表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/222

2-13 三男坊 と姉妹と若返り

寮に姉妹が来て一波乱、そしてアキラは若返るのか?

 錬金術師のアキラさんの所にヤヌウニさんとゴロを預かって貰った俺は寮に戻った


 帰った次の日。

 まだ休み中なので朝はゆっくり起床する。

 俺が起きたことを確認するとコトネが朝食の配膳を始める。

 アンナが湯沸かしポットでお茶の準備を始める。


 湯沸かしポットとは陶器のポットの底に加熱の魔道具を組み込んだ魔道具である。寮内では火気厳禁なのだがこれは安全なので許可されている。


 朝食は昨日、帰り道で買ったパンとキイチゴのジャム、それに紅茶だ。

 食事は三人だけの時は三人で食べる。


「今日はどうされる予定ですか?」

 すっかり目が覚めた俺は、コトネの質問に答える。

「そうだな。アキラさんの家に行って、ヤヌウニさんとゴロの様子を見に行かないとな」


「そうですか。では市場に食料の買い出しにも行って欲しいです」

「そうだな。お前達も大きくなったろうから服でも見に行くか」

「やったー」

 アンナが飛び上がる。コトネも嬉しいらしく微笑んでいる。


 俺がノルンに念話をしようとした時、扉にノックの音がする。

「ハーイ」

 コトネが扉に駆け寄って開く。


 現れたのはレナ姉さんと妹のカトリーナ”愛称はリーナ”だった。

 妹のリーナは10歳でちょうどコトネとアンナの真ん中の歳だ。

「やっと会えたわね。ここへ来たのはもう三回目よ」

 リーナの背中をポンと叩く。

 俺は二人を出迎える。


「お兄様、何で私に会いに来てくれないの?」

 リーナは怒っている。そう言えば前会ったのは、旧イエーガー領を出る前だから半年以上会ってない。

「そう言うなよ。俺はこれでも忙しいんだから」



 コトネとアンナが朝食の後片付けをしてくれたので、二人にテーブルに座って貰う。

「そう言えば、母さんと喧嘩したって聞いたけど、どういうこと」

「ちょっと内容は言えないんだ」


 姉さんの問いかけにあいまいに答える。

 使用人部屋に引っ込んだとはいえここの話はコトネ達にも聞えちゃうから。


「王女様と結婚して伯爵になるのも断ったって聞いたわ」

「いろいろあってね」


「あんた!ちょっと活躍できたからって天狗になってるんじゃないの?」

 姉さんには言われたくないよ。俺は十万の魔獣から王都を守ったんだぜ。ああ言いたい。

「その話は父さんとするから放って置いて欲しい」


「何言ってんのよ!あんたがミソッカスだから心配してるんでしょうが」

 俺は身体強化レベルが1,姉と妹は4だ。イエーガー家家ではレベルが最低でミソッカスと呼ばれている。

 姉さんがエキサイトしてるのだが、リーナは泰然としている。

「姉さん、俺はもう四年前の貧弱な子供じゃない。自分の道は自分で探したいんだ」


「もう!レオの癖に生意気!」

 レナ姉さんは口を尖らせて横を向いてしまった。


 リーナがニヤッと笑った。

「姉さん、もう話は終わった?なら、ここからは私がお兄様と話しても良い?」

「良いわよ、あんたもきつく言ってやりなさい」


 俺はリーナの言い様にむずがゆくなった。

「なんだ、さっきからその”お兄様”って」


「お兄様って駄目かな。お母さんに”お兄ちゃん”は庶民の呼び方だから駄目って言われたんだよ」

 リーナの言い訳にレナ姉が言い足す。

「お母さ・・母上は上級貴族になったんだから言葉遣いを改めなさいって言ってるの」

 全く家族同士で上級貴族ぶっても仕方ないと思うんだけどな。


「話がずれたわ。お兄ちゃん、お母さんと喧嘩したからもう王都の家には来ないの?」

「成人の儀は行くつもりだ。一応高等部卒業まで待って貰ってるから、それまでには折り合いをつける」

 俺だって実家で家族と仲良く暮らしたい。でも獣人差別のはびこる実家に行けないのも事実だ。


「リーナは寂しいんだよ。王都に来てから一人で外に出られないし、学校に行くまであと1年半あるし」

 確かにリーナの歳では王都で一人歩きは危ないな。イエーガー領なら周りは知り合いだけだから安全なんだがな。


「レナ姉は来年、実家に戻るんだろ」

 貴族の反乱で俺達は今年度の寮費は免除されたけど、来年度からは払う必要がある。

「それなんだけど、ルカ兄夫婦が来たから帰りにくいのよね」


 ルーカス兄は嫡男だから今までのアパートを引き払って、実家に引っ越しをしたらしい。

「でも、高等部を卒業したら結婚するんでしょう。じゃあ、家に居た方が良いと思うよ」

 リーナの攻撃を躱すためにレナ姉には実家に戻って貰わなければ。


「だからなのよ。結婚するまでにもっと友達と楽しみたいじゃない。あんなに堅物になった母上と暮らしたくないわよ」

 母さんがレナ姉にも敬遠されているとは、高級貴族になったことでテンパっているのだろうか?

「母さん、何であんなになっちゃったんだろうな?」


「こっちに来ると貴族の付き合いをしないと、だから普段から身構えてるんじゃない」

「やっぱり妬みとかあるのかな?」

「そりゃあるでしょ。典型的な成り上がりだからね」

 成程ね。親父はそんなの気にしないだろうし、母さんが一身で支えてるつもりなんだろうね。


 しかし、王室は何を考えているのか、イエーガー家の人間をここまで重用するのはどういう事だろうか?

 ミソッカスと言われる俺にまで伯爵位を用意するなんて、今までの施政を考えれば正気の沙汰じゃない。

 一度アキラさんにでも相談してみるか。


 結局、買い物にレナ姉とリーナを連れて行くことでリーナのご機嫌を取った。

 コトネとアンナの服と靴を買った。当然、中古だ。喜んでもらえて嬉しい。

 リーナの服を買わされた。当然、新品で貴族用だ。数か月分の生活費が飛んで行った。


「あんたどうやって稼いでるの?実家からは何も貰ってないでしょう」

 レナ姉に呆れられた。まあ、妹の御機嫌が良くなったので今回は良しとしよう。


 次の日は行けなかった市場に行って食料を買い出しした。


 その次の日は試験休みの終わりの日だ。アキラさんの所に行ってヤヌウニさんとゴロの様子を見なくては。

 ノルンとおんぼろ馬車で出かける。

 毎日のお出かけにアンナは絶好調だ。


 玄関で呼ぶとシャラが出迎えてくれた。

「よく来たっす。入るっす」


 俺達が入るとホールの奥の扉から二十歳前後の青年が出て来た。

 東洋人でアキラさんの面影がある。

 もしかしてアキラさん!若返りの薬が出来たのか!


「やあ、よく来たね」

「アキラさん!薬が出来て若返ったんですね!おめでとうございます」

 俺達はアキラさんの成功に喜びを表した。そして応接室に招き入れられた。


「えーと、それがねえ。違うんだよ」

 アキラさんが言いにくそうに言う。


「薬は出来なかったんですか?でも若返ってるし?」

「薬は失敗しました!」

 でも若返ってるし、どういうこと。


「薬はね、効果はあるんだけど限定的でね。老化を防止する力しかなかった」

「でも、若返っています」


「それは、私がやった」

 俺が不思議がっているとヤヌウニさんとゴロが現れた。


 ゴロはコトネとアンナと遊び始めた。

 ヤヌウニさんは俺の横に座った。


「アキラ殿が嘆いていたから、何かなと思って聞いたら若返りに失敗したと言うので、私が魔法で若返らせた」

 ヤヌウニさんは再生の魔法で若返らしたらしい。


「まあ、そう言うことだよ」

 アキラさんは少し落ち込んだように言う。

「じゃあ、残りの材料分のお金を返しましょうか?」


「いや、薬はシャラに使うから取っておいてくれ。どうもホムンクルスは老化が早いらしい」

「そうなんですか」

 悩みの無さそうなシャラにも弱点があるみたいだ。


「何回かに分けて、何年も処方する必要がある。まあ、薬にすれば保存が効くから順次取りに行かせるよ」

「分かりました。ところで少し相談があるのですが、よろしいでしょうか?」


「何だい、君も引っ越してくるかい。従者の方にお世話になったから無料で良いよ」

「はい、もしかしたら来年度はお願いすると思います。でも今回はそうじゃなくて、王様がイエーガー家を重用し始めたことの理由や影響を分かる範囲で良いので教えてください」


「難しい事を聞いてくるね。俺も日本で三十余年、こちらで四十年は生きて来たから推測は出来る。でも正しいとは限らないよ」

 アキラさんは難しい顔をする。しかしそれは俺の思いに答えようとしてくれている。


「王様は君のお父さんに全幅の信頼を置いている。だからそばに置いて自身を守る、それが一番だと思う。

 もう一つは国の内外にヴァイヤール王国は最終兵器を持っていることを誇示する。そりゃ二人の爆轟の魔女とレベル7、それを超えるレベル6、4人の最終兵器が居るんだ。反逆者も他の国もちょっと手が出せないだろう。

 そして結婚により、イエーガー家の血を王家に取り込んで、次世代をも盤石にする。だから君でも伯爵になれるんだ」


「じゃあ、俺が王女と結婚して伯爵にしてやると言われているのは父の御機嫌取りじゃなく、イエーガーの血が欲しいからなんですか?」

「まあ、どちらもだろうね。今の段階で君に兵器としての価値は見出せてないだろう」

 アキラさんは淡々と話しているが、俺には新たに知る部分と共感できる部分がある。


「次は外だ。周辺諸国はヴァイヤール王国の動向に嫌でも目を光らせないといけない。

 特に4人の動きは常に見張られると思われる。4人の内一人でも国境に近付こうものなら周辺国は慌てて大軍で対処せねばならない。まあ、帝国が出て来れば話は別だけどね」

 帝国とはいくつかの国を隔てて北西に位置する軍事大国でリヒトガルド帝国と言う。噂ではレベル7がいるらしい。


 俺は今の所、兵器として見られてない。しかし、三年後父さんに勝てばそれは変わる。俺も兵器として認識されるのだ。恐らく国を出ることは許されないだろう。


 俺が父親との勝負で、勝てば国を出られると約束していることをアキラさんに伝えた。

「俺が勝とうが負けようが、この国からは出られなくなると言う事になりませんか?」

「そうだね。その可能性が高い」


 つまり、俺は父さんと勝負する前に、価値を見出される前に国を出るべきではないだろうか。

 父さんに勝てばそれはそれで有名になってしまって、自由に活動できないだろうな。

 さてどうする。

次回、レオン達の進級テストが・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ