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4-8 魔獣狩り

お正月も終わりですね。大人に成るとお正月も特別感が無くなりますね。甥っ子姪っ子にお年玉は取られましたがね。

いよいよ魔獣狩りの始まりです。

 魔獣狩りに来たレオン達はジェリルと再会して、観客席の隙間から狩場の様子を覗くのであった。


「だいたい位置に着いたみたいですよ」

 コトネは俺達の一段下の隙間から覗いていた。

 一番目の組はベテランが比較的前で数を稼ごうとし、初心者が後ろの方で安全に狩ろうとしている。

 チームを組む者たちは狩場の中央に、一人で狩るものは壁を背にしていた。

 女性も多くいる。スキンアーマーは鎧より隙間が無いし、軽いから早く動ける利点があるので、魔獣狩りには有利だ。


「開けるぞぉ!!」

 観客席からウオォー!!!と言う唸りにも似た声が上がる。

 塀の上から係りの軍人がロープを引いて、扉を開ける。

 黒い塊が噴水の様に飛び出る。

 魔獣が各々標的を定めて傭兵に向かっていく。やはり速いのはオオカミだ。


 オオカミと言ってもオオカミの姿をしている訳ではない。四つ足で走り、頭の部分に空いた大きな口で噛み付くのでオオカミと言われる魔獣である。

 次に出て来たのが身長1mちょっとのゴブリンと言われる人型の魔獣だ。こいつらも武器は持っていなかった。噛み付いて攻撃してくる。


 まずは狩場の中央に構えた傭兵に向かって飛び掛る。魔獣を狩るのに力は要らない。ただ速く得物を振り、切断する必要がある。中途半端な傷を与えてもすぐに再生してしまう。

 正面で戦っていた傭兵が徐々に押し込まれる。両サイドに居た傭兵がフォローをするが、すぐに後ろにも回り込まれる。

 そうなると魔獣の攻撃を躱すのは至難の業だ。鎧の隙間に噛み付かれると魔力回路を壊され死んでしまう。

 すでに前の方に居た何組かの傭兵が動かなくなっていた。


 ダンジョンの扉は閉められている。もう狩場の中に居る魔獣だけだ。魔獣が減ってくると壁際に居た傭兵も魔獣を追って中央に出てくる。後ろの方に居た初心者は、死んだ傭兵の周りに落ちている魔石を拾いに殺到する。

 なかには落ちた魔石を奪い合い、喧嘩を始める物も居るが、軍人に✖を付けると脅されて大人しくなる。


 一番目が終わった。8人が亡くなった。軍人がやらないわけだとレオンは納得してしまった。


 近くに居た二番目に出る傭兵が隣の傭兵と話している。

「今日は多かったな。二百近く居たんじゃないか」

「そうだな。侮って前に位置取りしていた奴が死んでる」

「今日は後ろの方に位置取りするか」

「その方が良さそうだ」


「二番目の方!、準備してください!」

 係りの軍人が知らせている。隣の傭兵は何も言わずに集合場所に向かった。


「死んだ人はどうなるんですか」

 コトネは悲しそうに聞いて来た。

「遺髪を登録した住所に送る。身寄りのない奴が多いから、捨てられることも多いと聞くぞ」

 レオンに代わり、ジェリルが答える。

「死体はここで焼かれて埋葬される。心配するなアタイの後ろに居れば大丈夫だ」

「私は負けません!」

 魔獣に負けないのかジェリルに負けないのか、そこらは不明だなとレオンは思った。


 二番目の組が配置についた。やはり、一番目の組より後ろに構えている。

 扉が開いた。飛び出して来たのはコボルトと言われる人型の魔獣で、大きさは人と同じぐらい。爪が武器だ。次に出て来たのはオークと呼ばれる魔獣で人より大きい約2m位、武器は木の根を加工したこん棒。

 魔獣は階層ごとに出てくるみたいだ。


 数はコボルトが約五十とオークが約三十、傭兵の数が五十、いい勝負になりそうだ。

 前の方に位置取りした傭兵はコボルトをなるべく後ろに回して、オークとの戦いに備える。

 後は一番目みたいに数が減るまで見ていることは許されない。早々にコボルトとの戦いになる。

 全体的な戦いになれば、一人二体の魔獣を倒せば勝てるので、傭兵の方に有利に戦っている。


 結果は傭兵は二人死亡、一番後ろに位置取りした奴だった。


「さて、準備しようかね」

 ジェリルが控室に帰る。

「俺達も準備するか」

「はい」


 控室に戻るとジェリルがズボンを脱いでるところだった。

 コトネもワンピースの服を脱ぐといつもの赤いブラとショートパンツ姿だ。

 ジェリルが立ってポンチョを脱ぐと、現れたのは岩のような筋肉。巨大な岩山の様に見える。まさにガララト山。


 岩塊のような手足、スイカのような硬そうな胸、尻も筋肉の塊、わずかに隠すマイクロビキニ、優しかった顔も鬼のように変化する。

「先に行くぞ」

 そう言って大剣の鞘を抜きはらい、集合場所に行った。


 流石のコトネも言葉が無いのか口を開けたままジェリルの後ろ姿を見送っている。

「すごいですね」

 ようやく我に返ったコトネだった。

「お前もあれを目指すか?」

「いえ、あれはレオン様に嫌われそうです」


 レオンは細長い包みを開けて一本の剣を取り出す。

 細身のサーベルだ。刀身はコトネの脇差の倍近くの長さがある。

「コトネ、これを使え」

「でも、これでは相手の攻撃を受けられません」

「そうだ、攻撃を受けちゃ駄目だ。お前が強くなるには、攻撃を受けずに戦うしかない」

「分かりました。使ってみます。でもいつもの脇差、ちゃんと持っててくださいね」

「分かってるよ」

 レオンはそう言ってベルトに二本の刀を差した。


「三番目の方用意してください!」

「さあ行くか」

 コトネはサーベルをブンブン振って感触を確かめている。

「はい、これって脇差より軽いですね。長いのに」

 これはコニンさんが考えた魔獣狩り専用のサーベルだ。魔力で出来た魔獣の体は密度が低いので、柔らかいから細身でも斬ることが出来る。その代わり防御は出来ない。


 壁の一部が控室からの出入り口となっており、そこに集合したのは六人。

 ジェリルと俺達、それからフルプレートの30代、チェーンアーマーの上にサーコートを着た二人だ。

「では、出てください」

 レオン達は狩場に出る。観客がワーッ!!と盛り上げる。


 ジェリルはど真ん中に発つ。その後ろにサーコートの二人が立ち、左壁際に30代が立つ。

「俺達は右の壁際だ。行くぞ」

「右が壁だと剣を振りにくくはないですか?」

 レオンがコトネの耳に口を寄せてなにやら囁く。


「レオン、お前らアタイの後ろでもいいぞぉ!!」

 ジェリルが叫んでいるが無視をする。

「開けるぞぉ!!」


 扉が開いても飛び出しては来ない。ゆっくり歩いて出てくるのはミノタウロス、身長は2.5m武器はこん棒。次に出てくるのがオーガ、身長は3m武器はこん棒。まあ、ダンジョンの中じゃあ木の根くらいしか材料が無い。ダンジョンマスターは人間のような武器を持つことがあるそうだ。

 そういや最初のダンジョンマスターのミノタウロスは戦斧を持ってたなあ、レオンが回想した。


 ミノタウロスは8体、オーガが6体だ。一人当たり二体強か。


 レオンの方に向かって来たのはミノタウロスが二体だ。

「行くぞ!コトネ!!」

「はい!!」


 コトネがこちらに向かってくるミノタウロス目掛け走る。すぐに彼我の距離は縮まり、ミノタウロスのこん棒が振り下ろされる。コトネはスイと避けると敵の足を斬る。そのまま後ろの敵に向かっていく。

 レオンは足を斬られ無様に転倒した敵の首を落として魔石を取る。


 コトネの急接近に準備の間に合わない敵は攻撃を躊躇した。コトネは敵の目の前で跳躍、敵の肩の辺りで逆さになって剣を振る。相手の首を落として背後に着地した。


 そのまま走るは敵の最後尾にいるオーガ。

 まさか相手から近付いてくるとは思っていないオーガは対応が遅れる。足の間を抜けるコトネ、その時に足を付け根から斬り落とす。コトネはそのまま走り抜ける。コトネに集中しているオーガの首を斬り落とすレオン。

「三つ!!」

 レオンが叫ぶ


 左の壁際でコトネの息を整えさせるレオン。ようやくジェリルと先頭のミノタウロスとの戦闘が、始まったところだった。

 30代に向かっていたミノタウロス一体とレオンの後を追って来たオーガ二体が、こちらに走って来た。

「オーガから行くぞ!」

 ミノタウロスに30代が向かっていくのを横目で確認してコトネに指示を出す。

「はい!!」


 同時に複数を相手にしなければコトネは強い。弱点は相手の重い攻撃を受けきれない所だ。

 だから走り回って常に相手を一体に絞る。こういう戦いをさせればコトネは無双できる。


「四つ、五つ」

 連続でオーガを倒すとまた最後尾のオーガに向かっていくコトネ。


 先頭のミノタウルスはジェリルに切り倒され、更に次のミノタウロスもこん棒を持った腕を斬り落とされている。

 このままでは獲物をすべて奪われてしまうと思ったのか、サーコートの二人も右側から敵の群れに挑んだ。


 最後尾のオーガを倒すと次は群れの左側に居たミノタウロスがジェリルに気を取られていたのでこれを一蹴。

「六つ、七つ」

 ジェリルが4体目を倒すともう30代が相手にしているミノタウロスとサーコートが相手しているオーガ二体しか残ってない。


 さすがに3人共三番目に志願するくらいだから、魔獣は一匹残らず倒せた。死者もいない。


「お姉ちゃーん!!、レオン様ぁ!!カッコ良かったよぉ!!」

 観客席でアンナが呼んでくれる。

 俺が手を上げるとコトネがその横で手をブンブンと振っている。


「お前、強かったんだなあ」

 ジェリルが横に並んで話しかけてきた。

「ジェリルさんには負けますよ。一人で四体でしょ。俺とコトネは二人で七体だ。一人三体半でジェリルさんの方が倒してる」

「そうかアタイは強いか。そうかぁ」

 褒められて嬉しいのだろう。黒いオオカミの尻尾がブンブン振れてる。


 控室に行くと魔石の交換をやっていたので、先にコトネをアンナの所に向かわせる。他の三人はすでに交換を済ませていたのでジェリルが交換する。

「えーと、ミノタウロス四体で金貨三枚と大銀貨が二枚です」

「よーし」

「次はレオンハルトさん、ミノタウロス三体とオーガが四体で金貨7枚と大銀貨4枚です」

 レオンは高価を袋に入れてそっと収納庫に入れる。


「ちょっと待てよ。アタイの賞金を倍にすると・・・・・金貨が六枚と大銀貨がえーと四枚になるから・・・お前達の方が稼いでるじゃないか!!」

 レオンはジェリルが計算し出してからそそくさと逃げにかかっていたので、もう控室には居なかった。

「ちくしょう!あいつ騙しやがったな」

 いや、騙してませんよ。倒した魔獣はあなたの方が多いと言ったのですよと、レオンは後ろで聞こえる怒声に言い訳をしていた。実際はオーガの方がミノタウロスより買取価格が五割ほど高いのです。


 コトネやアンナと合流したレオンは取敢えずブロイセンの街へ戻った。

次回、帝都への帰り道でちょっとしたトラブルに見舞われます。

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