。


「な、なんだ!お前は!」

 おお、ビビってるっす。そりゃそうっすよねえ。目の前にバカでかい超強そうな人間が現れたら、誰でもビビるっす。


「店に被害の無いようにお願いするっす」

 私にはもう止められないっす。ご無事を祈るっす。

 ジェリルさんはニコっと笑って、大丈夫だとでもいうように手の平を私に向けたっす。


「お前ら邪魔だってよ。ほら出てけよ」

 三人は後ずさりして店を出たっす。冷汗掻いてないで、大人しく帰るっす。


「先生!!先生!!お願いします!!」

 チンピラが振り返って叫んだっす。向かいの建物にもたれてこちらを見ていた大男が、のっそりとこちらを向いたっす。


「なんでえ。そんなにビビる奴がいるのか」

 ゆっくりと歩いてくるっす。チンピラは慌てて大男の後ろに並んだっす。

 大男の後ろで偉そうにふんぞり返ってるって情けないっす。


 大男は店の中が見えてなかったのか,

 目を細めて中を見てるっす。

 ジェリルさんがこれものっそり店の外に出るっす。


 大男が立ち止まり、顔色が一瞬で青白くなったっす。顔から汗が滴り落ちてきたっす。

「が、が、ガララトの・・・」

「先生!どうしたんですか?早くやっちゃってくださいよ」

「先生はなあ、魔獣狩りで二番目を務めるすごい人なんだぞ!」

 大男の顔が見えてないチンピラ達が騒いでるっす。


 ちなみに二番目というのは、ダンジョンを溢れさせて魔獣狩りをするときに、最初は弱い魔獣が出て来て、それを相手にするのが一番目っす。それより強い魔獣を相手にするのが二番目っす。最も強い魔獣を相手にするのが三番目っす。もちろん、ジェリルさんは三番目っす。


「どうした、やらないのか」

 ジェリルさんがゆっくり大男の方へ歩いていくっす。


「は、はい!!ガララトのジェリルさんですよね。どうしてこんなところに居らっしゃるのですか?」

 ありゃ、大男が敬語になってるっす。


「なんだアタイを知ってるのか?」

「はい、魔獣狩りで、何度かお見掛けしました」

「先生、挨拶してる時じゃないでしょう。やっつけてくださいよ」

 チンピラは場を読めずに大男に催促してるっす。


「おお、早くやろうぜ。退屈で仕方が無かったんだ」

 私も彼女の練習相手が嫌で、逃げ回って居たっすからね。


「馬鹿野郎!」

 大男がチンピラをぶん殴ったっす。ああ、訳も解ってないのに可哀そうっす。

 大男は踵を返すと全速力で走って逃げたっす。


 呆けて大男を見送ったチンピラの前にジェリルさんが立ったっす。

「わああーっ!!」

 振り向いたら目の前にジェリルさんが居るのを見て驚いてるっす。


 逃げようとしたチンピラの一人の襟首を掴んで、ジェリルさんが言ったっす。

「バロム一家だったか?案内してくれるか?」

「い、いえ、グロム一家でして、わざわざ来ていただかなくても宜しいかと」

 わあ、チンピラが敬語で話してるっす


「挨拶しないといけないんだろ。行ってやるよ。あっははは」

 完全にビビッてるチンピラをぶら下げてジェリルさんは歩いていくっす。

「シャラさん!ちょっと挨拶に言って来るわ」

 振り向いて私に挨拶するとチンピラに「どっちだ」とか言ってるっす。


 その日の夕方、公園で掃除の奉仕作業をするジェリルさんと包帯だらけのグロム一家の姿が見られたそうっす。

 可哀そうにジェリルさんの暇つぶしに付き合わされたっすね。


 *******


 翌日、アキラの店 <アンナ>

 今日は学校がお休みなので、レオン様とコトネお姉ちゃんと私でアキラさんの家に来ました。

 今週分の薬草をシャラさんに渡したあと、食堂でアキラさんとヤヌウニさんとレオン様でなんか難しい話を始めました。お姉ちゃんは熱心に聞いているけど、私はあまり興味が無いから眠くなっちゃった。


「こら、アンナ、寝ちゃ駄目だぞ。おまえにも大事な話だから」

 膝の上でお座りしてるゴロがお説教をする。


「そうですよ。アンナさん。私達の進化にも関係する話です」

 横に座ってるノルンさんもゴロの味方する。


『最近、お前の精霊魔法の威力も上がっただろ。そのことにも関連する』

 ロキまで私の頭の中でお説教してきた。


「すると、霊力が精霊魔法や気功のエネルギー源ということになるな」

 ヤヌウニさんが言うとレオン様が答える。

「そうだと思います。霊力が…」


「寝るなと言うのに」

 ゴロが尻尾で顔を軽く打つ。

「・・だって難しいんだもん」


「・・知的生物の中で魔力が霊力に変換される。それを幻獣、精霊、妖精が食料にしている訳ですね」

 アキラさんが言ってる。

 駄目だ。眠気に勝てないよう。


「・・霊力は魔力と違って、努力をすればその容量を増やせます。それにそれは従者に影響します」

「それは私も実際に感じてます」

 ああ、レオン様とお姉ちゃんがなんか喋ってる。


「ある程度、霊力の容量が増えれば、気功の技を覚えたり、精霊魔法の威力や種類が増えたり、幻獣や精霊が進化できるのではないかと考えてます」

 え、精霊魔法って言った。私も強くなれるの?。


 ・・は、寝てたみたい。今はヤヌウニさんが話・し・て・・・・・。

「そのヴァルハラと言うのは、私の言う悪魔の侵攻と同じものだと思う。ワルキューレに一度・・・」


「魔力を溜めることが出来れば、誰でも魔法が使えるようになり・・・」

 ・・・・・。


 ・・途切れ途切れにしか、話が・・・。


「・・・ですから、我々も戦える兵器を開発したい、君の持ってるドラゴンの魔石を・・・」

 もう誰が話してるのか分かんない。・・・。


「・・ンナ、アンナ、起きなさい」

「アンナには少し難しかったか」

 お姉ちゃん、レオン様・・・?。


「オイラも何回か起こしたんだぜ」

 ゴロ、何を言ってるの?


「あ、え、あ、・・ごめんなさい」

 寝ちゃったんだ。


「寒くないか。風邪を引いてないと良いけど」

 レオン様が頭を撫でてくれる。恥ずかしいよお。


「ちょっと、顔が赤いわ。熱があるの?」

「大丈夫!、熱じゃないから」

 お姉ちゃん、レオン様も過保護すぎる。


 アキラさんとレオン様とお姉ちゃんは店に、ヤヌウニさんは治療院に戻った。

 ここに残ったのはゴロとノルンさんと私。


「何の話だったの?」

 私はゴロに聞く。


「二、三年のうちに大きな戦いがあるみたいだ。それで強くならなきゃなんねえ」

「ヴァルハラとか言うの?」

「そうだ聞いてたのか?」

「ちょっとね」

 エルフの国で聞いたはずだけど寝てたからなあ。


「オイラは従者なのに弱いから戦えない。進化して強くなりたいんだ」

 ゴロは寂しそうな顔をする。


「ノルンさんは、ノルンさんも戦うの?」

「私は体の中にドラゴンの魔石を持ってるから、少しは戦えるけど、ヴァルハラはきついかなあ」

 私はレオン様やお姉ちゃんと居れば、強くなれると思ってたけど、何かしないと駄目かなあ。


「話は終わったのか!」

 デカい女が顔を出した。

「レオン様なら店に行ったよ」

「そうか!分かった!」

 ドドドと足音を残して去って行った。


 私もジェリルさんの後を追って店に行って見るか。

「ゴロ、私達も行くよ」

「オイラ、あの女苦手」

「得意な人はいないと思うよ」


 店に行くとあの女のがさつな声が聞えて来た。

「・・・お前と従者二人だから、四分の三がお前の取り分だと言っているだろうが!」

「半分で良いよ。首領と戦ったのはジェリルなんだし」


「駄目だ!アタイは首領に逃げられたんだ。それに倒した敵の数はお前達の方が多い」

「分かった。それで良いよ。わざわざ持ってこなくても良かったのに」


「そうはいくか。アタイの矜持が許さない」

 話し合いは済んだみたいだ。相変わらずうるさい女だ。お姉ちゃんも呆れてる。


 ジェリルさんが急にニコニコして、鉄の棒をレオン様に差し出した。

「裏庭で練習しようぜ」

 工房の裏にはアキラさんが工場を建てると言ってる広場があります。


「いやだよ。そんな鉄棒、当たったら大けがするじゃないか。それにお前の力で打ち合ったらすぐに使い物にならなくなるよ」

「うう、」

 ジェリルさんが悔しそうに歯噛みする。


「私とやりませんか。素手で」

 お姉ちゃんがレオン様の前に出た。ええー、お姉ちゃん、こんな化け物と戦う気?!。

「駄目だよ。お姉ちゃん、ケガするよ」


「ちっちゃいのが威勢がいいな。まあ、胸を貸してやろう」

 ジェリルさんが厚い胸板を叩く。


 裏庭に出るとお姉ちゃんが服を脱ぎ、いつものスキンアーマースタイルになる。

 ジェリルさんは服を着たままだ。

「ちっちゃいのが、幾ら殴ったところで、アタイには効かないよ」

 うー、憎たらしい。お前はもう呼び捨てに決定だ。


 五m位離れて向かい合った。

「始め!!」

 レオン様が合図をした瞬間、お姉ちゃんが消えた。


 次の瞬間にはお姉ちゃんの右足は、ジェリルの鳩尾に入っていた。

「グウ」

 ジェリルが片膝を着く。これってレオン様が良くやる一式戦”隼”。


 ジェリルが油断していたんだ。力を入れてなければ、いくら筋肉の鎧があったって防げない。

「コトネ!」

 レオン様がお姉ちゃんの勝利を宣言する。

次回は今回の続きを、出来れば皇族の動きを入れられればと思っています。

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