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4-11 海賊討伐(2)

寒いです。いよいよ4章も終わりに近づいてます。

レベル6ヘスティアとジェリルの戦いはどちらに軍配が傾くのか?

 レオン達は海賊に襲われた村に来て、村人救出を図る。村に居た海賊を倒し、船の見張りを倒したレオン達はレベル6の居る船内へと入ろうとしていた。


「レオン様ちょっと待ってください。本気でレベル6とやる気ですか?」

「まあ、アーレスとも引き分けたし、コトネと二人がかりなら何とかなるんじゃないかな」

「敵はもう船を操れないぐらいに減ってます。放って置いても良いんじゃないですか?」

「人質を殺されても困るし、まあ、なんとかなるんじゃないか」

「いつまで喋っている行くぞ」


 勢いよく船内に入ろうとしたジェリルをレオンが止める。

「まて、そんな大剣は、狭い船の中では使えないぞ」

「ちー、また外で待つのは嫌だぞ。レベル6はアタイに任せてくれ」

「少し話そう。もしかしたら向こうから出て来てくれるかもしれん」

 船の出入り口から見えない所に移って作戦を練る。


「これだけ、ドタバタしたんだ。下の連中も気付いているはずだ」

「待つのか」

「そうだな。レベル6も船内では戦いたくないだろう」

「どうしてだ?」

「レベルが上がるということは、力と速度が上がるということだ。狭い船の中では力を出し切れない」

「アタイと一緒ということか。なるほどなあ。おまえ頭がいいな」

 ジェリルはレオンを尊敬の眼差しで見る。コトネはドヤ顔をしている。


 そのうち、出入り口から頭がチョコッと出る。海賊じゃない。茶色いオオカミの耳が着いた娘だ。

 戻って行った村娘の声にコトネが耳を澄ます。


「・・上には誰もいない。甲板には血がついてた」「見張りは全部やられたみたいだな」「どうします?」「船もこの人数じゃ動かせないし、いつまでもこの中に居られるわけじゃない」

「村の方は無事でしょうか?」「解らんが中に来ないということは、村に行ったのかもしれん」

「それじゃ早く合流した方が良いんじゃないですか?」「良し、奴隷を五人ぐらい連れて来い。肉の壁にする」「分かりました」


 コトネが会話の内容を小声で伝えてくれる。


「下っ端の言葉遣いが丁寧だな。余程しっかりした組織らしい」

「そんなことまで解るのか。で、どうするんだ?」

 今レオン達は甲板の上にある構造物・・艦橋のようなところの影に居る。


「奴らは奴隷化した村人を前にして出てくるだろう。俺とジェリルは前でトウセンボする。コトネは上から後ろに回れ」

「コトネ、レベル6はアタイがやるからな」

「分かった」

 村の方で暴れ足りなかったジェリルが燃えている。

「人質は死ななければ治せる。遠慮するな」


 コトネは音もなく艦橋の上に跳びあがる。

「すげえな。音がしなかったぞ」

「コトネは忍者の修行をしたからな」


 出入口から五人の村娘が出て来て周囲を警戒する。

「誰も居ません」

 村娘の後ろに五人の海賊が着く。

 中央にマイクロビキニを着けたスキンアーマーの女海賊がいる。こいつがレベル6だ。雰囲気で分かる。

 レオンとジェリルが渡し板の前に飛び出る。


「何者だあ?!」

 海賊が叫んで剣を抜く。女海賊は西洋薙刀(グレイブ)を持っている。


 うわあああーっ!!

 艦橋の上から飛び降りたコトネが、後ろの方に居た二人の海賊を斬り殺し、そのまま距離を取る。

 コトネは攻撃を受けないようにしている。

 突然のことに海賊たちは動揺している。


「お前ら!!出て来た奴らに抱き着け!!」

 海賊がレオン達の行動を制限するように村娘に命令する。

「そいつが御主人様かよ」

 と言ってジェリルが村娘を左手ではね飛ばす。ビリヤードの様にもう一人の村娘を巻きこんでマストにぶつかる。二人共、気を失ったようだ。もし抱き付かれたら村娘もろとも海賊に殺されるので仕方が無い。


 それを逃さず、女海賊がジェリルに真上から斬りかかる。ジェリルは片手で大剣を持ち上げ、グレイブを止める。

 すぐに左手を添えてグレイブを受流す。


 一方、レオンに向かった二人の村娘は間合いを外され、軽く押して、間をこじ開け、すり抜けて御主人様と言われた海賊に向かう。

 海賊は片手で剣を持ち、斜め上から斬り下ろしてくる。レオンはスッと速度を落として、剣を躱すと同時に敵の剣を叩いて横に加速させる。勢いあまって背を向けた海賊を一気に斬り下げる。


 コトネは抱き着きに来た村娘をフェイントで掻い潜り、残った海賊がレオンの方を気を取られてたので背中から胸を刺した。


 レオンとコトネは村娘を気絶させて隅っこに寄せた。ジェリルたちの戦いを邪魔しないためである。

「あんがとよ。おい、アタイはジェリル、ガララトのジェリルだ!おまえは誰だ!!」

「おう、聞いたことがあるぞ。確かお前もレベル6だな。相手に不足はない。わたしはグレイブのヘスティアだ」


 ヘスティアも大きな体と鍛えられた筋肉を持ちマイクロビキニで局所を隠している、違うのは金髪と白い肌で尻尾がないことぐらいだ。

 二人の戦いは最初からフルスロットルで、お互いの剣先は音速を超え、衝撃波とぶつかった衝撃が発する音が途切れなく続く。


 衝撃波の影響が船を揺らし、二人の踏み込みが甲板に穴を空ける。

 距離をとった二人は、どちらからともなく舳先の方に走って大きくジャンプする。

 岸まで二十から三十mの海の上を跳んだ二人はまた打ち合いを始める。


「ふう、船が沈むんじゃないかと思ったよ。今のうちに船の中を確認してくれるか?」

「分かりました」

 コトネは船の中に入り、レオンは二人を追って岸に向かう。


 戦う二人は、岸に戦いを移しても拮抗しており、互いに有効な攻撃を出来ずにいた。

「クアハハハ!そろそろくたばって来たか。尻尾が垂れて来たぞ!」

「何を言うか。絶壁の癖にアタイに偉そうに言うな。ツルッペタ!」

 売り言葉に買い言葉でヘスティアにジェリルが返す。

「ぬぁにぃい!!!GUgAGyAfA・・」

 ヘスティアの弱点をえぐったようだ。ヘスティアの胸は大胸筋以外のふくらみは認められない。


 ヘスティアは力任せの雑な攻撃を仕掛け、ジェリルはそれを避けて、頭よ割れよとばかりに鋭い斬撃を見舞う。

 ヘスティアは両手を上げて、かろうじて攻撃を受けるが、威力を減衰できず、グレイブの柄に大剣が半分近くまでめり込む。

「ぬう!!」

 そのまま体重をかけて押し込むジェリル。押しとどめようとするヘスティア。


「そんな小さな胸ではあ、止められないだるおおおお!!エグレ胸え!!」

 意地悪な顔で精神的ダメージを与えるジェリル。

「ぬあんだとうぉおおお!!私いはああエグレてなあいい!!」

 精神的ダメージがでかすぎて、打開策が考えられないヘスティアは、徐々に押し込まれていく。


 ジワジワとグレイブの柄が曲がり始める。額に当たった大剣の刃はスキンアーマーに当たる。

 さすがにスキンアーマーは丈夫なので、すぐに突破されることは無さそうだ。


「ヘスティア様ぁ!!」

 いつの間にか手漕ぎボートが近付いて来てる。


 ヘスティアは片足を折って力を受流して大剣から脱出した。グレイブはへし折れたが、ヘスティアはボートに向かって走る。そしてジャンプ。

 大きな水柱が上るが、ヘスティアはすでに海の上だ。

「こらあああ!!帰ってこおおい!!このペチャパイィ!!」

 もう言いたい放題である。


 沖には小さな帆船がボートを待って居り、もう届かない。

 振り返ったヘスティアの額から血が流れていた。


「レオン、すまん。逃がしてしまった」

「仕方ないよ。君の強さはよく分かったから」


 船着き場をコトネが駆けてくる。

「レオン様、全員無事ですが、ジェリルさんが押しのけた二人が骨折しています。治してあげてください」

「わかった。村から魔法使いのおばさんを連れて来てくれ」

 アンナとガルドを呼んで合流する。

 アンナ達が持っていた服をジェリルとコトネが着る。


 レオンは骨折した二人を治癒魔法で治し、おばさんに隷属魔法の解除をさせた。

 おばさんは十数人で魔力が枯渇したので、魔法陣のコピーを取ったレオンが残りを解除した。

 船の中は女性と子供ばかりで、村の男達への人質を兼ねていたらしい。

 おばさんがなぜ隷属魔法と解除魔法の二つが使えるのか不思議だったが、解除魔法の魔法陣は隷属魔法の裏返しだった。


 村人たちは村に戻り、レオン達は村長の家に招待された。

 村長は壮年の男で深々と頭を下げた。

「ありがとうございました。明日にも海賊が村を出るような話をしていたので、誘拐されずに済みました」

「間に合って良かったです」

「アタイたちは傭兵だ。報酬はあるか?」

「じぇ、ジェリル!?」

 いきなり報酬の話を始めたジェリルにレオンは驚いた。こんな貧しい村から何を取ろうと言うのか?


「申し訳ないのですが、こんな村です。金目のものなど何も無いのです」

 村長が小さくなっている。レオンも期待はしていないので、まあまあと宥める。

「お前達には海があるじゃねえか。アタイたちにうまいもんを食わせてくれ」

「あ、はい。分りました、急いで用意させます。少しお待ちください」

 大喜びで村長は走って出て行った。


「アタイたちは兵隊じゃないんだから、報酬無しに仕事をしちゃいけないのさ」

「そうだな」

 レオンはジェリルの言葉に納得してしまった。


 それから二時間ぐらい経った頃、村長がレオン達を呼びに来た。

 集会場にこれでもかと言うくらいの魚介類が並べられた。

 レオン、ジェリル、コトネ、アンナの前に七輪が置かれ、エビやイカ、貝が焼かれていた。

「慌てて、用意しましたので型は揃っておりませんがどうぞお召し上がりください」


 魚醤の焼ける匂いが空腹を刺激する。もう昼をかなり過ぎていた。

 隣に座った娘が串に刺したエビの殻を剥き、塩を振りレオンに渡す。

 レオンは川エビのかき揚げくらいしか食べたことが無かったので、大きなエビのおいしさは格別だった。

 次は手のひらほどの二枚貝が焼けて大きく開いて、それに醤油を垂らしたものだ。

 アンナが「こんな美味しいもの食べたことがないですう」と悦にいっている。

 コトネは一言も発せずに一心不乱に食べている。

 ジェリルは思ったよりも平静に食べてる。もしかすると海辺出身なのかな。


 村長がちょっと迷いながらジェリルに近付いて来た。

「あのう、もしかすると神狼族の方ですか?」

「おう、良く分かったな」

「はい、毛艶が普通の黒狼とは違って艶やかです」

 神狼族という言葉にジェリルは大きく反応した。


「そうだろう。アタイは族長の娘だしな」

 ジェリルはドヤ顔になった。

「族長の・・失礼をいたしました。御無礼をお許しください」

「気にするな。もう、里を出た身だ」


「あの、村長さん。神狼族って何ですか?」

「はい、人族の方には分からないと思いますが、大昔に狼の神獣人様がいらっしゃいまして、その方の子孫が神狼族なのです。その神獣人様が神となられ、我々、狼族に加護をお与えになっているのです」

「その神獣人を代々祭っているのが族長一族なのさ」

 ジェリルが補足してくれた。


「ふーん、ジェリルも里に帰ればお姫様って訳か」

「やめてくれ。こそばゆい」


 ジェリルは帝国に事の次第を報告するために村に残った。レオン達は入学に間に合わせるため、帝都に戻ることにした。

 ジェリルにはアキラさんの家を連絡先に教えて置いた。

ご愛読ありがとうございました。

次回はレオン達が帝都に帰ります。アキラの商店を覗いたり、レオンとコトネの恋に少し進展があったりなかったりします。

これからも読んでいただけると嬉しいです。

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