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4-3 コトネとアンナの休日

閑話のような感じです。

重要なことはあまりありませんので関心の無い方は飛ばしてください。


*久しぶりの登場人物


アニー  王国でレオン達が魔獣狩りをしたときに会ったルシーダが雇った傭兵の一人。獣人差別主義者でハンカチを拾って貰ったアンナにビンタを食らわし、最終的にレオン達を殺そうとした。


ミック  アニーの仲間、槍を使う。獣人差別主義者、アニーに追従していた。


ビル   名前だけの登場、アニー達の仲間だった。

 レオンは第二皇女に会うために帝城へ行った。一方、外出の許可を貰ったコトネとアンナはホテルの支配人おばさんに安全そうな場所を聞こうとしていた。


「お嬢ちゃん達が安心して遊べて食事ができるところねえ。・・・そうだ、この先にある公園なら大丈夫だよ。昼前になったら屋台も出るし、でも傭兵には気を付けなよ。あいつらの中にはならず者が居るって聞いたよ」


 帝国は地方にある幾つかのダンジョンを計画的に溢れさせ、傭兵に魔獣を狩らせて魔石を取っている。帝国は魔石を使っていろいろな魔道具を開発している。魔動車もその一つである。

 傭兵は魔獣を狩って魔石を売ることで日銭を稼げるし、その金の殆どが帝国で消費されるため経済的にも潤っている。


 上記の理由で帝国の地方都市にはたくさんの傭兵が住んでいる。帝国は傭兵を管理するため傭兵組合ギルドを立ち上げ、傭兵の管理、魔石の買い上げを行っている。帝都には時々休暇を取った傭兵がやってくるのである。


 もちろん、事件事故を起こした悪質な傭兵は、国外に追放され二度とギルドに登録は出来ないのである。


 ******


 コトネとアンナは手を繋いで歩いている。そのすぐ後ろに叔父さんの姿をしたノルンが歩く。

 今日目立つメイドの格好はしていない。いかにも町娘といったファッションである。

 道を歩く人たちを観察すると二割位が獣人である。ほとんどが犬人か猫人だが珍しい獣人も居た。


 10分位歩いたら教えて貰った公園が見えてきた。


 公園には3月だと言うのに花壇には色とりどりの花が咲き、常緑広葉樹の植木の緑が美しかった。

 公園に入るとすぐの広場の脇に子供用の遊具が設置されていた。あまり人は居らず遊具は空いていた。


<コトネ視点になります>

 ブランコ・滑り台・回転遊具・シーソー・鉄棒などが設置してあった。

「アンナ、どれで遊ぶ」

「あれはどうやって遊ぶの?」

 ブランコを指差して燥ぐアンナはとてもかわいい。彼女は遊具で遊ぶのは初めてだった。私も人の遊んでいるのを、離れて見たことがあるだけだったが・・


「この木の板に座って、両側の鎖を手で持って・・そう」

 ブランコに座ったアンナの背中をゆっくり押す。


 アンナは行って戻ってして笑っていたが、すぐに飽きてきた。

 アンナの年代にはちょっと幼稚だ。

「今度は揺れに会わせて足を前に振って」

 上手くブランコの揺れを持続できない。

「うまく出来ないぃ」


「ちょっと見てなさい」

 私も初めてだけどうまくやって見せるわ。

 始めはうまく漕ぐことが出来なかったけどすぐに慣れた。

 地面と水平になるまで大きく漕ぐ。


「アンナ、どう、すごいでしょ」

「お姉ちゃんずるい!」

 ちょっとお姉ちゃんらしくなかったと反省する。

 アンナには私ほどの運動神経はない様だ。

 それでも五分としないうちに慣れてしまった。

 男の子ならば、立って漕いだり、靴を飛ばしたり、飛んだりできるのだけど女の子らしくはないわね。


 ブランコに飽きたアンナは滑り台に向かってはしる。

「お姉ちゃん!今度はこれやりたい」

「じゃあ、後の階段を登って・・」

「そう、そこに足を延ばして座るのよ」

「手で前に進めて・・」

 私はスピードが付きすぎないようにアンナを支えてやる。

 下まで来ると不機嫌な顔をしている。


「おねえちゃん、私は手を出さなくても大丈夫だから」

 どうも一人で滑りたいらしい。

「分かった、分かったから、今度は一人で滑って見なさい」

「うん」

 アンナは手を前に伸ばしたまま滑っている。まずいと思って手を出そうとすると睨まれてしまった。


 滑り台の最後の水平部分でも減速もせずに、そのままの姿勢で飛んでしまう。

 ドン!!

 お尻を打ったらしく、両手で押さえて唸っている。

「大丈夫?」


「だ、大丈夫だよ。お姉ちゃんも滑って見せて」

 どうも私の失敗するところを見たいみたいだ。

 私が滑るのを急かすアンナ。

「じゃあ、滑るよ」

「途中でゆっくりにしたら駄目なんだからね」

「分かったよ」


 アンナと同じ姿勢で滑る。

 水平になったところで、右足を地面につけてブレーキを、その反動を利用して、軽くジャンプして着地。

「ずるい、お姉ちゃんずるいよ」

 だってお尻痛いの嫌だもん。今度は伸身の宙返りでもしてあげようかしら。


「よおし、今度はあれよ」

 鉄棒を指差した。


 その時だった。

 キャーッ!!

 幼い子供が上げたと思われる悲鳴が聞こえた。

 公園の反対側だ。ここからでは植木が邪魔で様子が見えない。


「アンナはノルンさんとここに居て」

 楽しそうにブランコを漕いでいたノルンさんにアンナを任せて、走る。


「何をしやがる!!この野郎!!」

 今度は野太い男の声だ。

 キャーッ!!

 なに、若い女の悲鳴?


 見えてきた。どいう状況なの?公園の出口に何人かいる。

 幼女がしがみ付いてる大男と倒れた若い女性を庇う若い男が相対してるのかな?

 私が出る幕じゃないのかな?


「許してくれ、頼む」

 若い男が・・・見たことあるかも・・たしかミックとか言う奴。

「うるさい!!邪魔するならお前もぶっ殺す!!」


 大男がミックの襟首を掴んで持ち上げる。大男は獅子人だ。初めて見た。

 しがみ付いてる5歳位の幼女が泣いている。

「済みません。お邪魔じゃなかったら状況を教えて頂けませんか?」


「なんだお前は!引っ込んでろ!!」

 ミックを横に放り投げて、倒れた女性の方に向かう大男。


 いけない!間に合わないか!

「危ない!!虎爪三連撃タイガークロー!!」

 私は魔力の刃を倒れた女の方へ放った。


 刃はほぼ出来上がっていた魔法陣を切り裂いた。魔法陣は魔力なら干渉できる。

 アニーだ!!私達を魔法で焼き殺そうとした女だ。

 大男は驚いて私の方を見ている。


「また、魔法で人を殺そうとしたの?アニーさん」

「うるさい!!殺らなきゃ、殺られるだろうが!!・・お前は?」

 アニーも私に気付いたようだ。


「お前は何者なんだ?」

 大男が私に聞くがそんな大層な者じゃない。

「私はコトネ。叔父さん、こんな奴でも殺せば殺人罪で捕まるよ。その子を殺人者の子にしたいの?」

「あ、いや、娘を叩かれて・・済まなかった、ありがとう、殺さずに済んだ」

「お姉ちゃん、ありがとう」

 大男とその娘は頭を下げた。なんだ普通の人だ。


「それより今の技はもしかして神獣人なのか?」

 怒れる獅子の顔が普通の叔父さんになっていた。ちょっと安心。

「普通の魔法だよ」

「そ、そうか、俺はあそこでライオンって食堂をやってる。良かったら寄ってくれ」

「うん、分かったよ」

 親娘は手を振りながら去って行った。


 アニーはスカートの埃を払ってる。一般人みたいな恰好をしているから分らなかったよ。

「礼は言わないよ」

 相変わらずの獣人嫌いらしい。

「あんたを助けた訳じゃないし、構わないよ」

 隅で小さくなっていたミックも大丈夫なようだ。

「ありがとよ、助かった」

 こっちは素直だ。


「もう獣人に関わるなって言っただろ。獣人とトラブル起こして魔獣狩りも暫く出来なくなったんだし」

 アニーに文句を言う。

「歩いてたら、ぶつかって来たんだよ。少しぶったって良いだろ」

「知ってるけど、ぶたなくっても良いじゃないか。もうお前とはやっていけないよ。トラブルばっかり起こしやがって」

 あの後も同じようなことをやってたみたいだ。


「あんたも両親を獣人に殺されてるんだよ。なんで平気なのよ」

「平気な訳無いだろ。でも俺達の村を襲ったのは獣人だけじゃなかったんだ。人間の兵隊も居たんだ。どっちがやったかなんて分からないだろ」

「獣人に決まってるんだ。そんな事出来るのは獣人なのよ」

「黙って聞いてれば、随分獣人だけを悪く言うのね」

 私はアニーの話を聞いて、黙って居れなかった。


「私も7年前に両親を目の前で兵隊に殺されたわ。人間の兵隊にね。獣人だけ悪く言うのはやめてくれる」

「7年前!おまえ王国の東の小国群に居たのか?」

「そうよ、あなた達も?」

「そうだ。俺達は同じ村の出身であの戦争で孤児になって、王国で傭兵をやってたんだ」

 7年前、小国群はモンギットと呼ばれる軍に襲われた。彼らは略奪をすると引き上げて行った。


「なるほどね。それでいつまでも拗ねているんだ」

「なによ!!あんたは復讐を考えなかったの?!」

 アニーは私に突っかかてくる。

「考えなかった。当時5歳だからね。人間に育てられたしね」


「人間に育てられたの。幸運だったのね」

「幸運といえばそうでしょうね。でも厳しかった。毎日もう死んじゃうんじゃないかと思ったよ」

「そんなに働かされたのか?」

「働きもしたけど勉強と訓練の方がきつかった。ってそんなことはどうでも良いの。もう獣人を恨むことはやめなさい。人生を損することはもう分ったでしょう」

 私は二人を諭す。


「ああ、俺はこいつを見ててそう思った。ビルにも見捨てられたしな」

 ミックはアニーを横目で睨み、しみじみと言う。

「じゃあね。出来れば二度と会いたくないわ」

 私は踵を返してアンナの所に歩き始める。

「まあ、考えてみるわ」

 アニーはぼそりとそう呟いた。


 ふと見ると植木の影からアンナとノルンさんが覗いている。

 公園のあちこちで食べ物を売る屋台の準備が始まっていた。


「あんた達、いつから見てたの」

「あいつが魔法を撃とうとした時くらいかな」


「始めの方じゃん」

「でもあいつが居たから行けないし、見てるしかないでしょ」


「そうね、精霊魔法を撃たれても困るし」

「あいつじゃあるまいし、街中では使わないよ」

「偉い、偉い」

 頭を撫でてやる。


 いい匂いが漂い始めた。

「何か食べようか?」

「うん」

 アンナの返事がいつに増して元気だった。

 ライオンの叔父さんの店に寄ってみるかな。

次回は皇女とレオンの話の続き、あれ皇女殿下の様子がおかしい。

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