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4-9 アンナ、少年を拾う

夜営をすることになったレオン達。朝、足りなくなった薪をアンナが拾いに行くと・・・。

 魔獣狩りが終わって取敢えずブロイセンの街に帰ってきたレオン達。


「よし、昼にするか」

「外でお肉食べたい」

「こらアンナ、従者が自分の食べたいものを言うなんて」

「良いよ、コトネも食べたいものがあるなら言ってよ」

「でも・・・」

「もっと自由にしていいよ。折角、帝国に来たんだからさ」

「では、私もお肉が食べたいです」

 恥ずかしそうに言うコトネ、君達はもっと我ままになって良い。そう思うレオンであった。


 屋台で豚肉の串焼きとサンドウィッチを食べた三人は、ベンチに座ってこれからの予定を話し合った。

「残念ですが次の魔獣狩りには参加できません。場所が遠いので入学までに帰れません」

 コトネが魔獣狩りの予定を確認する。

「じゃあ、薬草採取でもしながら帰るか」

「賛成!!」

 活躍の場が無かったアンナが即賛成した。

「私も賛成です。アキラさんへのお土産にもなりますし」


 食料を買い溜めしてブロイセンの街を出る。

 ノルンにおんぼろ馬車を引いて貰って正門を出ようとした時。

「見つけたぞ!!レオン!」

 ジェリルだった。

「ああ、ジェリルさん、どうかした?」

「どうもこうもあるか!アタイが文句を言ってるのに逃げやがって」

「そうですか。でも俺には連れがいるのでのんびりできないよね」

「ああ、そうか。そうだな」

 素直なジェリルであった。


「ところでどこに行くんだ」

「帝都に帰るんだよ」

「帝都、おまえ帝都に住んでるのか」

「まあ、寮だけどね」

「寮って、傭兵以外でも働いてるのかよ」

「まあね、結構高給取りだよ」

「そうなのか?そうだよな。じゃなきゃあ獣人とは言え、少女奴隷二人を養えないよなあ」


 その言葉にアンナが噛み付く。

「私達は奴隷じゃないよ!従者なの!!」

「え、そうなのか。済まない。でもこんなガキの従者って役に立つのか?」

「全く、この方は何て無教養で無神経で無頓着なんでしょう」

 コトネにこれでもかと貶められるジェリルだが、全く堪えた様子はない。


「そうかあ、帝都かあ。アタイも行こうかなあ」

「次の魔獣狩りは帝都とは方向違いですよ」

 もろに着いて来るなと言いたいコトネだが、ジェリルは歯牙にもかけない。

「なあなあ、アタイも馬車に乗せてってくれよう」

「ダメ!!」

「ダメです!」

「見ての通り、小さな馬車だから乗れませんよ」


 三人に駄目だと言われても諦めないジェリル。

「ヤダ、一緒に行く!」

 なぜか幼児化してきたジェリル。


「あんた幾つだ!」

 腹が立ったレオンだった。

「アタイか、アタイは今年十五になった。それで魔獣狩りに村から出て来た」

 二十歳ぐらいに思っていたレオンはのけぞった。


「俺と同い年だと!俺の事若すぎるとか言ってただろ!!」

「ああ、婿には村の事を見て貰わないといけないから、二十歳ぐらいが良いと思った」

 レオンは何が何でも断りたい。薬草採取には次元収納庫を使うので、バレるのはまずい。


 結局、断れずに一緒に帝都に向かうことになった。

 とは言え、馬車に積んだ食料、水はブロイセンで買い足すとして、飼葉はノルンが食わないからどうやって誤魔化そう。

 収納庫の中にはいっぱいあるんだけどね。

 ジェリルの乗る場所も作らないと・・ああ、面倒臭い。


 当のジェリルは俺達が準備をしているのを当然と思っているのか、何も手伝わない。

「ジェリルさん!、荷物を後に寄せて、自分の場所を作って下さい」

「・・ああ、」

 コトネに怒られてようやく手伝う。

 もしかして村では、結構高い地位にでも居たのかな。


 出発が遅れたので、今夜は野宿だなあ。一応テントはあるけど、4人が入れるのかなあ?。


 三時間くらい経つと周りが暗くなってきた。

「ここらで夜営するよ」

 俺はテントを組み立て、コトネとアンナは枯れ木を集めて火を熾す。

 そういや、ジェリルは荷物を殆ど持っていない。小さな背負い袋だけだ。


 テントが組み上がった頃、コトネとアンナが夕食の準備を始めた。

「ジェリル、お前食料は?」

「持ってない」

「寝具は?」

「持ってない」

「野宿は?」

「今日が初めてだ」

 レオンの口から「ああ、」というため息が漏れる。


 ジェリルの旅は駅馬車でするので、宿泊地や食料などの心配をしたことが無い。

 駅馬車の停車する駅には、宿泊施設と食は確保されているからである。

 レオン達の行けるだけ行ったら、夜営という旅とは違い過ぎるのだ。


 テントはどう見ても3人でいっぱいだし、いつもの家でもないので、交代で見張りをすることにした。

 街道沿いだが野生動物や魔獣も居るかもしれないからだ。


******

<アンナ視点>

 私がテントの中で目を覚ました時、レオン様はまだ寝ていた。

「アンナ、静かに起きて、朝ご飯の支度をします」

 お姉ちゃんはいつも私を起こしてくれる。でも帝都に戻ったらお姉ちゃんは初等部の寮に行っちゃう。私一人で起きられるのかなあ。


 テントから出るともう明るくなっていた。

 周りを見ると昨日作ったかまどの所で、ジェリルとか言う傭兵が見張りをしてた。

「おう、ガキンチョ、早いじゃねえか」

「おはようございます」

 お姉ちゃんはこんな奴にも丁寧にあいさつする。でも私はこいつが嫌いだ。

「ふん!」

 そっぽを向いてやった。あー、朝から気分が悪い。


「アンナ!どんな人でもきちんと挨拶をしなさい。それが従者の務めです」

「ごめんなさい・・・おはよう・ございます」

 お姉ちゃんに叱られたら仕方が無い挨拶をしてやる。

「おはよう、一晩火を燃やしていたから、もう薪がねえぞ」

 無ければ探して来ればいいのに!


 お姉ちゃんは朝食の鍋をかまどに据え、豆と水と調味料を入れた。火が弱い。

「薪を拾いに行ってきます。アンナ、薪を探しに行くよ」

「おう」

「もう少し、火の番をしていてください」

「分かったぞ」

 あいつに火の番を頼んで、私達は林の中へ薪を取りに行く。


「アンナ、危険な奴がいないか見てくれる」

 私は探索をする。頭の中に周りの魔力の反応が光点となって現れる。強い反応はない。それから目と耳と鼻で周囲を確認する。これも異常はない。

「大丈夫、近くには何もいないよ」


 暫く薪を取って戻った。

「もう少し要るかな」

 薪が足りなかったみたい。

「私が取ってくるよ。お姉ちゃんは用意してて」

「なんだ足りなかったのか?」

 あいつの横柄な言葉を聞いて腹が立ったが、私はもう一度林に入る。


 ああ、魔力探索もやらないと、時間が経ってるからね。

 あれ、端っこの方に人?ヤバイ!!魔獣だ。人が魔獣に襲われてる。

 私は集めた薪を放り出して走る。

 簡単な探索だったから五百mは離れてる。急がないと危ないわ。


 林を抜けて、視界が開けた。

 まだ草が生茂る季節でもないので、百m位先に人と3匹のオオカミがいるのが見えた。

 大変、こちらに逃げてるけど、すぐに追い付かれそうだ。

 此方からは,人を撃ちそうで攻撃できないよ。

 あ、こけた。躓いたのかな?


 とにかく、今だ!!


「パルスレーザー!!」


 パルスレーザーは、本当はレーザービームと言って、レーザーを一本に繋げて撃つ精霊魔法なんだけど、まだそこまで集中できないので、小刻みにレーザーを撃ってるの。

 本当のレーザーに比べると千分の一くらいの威力しかないわ。でもオオカミくらいならやっつけられる。


 オオカミの頭がバッバッバッと輝くと、オオカミの体は靄の様に掻き消える。

 私は頭を抱えて蹲る人のそばに行った。

「ねえ、オオカミはやっつけたよ」

「え、え、」

 その人は膝立ちで辺りを見る。子供?、茶色の犬の耳、犬人の男の子だ。

 灰色の汚れた服と濃い茶色のズボンを穿いてる。


 その子は私をジッと見て偉そうに言って来た。

「お前、誰だよ?」

「私はアンナ。あんたがオオカミにやられそうになってたから助けてあげたの」

「お前が魔獣を倒したって言うのか?」

「そだよ。お礼ぐらい言っても罰は当たらないと思うけど、犬人族の少年」

 生意気なので煽ってやる。


「俺は犬人じゃない。誇りある黄色狼族だ!お前こそ狐だろ、威張るな」

「どっちでも良いよ。大丈夫そうね。お姉ちゃんが心配するから帰るね」

 ホント、狼族ってどうしようもない奴ばかりなのね。あいつを含めて。


 私が戻ろうとするとその子が肩に手を掛ける。

「ま、待てよ。待ってくれよ。謝るからな、なっ」

「何、何か用があるの?ほんとにお姉ちゃんに怒られるんだけど」


「お前の姉さんって、お前より強いのか?」

「強いよぉ。昨日はブロイセンの魔獣狩りで、ミノタウロスやオーガをやっつけたんだからね」


「俺も姉さんの所へ連れてってくれ。頼む」

「あんたが居れば言い訳できるし、いっかぁ。着いて来な」


 私はレオン様に従者通信を入れた。ちょうど起きたところらしかった。

『アンナか、コトネが探してるぞ。何処に居るんだ』

 あちゃー、やっぱり心配されてたか。

『ごめんなさい、子供が魔獣に襲われてるところを見たもんだから』

 此方の事を説明した。


 夜営地につくとお姉ちゃんが、抱き付いてくる。

「馬鹿、連絡ぐらいできたでしょう」

「ごめん、ちょっと危機一髪って感じで、余裕が無かったの」

 コトネとアンナの感動の再開場面を無視して、男の子が前に出て来た。


「悪いけど、あんたが強い姉ちゃんか?」

 男の子はお姉ちゃんではなく、ジェリルに話しかける。

「なんだ、このガキは?」

「俺は黄狼族のガルド、俺の村が盗賊に襲われているんだ。助けてくれ」

「山賊か、そりゃ豪気だな」

 ジェリルさんは全然気にしてないみたいに言ってる。


 でもレオン様は悪を許したりしないんだよねえ。

「ガルドって言ったか?詳しく説明してみろ」


 ガルドが話した内容は分かりにくかったので要約すると、ガルドの村はソッタ村と言い、半農半漁で成り立っており、住民は約五十人。二日前の夜、船で来た二十人くらいの賊に村を襲われ、全員が拘束された。

 ガルドは窓から脱出して寝ないで街道を目指して逃げてきた。


 レオン様が本当かと私に聞いて来た。私はある程度嘘を言っているかが判る。

「多分、本当」

「分かった。先ず腹ごしらえをしよう」


 朝食は出来ていたので全員が煮込んだ豆のシチューとパンで朝食を摂った。

「レオン、助けに行くつもりか?帝国の人間でもないのに、なぜだ?」

 ジェリルさん(あいつ)が不思議そうに聞く。バーカ、レオン様は困った人を放って置けない人なんだよ。

「盗賊は村の人を捕まえて、どうするつもりなんだろうか?」

 あいつの疑問に答えないで、質問を返すレオン様。


「多分、奴隷にして売るつもりなんだろう。北の方の国は獣人に人権は無い。」

「最悪、船に乗せられているか」

「多分、隷属の魔法をかけてから船に乗せるだろうから、今日いっぱいぐらいは村に居るだろう」

 反乱が起きるといけないので、普通は先に隷属させるのだそうだ。


「ガルドよ、俺達の秘密の力を使えば、今日中に村に行ける。だからお前は、ここでジェリルと待っていてくれ」

 レオン様はノルンさんで行くつもりなんだ。


「いやだ!!俺も連れて行ってくれ」

「おい、アタイを置いて行く気か?」

「すまんが、今日中には戻ってくるつもりだ。待っていてくれ」

 あいつは立ち上がってガルドの方を持って寄せた。


「アタイも手伝うから連れて行け。秘密が心配なら契約しても良い」

「分かった。頼む」


 契約はいろんな形があるけど、今回はレオン様の秘密を守ること。

 本人同士で魔力で契約すると契約内容を破ることが出来なくなるよ。

 友達同士だと信頼を失うこともあるので、エイトさんやエリーゼ様とは契約してないよ。


 レオン様は二人と契約すると馬車を収納庫に入れて、ノルンさんを大きな鳥に変身させた。

レオン達は村人救出に向かいます。さて、どうなることやら。

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