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4-10 海賊討伐(1)

レオン達と海賊が戦い始めます。

 帝都に帰る途中でアンナは魔獣に襲われていた少年ガルドを助ける。少年の村は賊に襲われているらしく、レオン達はそれを救うべく行動する。


「なるほど、次元収納庫に受肉精霊か。まあ、人には言えんよな」

 ジェリルは馬車を吸い込むようにかき消したレオンと、大きな黒鷲に変身したノルンを見て、ひとしきり感心する。

「なんで人に言っちゃいけないんだ?」

「偉い人の荷物運びで一生こき使われるからだろ」


 黄狼族の少年ガルドはジェリルに質問する。同じ狼人だからか、仲良くなってきた。

「なあ、帝国に頼まないのか?」

「帝国に連絡したって、兵隊が着いた頃には誰も村に居ない。奴らもそれ位分かってる」


「お姉ちゃん、準備できたよ」

 ノルンの背に保持用のロープの用意をしていたアンナが、コトネに声をかけるとガルドが横に来て言った。

「お前の姉ちゃんって、こっちの小っちゃい方か。本当に強いのか?」

「フン、あいつと変わらないぐらい強いわよ」


「何やってるの!ガルド君、道案内するんでしょ。一番前に乗って!」

 コトネが急かす。

「ほら、怒られたじゃない。早く乗りなさい」

「お、おう、噛み付かないか?」

「あんたみたいなチビガリ食べないわよ。早く乗りなさいってば」


 恐る恐るガルドが乗るとその後ろにジェリル、アンナ、コトネ、レオンで一列に乗る。

「では、飛びます。しっかり摑まって!」

「お、おい、この鳥喋ったぞ!!」

 ノルンの声にガルドが驚いて振り向いた。

「当たり前でしょ。方向を言いなさいよ」

 驚いているガルドにアンナが注意する。


 幸い、朝早いので街道に人影はない。

 ノルンはタッタッタッと助走をして舞い上がった。

「西に、川沿いに海に向かってくれ」


「河口の方か?」

「そうだ。川のこちら側に村がある」

 ガルドは行き先を睨みながら案内する。

 二日も寝てないのに健気なものだ。


 村を見つけてからは超低空飛行で賊に見つからないように近付き、二百m位離れた村に続く道に着地する。

「ガルド、村の建物の配置を描けるか」

「おう、描けるぞ」

 レオンの頼みでガルドが地面に村の見取り図を描く。


「ここが村長の家で、皆が集まれる部屋があるんだ・・・」

 ガルドが次々と建物を描いていく。

「ここには何があるの?」

 アンナが何も描かれていない離れた所を指差す。

「こんな所・・川の中・・船着き場だ。大きな船が来た時に使う船着き場がある・・けど」

 ガルドがなぜそんな所をという顔をする。


「村長の家にニ十四人、船の中に三十五人、村の中を動いているのが二人、ここに魔力の大きな人が一人」

「なんでそんなことが分るんだ」

 ガルドは驚くがジェリルは冷静だ。

 構わずアンナは続ける。

「比較的魔力の多い人は船の中ね。多分女性・・。船にレベル6がいる。気を付けて」



「間に合ったみたいだな。でも村人が五十人くらいだったか。十人くらい少ないな?」

「多分、老人が始末されたんだろう」

「な、なんでだよ?」

 ガルドの質問にジェリルは冷たく答える。

「老人は売れないんだよ。これは海賊の仕業だな。あいつらは海の近くの獣人の村を襲って、奴隷狩りをするんだ」


「よくあるのか?」

「まあね。獣人の村は孤立している所が多いから狙いやすいんだ。だけどこんな南の方では聞いたことが無いな」

 ガルドは顔を青くしている。


「ガルド、船と村を分断したい。気付かれずに間に周り込めないか?」

 ガルドは涙をぬぐった。

「浜を通って行けば多分見つからない」

「良し、案内しろ」


 レオン達はノルンを置いて、砂浜を船着き場の方へと歩いていた。

「おい、コトネと言ったか。なぜこんな危ない事を手伝う?」

 ジェリルの問いにコトネは当たり前のように答える。


「私は、武をもってレオン様に仕えています。それに闇討ちでもない限り、死なないようにしてくれます」

「敵にはレベル6がいると言っているのに健気なことだ」

 ジェリルは呆れた顔をした。


「これは婿には迎えられんな。命が幾らあっても足りそうもない」

「そう言うことです。フフ」

「うん、何がおかしい」

 ジェリルは自分が笑われたのかと聞き返す。


「いえ、私の事です」

「そうか」

 コトネは自分がレオンと離れて暮らすことを嫌がっていたが、レオンがいつも自分達の事を考えてくれていることを思い出した。

 コトネに学歴を付けたいことは、王国に居る時も言っていたではないか。私のためだった。

 それに気づいたから嬉しくなった。


 小舟が砂浜に並んでいる。村と砂浜の間には林がある。防風林だろう。

「波打ち際を歩けば村から見えない」

 ガルドは波打ち際に来て先を急ごうとした。


「ガルドとアンナは船の陰に隠れていてくれ」

「なんでだよ!俺も行く」

 レオンの言葉にガルドが逆らう。

「足手まといなんだよ。お前が着いて来るならアタイは行かない。死んじゃうからな」

 ジェリルとコトネは上に来ていたものを脱いで、スキンアーマーを発動する。

 グッと顔をしかめるガルド。


「こいつは良いのか?!」

 ガルドがコトネを指差す。確かに背の高さも変わらず強いようには見えない。

「この子の強さは見せて貰ったからね。アタイと同じぐらい強いよ」

「いえ、あなた以上です」

「フン」

 ジェリルが口角を少し上げて鼻を鳴らす。


 村と船着き場を繋ぐ道に来たレオン達。

「いいか、人質を取られても気にするな。敵を倒す事だけを考えろ。

 甘い考えでは死ぬぞ。いいな」

「はい」

「おう」

 レオンの言葉に肯く二人。


「まず、外の見張りをやる。ジェリルが右、コトネが左だ。俺は村長の家に行く」

「そこに7~8人は居るんじゃないのか?」

「見張りを倒したらコトネは応援に来てくれ。ジェリルはあの家に隷属魔法の使い手が居るから、逃げないように見張ってくれ。行くぞ」

 三人が走り始める。


 コトネが速い。見張りの一人が向こうを向いていたので、気付かれることなく頸動脈を斬る。

 ジェリルは気付かれるも相手の剣ごと唐竹割にする。


 村長の家の集会場に村人は捕えられていた。

 レオンが集会場に飛び込み入り口付近に居た海賊を切捨てる。

 残りは三人が立ち上がり、レオンに殺到する。

「何者だあ!!」


 最初の男は一歩前進してタイミングを外し、避けることなく胴を抜く。

 三人目四人目は、剣を構えて対峙したまま踏み込まない。

「おおい!!起きろお!!」

 多分、隣の部屋で寝ている仲間を呼んだ。交代で見張っていたのだろう。


 レオンは、仲間を呼ぶことで意識が逸れた男を斬り上げ、隣の男に剣を向ける。

 敵が剣を振りかぶると同時に喉を突く。

 敵が折り重なるように倒れる。


「なんだ!何が起きた!!」

 隣の部屋から四人、海賊が集会場に入って来た。


 一人の海賊が近くに居た縛られてる村人を、引っ張り上げて剣を首に当てた。

「剣を捨てろ!!さもないとこいつの首を・・・」

 窓から入って来たコトネが人質を取った男とその後ろに居た男を斬り捨てた。


 コトネに気を奪われた男達にレオンが急接近、下段から前に居た男の剣を弾いて、胴を斬る。

 今度はレオンに気を奪われた男を後からコトネが斬る。


 ******


 ここは砂浜の船の陰、二人の子供が座っていた。

「はい、魔法使い以外、敵らしい人は村の中に居ません。はい、そうです」

 突然喋り始めたアンナにガルドは驚いた。

「どうしたんだ?誰と話してるんだ?」

「大丈夫だよ。村の方は解放されたよ」

「え、なんで分かるんだ?」


 ******


 再び村の中、レオンとジェリルは魔法使いの寝ている家の前に居る。

 コトネは村人たちの戒めを解き、軽率な行動をしないように見張っている。

「なんで、アタイにも突っ込ましてくれなかったのさ?」

「お前の剣を家の中で、振るったら家が壊れるだろ」

 刃渡り百五十cmの大剣を指差す。

「うむ、狭い所は苦手だ」


 ジェリルは魔法使いが外に逃げないように見張って貰い、レオンが家の中に入る。

 そーっと扉を開けると、部屋の中心に中年の女が寝ている。

「おい!起きろ!!」

「むー・・・もう昼かい?」

 起きるが目は開けない。


「まだ昼には間があるな」

「じゃあ、寝かせておいておくれよぉ。昨日も魔力切れになるまで、隷属魔法を使ったんだからぁ」

 こいつが隷属魔法の使い手だと分かった。


「起きないと殺すぞ」

 レオンは刀をおばさんの喉元に置く。

「へ、あんた誰!」

 ようやく目が覚めたらしい。驚いて周りを見回す。


「お前は隷属魔法を解くことも出来るのか?」

「それは出来るけども・・なんでだい」

「船に運んだ村人は隷属魔法をかけたんだろ」

「そうだけど、あんた誰なのさ」

「まあ、いい」


 レオン達はおばさんを縛り上げると集会場に連れて行く。

「こいつは隷属魔法を解除することが出来る。船の村人を解放するまで見張ってくれ。それから帝国に連絡をしてくれ」


 魔法を使えないように目隠しと猿轡もしておいた。


 レオン達三人は船着き場に向かった。

 船着き場には百人位乗れそうな帆船が、岸を前に錨を降ろしていた。

「さて、どうするか?」


 なるべくなら船の中では戦いたくない。狭いし、奴隷にした人たちをどう使うか判断できないからだ。

 船の上に三人、船着き場に二人の見張りがいる。

「よし見張りを先に倒そう。中の奴らも出てくるかもしれん」

「レベル6はどうする?」

 ジェリルは広い所で戦いたい。出来ればレベル6ともだ。


「じゃあ、ジェリルは船着き場の二人を、コトネは係留ロープから登って船の上の奴だ。俺は渡し板を登る」

「はい」「おう」

「行くぞ」

 三人は隠れていた茂みから飛び出す。

 船着き場は海に向かって、一m幅の板を海の底に打ち込んだ杭に乗せた細い橋のような造りになっている。

 ジェリルはその板の上を走る。コトネは岸の方に張った係留ロープの上を、猫のように登って行く。


「敵襲だ!!敵が来たぞお!!」

 見張りは叫ぶが、こちらの人数が少ないのを見て反撃するつもりらしい。好都合だ。


 ジェリルが剣で止めようとした最初の敵を剣ごと斬り伏せる。

 後ろに居た奴はそれを見て、船着き場から船に掛けられた渡し板を登って逃げようとしたがジェリルの剣に上下に両断される。


 船の上の前に居た男はコトネに斬り捨てられ、海に落ちる。

 レオンも船の中に逃げようとした男を斬る。

 行き場を失った残りの一人は剣を捨て、船の反対側から海に飛び込んだ。

 レオンは船の上から収納庫から出した槍を持つと、泳いで逃げようとした男に投げた。

 槍は男の胸を貫いた。

読んで頂きありがとうございます。

次はジェリルがレベル6相手に大暴れします。

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