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3-13 三男坊 帝国へ行く

エルフの国を出たレオン達を待っていた者とは?

 前に魔獣狩りの時に遭ったルジータは、ユグドラシル聖皇国の教皇のひひ孫でエルフであった。

 彼女が帝国留学を図ってくれたようで、同級生であると言う。


 俺達はアキラさん達に合流した。

 資材集めも終わっていたので、ホテルに入って休むことにした。


 まだ、夕食には早いので皆で雑談を始めた。

「それで面会を希望したということか。でも初めて会った時にはエルフとは思わなかったのか?」

「それが普通の人間としか感じなかった。コトネもそう思っただろう」

「はい、エルフとは思いませんでした」

 アキラさんの問いに、そういやそうだと思ってしまった。


「でも今日はエルフだと分かったんだろう?」

「それは耳がエルフの耳だったから」

 そうか最初に遭った時はエルフの耳じゃなかった。

「幻影魔法かなんかで騙されたって事か。まあ、ヴァイヤール王国は亜人差別もあるから仕方ないんじゃないかな」


「え、エルフも差別されるんですか?」

「ああ、大体の人間の国は獣人、エルフ、ドワーフなんかを差別するよ。特に金字教の国では激しいな」

「帝国は差別がないと聞いているのですが?」

「まあ、そこが帝国の強さだな。獣人であろうが亜人であろうが才能があればお構いなしだ。要職にも付けるらしい」


 ジュリアが感極まった声を出す。

「それが私達の行く国なのですね。素晴らしいです」

「いや、そうでもない。才能の無い者には厳しい国だぞ。農民などの一次産業従事者には厳しい税が課せられる」

 アキラさんに言われてがっかりするジュリアだった。


「それでも、獣人や亜人にとって住みやすい国ではある」

「では、エルハイホやユグドラシルが良い国なのでしょうか?」

 ジュリアの言う良い国の定義は誰もが幸せになる権利を持つ国なのだろう。


「帝国の周りの国は帝国が生かしているようなものだ。半ば属国と行って良いだろう。ドワーフは武器を、エルフは世界樹の素材を上納して守って貰ってるんだ」

 帝国がそんなに強いのならなぜ征服しないのだ。

「なぜ、帝国は直接統治しないのですか?」


「面倒臭いし、お金がかかるからだよ。帝国の軍団の維持費などは、属国に払わせるだけだ」

 つまりは帝国は属国に軍事費を払わせることに依って、自国の軍事費を押さえられる。属国が攻められると帝国の大軍が出てくるので、他の国は属国をおいそれとは攻められない。属国も常備軍は最低限で済むので帝国に上納する余裕が出る訳か。うまく出来てるな。


「ただ、帝国は中央集権制度だ。皇帝の独裁だ。皇帝が失敗すると大変なことになる」

「すべての国が平和で済みやすくなることはないのでしょうか?」

 アキラさんにジュリアが聞く。


「簡単なことだ。レオンが皇帝になれば良い」

 ヤヌウニさんが笑いながら俺の方を見る。

「冗談でもやめてください。俺が殺されます」


「そうかのう?良いと思うんだが」

「そうですよねレオンさんなら皆を幸せにしてくれそうです」

「それってジュリアが、金字教の教皇に成ったらいいよねってくらい無理なことだから」

「それは無理ですね。残念」


 ジュリアが残念そうにしていたところに、夕食の準備が出来たと連絡が来た。


 ユグドラシル聖皇国には、世界樹以外特に観光資源はない。首都ヘルムフルト以外ならあるのかも知れないが、そこまで回っている時間はない。

 ということなので俺達は次の日の朝、今日買った資材を馬車に積む、まあ、俺の次元収納庫に入るのだが。

 出来れば壁の中をもっと見て回りたかったが、許されるはずもない。世界樹こそエルフの飯の種なのだから。

 世界樹の恵は葉や樹液は薬の材料になり、枝は魔力を増幅する杖になる。葉や樹液は今は季節じゃないのであまり店に出ていなかったそうだ。枝は自然に落下する物は高価で手に入らないし、秋に剪定する物は帝国に上納されるので、端材しか民間には出回らないそうだ。


「こんなに背が高いのによく剪定出来ますね」

 コトネが不思議そうに聞いた時、アキラさんは微笑んだ。

「もう100m位までは枝はないそうだよ。今は下から毎年生えてくる新しい枝を剪定してるって聞いたよ」

 では、ノルンに頼んで上の方の枝を取って来れば大金持ちだと思った。


「ノルンさんに頼んで上の方のに枝を取りに行っちゃ駄目なの」

 お、アンナが俺と同じことを考えていた。

「でも上の方には、虫型の魔獣がいっぱいいるそうだよ。危ないからやめようね」

 アキラさんはアンナに優しく言い聞かせる。アンナは「ハイ」と素直に答えた。

 アンナは俺みたいに金のことは考えてないみたいだ。反省。


 さあ、出発だ。

 帝国までの道は治安も良く、道も整備されているので、順調に国境まで来れた。


 帝国の国境は厳重だった。

 警備隊の隊員が馬車の中まで調べている。取り敢えず馬車の中が狭くなるが、アキラさんとコニン一家の荷物を馬車に積んだ。俺達の馬車もみんなの着替えや食料や水、飼葉などを積んだ。


 隊員が俺達の馬車を調べに来た。もちろんノルンとゴロは飛んで回り道で先回りしている。

 ジュリアが下着などの着替えを入れたトランクを開けられ涙目になってる。

 気の毒だけど仕方ないよね。


 アキラさんの方もおとがめなしで通過できた。

 悪い事なんか何にもしてないのに秘密がたくさんあるせいで、ドキドキしてしまう自分が情けない。

 ゴロとノルンは国境を過ぎてから見えないように馬車に乗せた。


 帝国に入ってから街道の両側が、見える範囲ずっと畑が続いている。

 一つ一つの畑がでかい。多分、集団農業をしているのだろう。

 帝国が効率的に食料生産に取り組んでいることが解る。

 こういうところが帝国の強さの証だと思う。


 国境を過ぎてすぐにアンナが見つけたのだが、身体強化レベル6が乗った幌馬車がずっと後ろに着いてくる。始めは偶然かと思っていた。


「『偶然かな?警戒はしておいた方が良いと思うけど』ってレオンが言ってる」

 ゴロは俺の従者通信を受けて、アキラさんに伝える。

「今日は夜営はやめて村に泊ろう、って言ってくれるかい」

 ゴロが俺に従者通信をする。

「『分かりました』って言ってる」


 結構交通量が多いから街道で、仕掛けてくることはないと思う。

 アンナはレベル6の他にもレベル5が2人、レベル4が3人いると言ってるので戦闘集団なことは確かだ。


 俺達は昼食後2時間で休憩を取る。いつものように休憩の用意を始めると、そいつは追い越したと思ったら俺達のすぐ前に馬車を止めた。

 そして一人の男が馬車を降りてこちらに歩いて来た。


 歳は二十歳くらい、赤毛の髪に身長は2m近い、フルプレートアーマーを付けたこの男レベル6か?

「おい、イエーガーのミソッカス三男坊ってお前か?」

 軽いノリの無礼な言葉で俺に話しかけてくる。


「イエーガー伯爵の三男なら俺だが、何か用か」

「俺の名はアーレス、お前と試合がしたい」

「俺は嫌だが」

 こんな失礼な奴、相手したくないよ。


「ふーん、馬車にはレベル5が2人、レベル4が3人居る。そいつらにお前達を襲わせてもいいんだぞ」

「お前、卑怯だな」

 こいつらに襲われたら相手を出来るのは俺とコトネぐらいだ。


「何とでも言え。でやるのか?あくまでも試合だ。生き残れるかもしれんぞ」

「レベル6がレベル1に挑んで何が嬉しい」


「命令だからな。俺だってやりたくねえんだ」

 やはり、こいつらはどこかの組織に属しているのか。

「誰の命令だ?」


「は、そんなこと言う訳ねえだろ。お前をぶちのめさねえと俺は帰れねえんだ」

 奴らの馬車の殺気が大きくなってきた。立ち会わないと本当に襲って来そうだ。

「分かった。だがこんな所で戦ったら兵隊が来るぞ」


「おう、この先に左に曲がる道がある。その先にちょっとした広場があるからそこへ行くぞ。付いて来い」

「分かった。だがついて行くのは俺だけだ。他の人達は巻き込まないでくれ」

 この状態で逃げるのは無理だ。俺一人行けばアキラさん達には手出ししないだろう。


「それでいい。俺はお前だけ叩き潰せばいいんだ」

「私も行きます」

 コトネがしがみ付く。


「危ないぞ。やめた方が良い」

「あの力が使えます。レオン様がいなければ暴走してしまうでしょう」

 神獣人の力を使えるようになっていたのか。制御できるとしたら俺との絆だけだな。


 暴走すればソーンの様に一人になるしかない。

「分かった。付いて来い」

「ありがとうございます」


 ノルンに馬になって貰って、俺達の馬車はシャラが御者をすることになった。

「済まないね。彼らが相手では、私達は足手まといにしかならないからね」

 アキラさんはそう謝るが、あなたが謝ることはない。


「俺にもしかの事があればアンナを頼みます」

「私も連れてって。レオン様」

「ごめんな。お前を連れて行く訳には行かないんだ。じゃあ、先に行って下さい」


 泣き叫ぶアンナをヤヌウニさんが押さえて、馬車は去って行った。

 俺はコトネを抱きかかえるようにノルンに乗って、彼らの後を追った。


 左に曲がってしばらく行くと防風林があり、その先に20m×50m位の枯草の広場があった。

 街道からは防風林が邪魔で広場は見えない。

「ここなら邪魔は入らん、支度しろ!!」

 アーレスが叫ぶ。


 俺は硬気功を使うから鎧の類は持っていない。

 コトネはワンピースのメイド服を脱ぎ、ビキニアーマー状態になる。


「木剣か、真剣か?」

「真剣に決まってんだろうが。そのガキがお前の死体を運ぶのか?まともに残りゃあいいがな。ガハハハハ!!」

 全く下品な奴だ。しかし俺はレベル6と戦えるのか?


「約束しろ。俺が勝とうが負けようが他の者には手を出すなよ!」

「誰が出すかよ面倒臭い!」


「残りの人も誓え!」

 アーレスの後ろに立った奴らも笑いながら「分かったぁ」「誓う、誓う!」と俺達を馬鹿にしていた。


 俺とアーレスは20mの距離で向かい合った。

レオン対アーレス、レベル1対レベル6の戦いはどうなるのか?

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