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2-7 三男坊 追いつめられる

エリーゼとエイトが居る時にミラが訪ねてきます。レオンどうする。

 俺達はミラの姉を倒し、王都が十万の魔獣に襲われる危機を回避した。

 そしてドラゴンに憑依した精霊を連れ帰ったのである。


 俺達はミラのワームホールでダンジョンから俺の部屋に戻った。

「私は父にヘラの体を返しに行くよ。ご苦労だったな」

 ミラは新たなワームホールを作って帰って行った。


「お前はどうするんだ」

 俺は小さなドラゴンに憑依した精霊に声を掛けた。

「私は、面白そうだから君達と居たい」

「ドラゴンが喋った!!」

 コトネが驚いた。

「声帯が小さくなったから声が出しやすくなった」


「そう言えばロキもアンナの口を借りて、喋ったことがあった」

 俺がそう言うとコトネも納得したのか、頷いている。

「ロキとは狐人に憑依している精霊の事か」

「そうだ。いろいろあってアンナに憑依することになった」

「そのロキと少し話をしてもかまわんか?」

 嫌な予感がするが、断る理由もない。


 二人の専用テレパシーで話しているのかこちらに内容は漏れて来ない。

 俺達は今回の戦いで得られた戦利品を整理していた。

 ドラゴンの魔石なんて交換所に持って行ったら大騒動だよな。

 取敢えず見張りで徘徊してたゴブリンの分だけ持って行こう。


 そうこうしているうちに精霊同志の話し合いが終わったみたいだ。

「主殿、私もあなたの従者として召し抱えてくれぬか?」

 やっぱりそうなったか。こいつら基本暇だから刺激を欲しがるんだよな。

「お前が俺に与えられるものはあるのか」

 俺にも利益が無ければ御免だからな。


 小さなドラゴンは胸を叩いた。

「よくぞ聞いてくれた。私が預けた魔素を返して貰えば元のドラゴンに戻れる。そうなれば戦闘力もだが、3人くらい乗せて飛んで移動できる。特に移動は一日千km以上だ」

 一日千kmは魅力だな。しかし・・・。


「お前は目立ち過ぎる。小さくてもドラゴンなんて人に見つかったら大騒ぎだ」

「では猫でもいいぞ。魔素で出来た体だからなんにでも変身できる。妙齢の女性でもいいぞ」

 女性なんてエリーゼに見つかったら殺されるわ。ああ、恐ろしや。


「寮はペット禁止だからな。猫はまずいな。近くに居てもおかしくないものか?」

「鳥はどうでしょう。鳩なら人家に居ても不思議はないかと」

 コトネが提案してくれた。

「良いぞコトネ、その案いただきだ」


 小さなドラゴンは鳩に変身した。

「主殿、名前を付けて欲しい」

「うーん、ノルンはどうだ。運命の神の名だ」

「ノルン、運命の神か、いい名だ。ありがとう、気に入った」



 俺達がノルンと騒いでいた頃、ミラは魔王城の謁見の間にいた。

 ミラは王の前に跪いており、その前に王が座っていた。

「ミラよ。よくやった。そして、済まぬ。わしは何と無慈悲な命令を汝に与えたのであろうか」

 ミラの両眼から溢れた涙は床を濡らしていた。


「王よ。この上は、人間界に派遣する女の審査を厳重にして頂きますようにお願いいたします」

「分かった。ヘラの亡骸はどうした」


「収納庫に保管しております」

「ここに置いて行ってくれるか」


「はい」

 黒い布で包んだヘラの亡骸を自分の前に置き、謁見の間を後にした。


 少し離れた所で王の嗚咽を聞いた。

 王の子は私達姉妹しかいない。いや、私しかいないのだ。



 あの事件から1カ月が過ぎた。あの事件は秘密になっているので俺達の活躍は全く知られていない。

 まあ、あの時の俺の戦闘力はミラによって随分水増しされているので、知られない方が良いだろう。


 俺達の生活はノルンが加わったことにより随分便利になった。

 前は何処に行くにも獣人差別があるので、俺達全員で行っていたが、ノルンがおじさんに変身してコトネに付き添うことで、買い物もお使いも二人で行って貰えるようになった。

 つまり休日の俺の自由時間が大幅に増えたのだ。


 学園の方は中間テストが終わって一週間の試験休みに入るところだ。

 例によって、エイトとエリーゼが俺の部屋に居る。

「休みはどうするの?」

「その前に成績はどうだったんだよ」


「僕は大丈夫だよ」

「私も多分、大丈夫」


「それにしてもさ、休みが一週間って中途半端なんだよな。帰省するにも片道二日かかるしなあ」

「私もおばあさまに呼ばれてるけど、エイトとこより時間が掛かるのよねえ」

 そう言いながら二人して俺を睨んで来る。


 二人は俺が幌馬車を手に入れて、近衛に預けていることを知っている。

 そして暗に俺にどこかに連れて行けと言っているのだ。

 俺としてはノルンでの移動を確認したいので、お断りしたい。

 なんか俺って、ロキやらミラやらノルンやら秘密が増えて、エリーゼ達の期待に答えられなくなって来ているなあ。


「あんた!今回は魔獣退治とか行かないの?」

「うん、寮費もタダになったし、これまで結構稼げたし、何より有名になって来て、交換所に行きにくいんですよね」

 そういや収納庫も秘密なんだよね。薬草採取も言えないのか・・・。


「何か隠してるわね」

「うん、僕もそう思う」


「交換所に行きにくいほど魔獣退治をしてないでしょ?」

「そうだよね。そんなに行ってないよね」

 エリーゼとエイトが交互に責めてくる。


「親友同士でも言えない秘密ってあるだろ」

 俺は開き直ることにした。言ってしまえば楽なのだが、平穏な暮らしが出来なくなる。


「あ、秘密があるって言った」

「開き直るつもりだ。許さないよ」

 二人は攻勢を強める。


 その時だった。

「ねえ、明日から休みだよね」

 従者部屋からミラの声がする。


 コトネが慌てて従者部屋に入って行く。

「ミラさん、今、駄目です」

 小声で言っているが丸聞えである。


 腰に縋りついたコトネを引きずりながらミラが現れる。

「あれ、お友達。こんにちわ、ミラだよ」

「誰よ、あんた!?どこから出て来たのよ!?」

 ああー、今までの苦労が台無しだあ。


「レオン!この人誰、どうして何にもないとこから出てくるの!?」

 エリーゼもエイトもパニックになってる。

「静かにしてくれ。説明する」


 コトネはもうどうしようもないとミラから離れて、ぱたぱたと埃を払っている。

 ミラもテーブルの空いた席に座った。


「この人はミラさん。魔人です。あちこちに行き来できるワームホールを作れます」

「「ええー!!」」


「アンナを助けて、イエーガー領まで運んだ人です。最近彼女の依頼を受けて解決しました。その過程でこの部屋に彼女が出入りできるゲートが設置されました。尚、依頼内容は魔人国のトップシークレットで言えません。この人の事がバレると大変なので秘密にして下さい」


「で、その人が何をしに来たのかしら?」

「レオンが長い休みって聞いたからデートのお誘いですけど」

「で、デートですってえ」

 エリーゼがプルプル震えながら立ち上がった。

「ウ、ウ、ウアアアア」

 そのままテーブルに突っ伏して泣き始めた。


「ミラ、ふざけるのはやめたげて」

 俺が言うとミラは舌を出して言った。


「本当は父上からの褒賞を受け取りに来て欲しいって伝えに来たの」

「ええ、魔王の招待なの」


 俺は驚く、だって事件からもう一か月経ってるんだよ。

「あんたが休み取れないって言うから仕方ないじゃない」


「ちょっと待って、その子って魔王の娘って事」

 エリーゼが復活した。泣いてても誰も構ってくれないからね。

「そうなりますね」


「なんで私に敬語なのにその子にはタメ口なのよ」

「だって、俺の家族が魔王に仕えてるわけじゃないので、怒られても何も影響が無いでしょ」


「で、魔人国に来てくれるのか?」

「いや行かない、だって異世界だよ、魔人国って」

 それから異世界についてエリーゼとエイトに説明したが、理解できたかどうか。


「じゃあさ、ミラさんに送って貰えば、すぐにどこへでも行けるんだ」

「それがさ、場所が解ってないといけないんだよね。ダンジョンだとこちらと時空間が重なってるから行けるんだけど」

「はは、何を言っているのか理解できないよ」

「それは君達がまだ知らないことわりだからだよ」


「それはそうとして、あなたの依頼は終わったんでしょう。もうこちらへは来ないのよね」

 エリーゼは念を押したいみたいだ。

「それは違う。私はレオンの子種が欲しい。それは魔人国の悲願でもある。だから私の体が成熟したら子種を貰いに来る。まあ、それまでも忘れられないように会いに来るつもりでもある」


 エリーゼはまた怒り出す。

「それは結婚するという意味?」

「残念ながら私はレオンと結婚できない。お互いの環境が違い過ぎて、共に暮らすことは出来ない。レオンにはこの世界で羽ばたいて欲しい。

 私がレオンと共に暮らすには私の背負っているものが大きすぎると言うこともある」


 俺は魔人国が血が濃くなりすぎて、子供ができにくくなっていることを知っているから理解できるが、知らない者には理解しにくいだろう。

「レオンが私と結婚しても問題ないの?」

 エリーゼは胸を叩く。

「問題ない。私は子種を貰いに来るだけだ」

「それはおかしいわ。男女は愛し合って、ともに暮らすべきよ」


 ミラは大きくため息を吐く。

「お前達は金字教に毒されている。女はより優秀な男を見つければ、その男の子を産みたくなる。それが本能だ。まあ、レオン以上の男は現れんだろうから10人くらいは産むつもりだがな。ははは」

 あっけらかんと浮気宣言をするミラにエリーゼは悪意を感じていない様だ。


「わ、私だって、レオンを独り占めするつもりはないわよ。コトネちゃんが結婚したいって言うなら認めるつもりだし」

 エリーゼは顔を真っ赤にしながら言う。

 飛び火したコトネはこれも顔を真っ赤にして言う。

「私はレオン様と一緒に居られたらそれで満足です」


「駄目だよ、コトネちゃん。女は好きな男の子供を産むのが仕事だから。それは遠慮しちゃ駄目だ」

 ミラがコトネに言うとコトネが答える。

「はい」


「もう勘弁してくれ。俺には野望がある。それまでは女の事は考えられん」

 流石に我慢の限界だ。恥ずかしくていたたまれない。

「ほう、聞かせて貰おうかその野望とやらを」

 ミラが俺を煽ってくる。


「今までとそんなに変わっていないぞ。この国一番の強者を倒して、俺は世界を回って見たい。その過程で俺のやるべきことが見つかるはずだ。それまでに必要な学歴と戦闘力の向上をしていく」

「お前ならやるだろう。一人目は三年後として、それ以降は場所が解らんのか何とかせねば」

 とミラが言うとエリーゼも言う。

「私も足手まといにならないくらいは戦闘力を上げなくちゃ」


 今まで大人しくコトネの横に座っていたアンナが言った。

「私、レオン様のお嫁さんになる」

 ええ、お前もか?

次回、懐かしい少女から助けを求められます。

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