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2-6 三男坊 敵の拠点で戦う

敵のダンジョンに潜入します。

 レオンは外気功の奥義を、コトネは神獣人への進化を、アンナはロキと精霊魔法の獲得をそれぞれ訓練した。

 すでに敵は出撃の準備を整えつつあり、もう訓練の時間は取れなくなった。


 次の休日、ミラが俺達の部屋に来て言った。

「あなた達の生活を守りながら、戦える日は今日しかない。敵はあと2,3日で出撃すると思われる」

「俺達は何処に行けばいい?」


「敵は10階層のダンジョンに兵力をあつめている。

 敵のテイマーはその最下層に居る。もちろん、一階層から順に攻めて行く体力も時間もない。敵は十万の魔獣だから。

 私が最下層に出るワームホールを作る。ただし、テイマーは最下層のどこかには居ると思うけど、解らない」


「俺達は君が作るワームホールを通って、後は出たとこ勝負って事か」

「多分、最下層にはドラゴン十頭が居る。消耗しないように休眠させているはずだから、テイマーの近くに出られれば早いよ」


「テイマーはどうするんだ。君の姉さんだろ」

「手早く殺して!それしか解決方法が無いのだ。連絡用のワームホールが常設してある可能性もある」


 俺はそれまで冷静に聞いていたが、流石に彼女の肉親の話だ。少し顔に出たようだ。

「手加減は無用だ!魔人国にも、ヴァイヤール国のためでもある」


 俺達は目隠しをして、ミラの用意したワームホールの前に立った。

「いい!?ブーストは20分しか効かない。その間にテイマーを倒して」

「解った」

 俺とコトネ、アンナが頷く。

「行くよ!!」

 俺達はワームホールに飛び込んだ。


 生臭いダンジョンの空気を感じた。

 目隠しを取ると暗いダンジョンの広間だ。暗闇を予想していたので目隠しで目を慣らしておいたのだ。

 近くに真っ黒い山のような塊がいくつかある。

「触らないで、ドラゴンだ。休眠中だ。起こすな」

 ミラが小声で言う。


 ドラゴンを避けて、見回すと奥の方にかすかに明かりが見える。50m位か、暗いので良く分からない。

「明かりに近付いてみましょう」

 コトネを先頭に武器を抜いて、壁に沿って歩いて行く。

「下がかなり、凸凹です。気を付けてください」


 半分くらい行った所で、目の前のドラゴンの影からゴブリンが飛び出した。

 コトネが抜き打ちに斬るが悲鳴を上げられた。


「誰か、いるのか!?」

 明かりの方から声が聞こえる。


 幾つかのライトの魔法の球が頭上に輝きだす。

 周囲から足音が聞こえる。ゴブリンのような魔獣がまだいるらしい。


「行くぞ!!」

 俺が走り出そうとした瞬間、前のドラゴンが目を覚ます。

 俺の目の前にドラゴンの手が俺を掴むように伸びてくる。


「一式戦闘法!!”隼”!!」

 俺の体に慣性を無視した加速が発生し、その場から消えたように見えた。


 ドラゴンの正面に現れた俺は叫んだ。

「二式戦闘法!!”屠龍”」

 刀に気の刃が重なり伸びる。そのまま袈裟懸けに斬るとドラゴンは二つに分かれて霧散する。


 コトネはドラゴンが俺を狙って動いたので、ドラゴンの後ろに回って駆け出した。

 すぐに二匹目のドラゴンがコトネの前を塞ぐ。


 コトネは駆け出した勢いを殺すことなく、ドラゴンの胸の辺りまでジャンプ。

 ドラゴンは右腕を振ってコトネを潰そうとする。

「タイガークロウ!!」


 コトネの両手に沿って1mを超える三本づつの虎の爪が現れ、左手の爪を振るうとドラゴンの右腕は輪切りになり霧散する。その間に右手の爪はドラゴンの胸の奥まで突き入れられて、ドラゴン自体も霧散する、


 ミラとアンナの後ろからもドラゴンが走り寄ってきた。

「シルフィー・レビテーション!!」

 アンナとミラと一緒に風の力で飛んで逃げる。

「サラマンダー・ビーム」

 アンナの指先から伸びたオレンジ色の光線がドラゴンを斬る。ドラゴンは焼き切られて、霧散する。


「アンナちゃん!!このまま先回りしてテイマーの所へ行って」

 ミラの指示でアンナとミラは、俺とコトネの上を飛び越して直接テイマーを目指す。


 それを見た俺は、コトネと合流してもう一匹のドラゴンを倒して、ミラ達を追わせないようにドラゴンを止めることにした。


 テイマーは黒い布を纏った少女だった。やはりミラの姉のヘラだった。

 ヘラの前に降り立ったミラはヘラに向けて叫んだ。

「姉さんもうやめて!!何十万人の人間を殺そうなんて正気の沙汰じゃない!!」

「ふん、放って置いてちょうだい。魔人には関係ないでしょう」


「そうはいかない。私のつがいも王都に居るのよ」

「それは災難だったわね。新しいのを探しなさい」


「あんたが新しいのを探せばすべて丸く収まるの、分かんないの?」

「私はあんたとは違う。真実の愛を手に入れたのよ。邪魔しないで」

 ヘラは上気した顔を上に向けて何かぼそぼそと口走っている。

 誰だ、こんな箱入り娘を人間の相手に選んだ奴は・・・長老たちか。


「仕方ないわね。死んでもらうわ。アンナ!!」

「サラマンダー・ビーム!!」

 アンナの指先から光線が迸る。


「スキンアーマー!!」

 ヘラは羽織っていた布を翻す、マイクロビキニの姿になった。腹に当たった光線は弾かれてしまう。


「あんた達の力じゃ私のスキンアーマーは抜けないでしょう。じゃあね」

 巨乳と大きなお尻を振って、ヘラは後ろのワームホールに飛び込もうとする。


「ノーム・ウォール!!」

 アンナが叫ぶ。ヘラは突如出来た石の壁にぶつかって、反動で倒れる。


「何すんのよ。スキンアーマーが無かったら、私の綺麗な肌に傷がついたかも知れないじゃない」

 何時までも能天気なことを言っているヘラにミラはイライラが募っているようだ。


「あんたみたいな奴、早く死んでくれないと安心して眠れないのよね」

 駆けつけてきたドラゴンを倒し切った俺とコトネが、合流してミラが一気に強気になる。


「何、折角集めたドラゴンを殺しちゃったの?もう、あれを集めるのに苦労したのに。あれ、そっちの獣人、魔獣属性持ってない?」

 ヘラはそう言って笑うと魔法陣を描き始めた。


「ヤバイ、コトネちゃんをティムするつもりよ!」

 ミラがそう言うがコトネはどうしていいか分からない。

 しかしヘラが魔力を魔法陣に注ごうとした時、それはスッと消えてしまった。

 俺が収納庫に魔法陣を取り込んだのだ。


「え、どういうこと。魔法陣が消えちゃったんだけど」

 ヘラが変な声を出してキョロキョロしてる。


「ミラ、済まないがタイムリミットが近付いている。俺がやるぞ」

「うん、お願い」

「二式複戦闘法・・”屠龍”!」

 伸ばした気の二枚の刃を左胸の小さな布切れに差し入れる。

 スキンアーマーの恩賜を半分も受けない小さな布切れは、ピンクの突起を残して、二つに分かれて舞い落ちる。


 自分の乳房に刺さった刀身を見たヘラはミラに叫んだ。

「何これ!!、私、死ぬの、・・嫌なんだけど。ねえ・・ミラ治してよ!!・・」

 刃を抜くと心臓近くの動脈を貫いたのか前後に血が迸る。


 大量の血が流れ出たことにより、ヘラは意識を失い、うつぶせに倒れた。

 俺は首の動脈に触り、脈の無い事を確認した。ヘラは死んだ。


「お姉ちゃんの馬鹿・・・。男に騙されるなんて最低よ」

 ミラはヘラの死体を自分の収納庫に入れる。


「おかしいな。ヘラがダンジョンマスターじゃなかったのか?」

 ダンジョンが消えない。

「そりゃ、自分をダンジョンマスターにしたら、ダンジョンから離れられなくなっちゃうからね」

 ミラが言う。


「レオン様、あれ」

 広間の隅の方に一匹のドラゴンがこちらを見ている。

「あれがダンジョンマスターよ」


「あれ、ブーストが切れた。流石にこの状態だとドラゴンの相手はきついな」

 ブーストが無ければ外気功も神獣化も精霊魔法も使えない。


「そうだ!」

 俺はヘラから奪った魔法陣を出して、それを辿ってもう一つ寸分たがわぬ魔法陣を複写する。


「あんた、もしかしてあのドラゴンをティムする気?」

「ああ、このまま十万もの魔獣が居るダンジョンを放って置けないだろ。マスターがいなくなれば魔獣は魔素に戻るし、今の状態でドラゴンと戦うより余程安全だ」


 俺は一人でドラゴンに近づいて行く。やはり攻撃的ではない。ヘラがティム出来たのだからあまり攻撃的じゃないのだろうと思っていたよ。

「おとなしくしててくれよ」

 俺がそうつぶやいた時、頭の中に声が聞えた。


『私をティムするつもりか?無駄だからやめておけ』

「え、お前が喋ったのか?」

 俺は驚いて聞き返す。


『そうだ私がお前に話してる。お前は私と同族を眷属にしているから、まともな話が出来ると思った』

 ドラゴンは全くの無表情だから、表情からは何も分からない。


「もしかしてお前も精霊なのか?」

 俺の周りに俺の頭に直接話しかけてくる奴はロキしかいない。

『そうだ、私はドラゴンに憑依したのだが、寝ているうちにここに連れて来られて、ダンジョンマスターにされた』


「お前はどうしたいんだ。俺達はこのダンジョンをつぶしたい」

『ふむ、それは構わない。ただ、私はこの体を離れるとそう長くは持たない。死にたくないから何とかしてくれ』


 俺の様子がおかしいので皆集まって来た。

「どうしたのだ。あまり時間を掛けるとダンジョンが溢れるぞ」

 ミラが言う。ダンジョンは放って置くと魔獣が外に出だす。それまでにダンジョンを閉鎖しないといけない。ましてやここは十万もの魔獣が居るダンジョンだ、溢れたら国が亡ぶ。


「ここは何処なんだ?」

 俺はダンジョンの場所を聞いた。

「王都の西、ミュラー伯爵の領土だと思う」

 王都に近いな。何とかしないと。俺はこのドラゴンの話をした。


『そう言うことか。なら話は簡単じゃ。このドラゴンを外に連れ出せば良いのじゃ』

 ロキが言う。

「馬鹿言うな。外に出るまで、魔獣でいっぱいの九階層を登らないといけないんだぞ」


『ちがう、体を小さくしてミラのワームホールで出るのじゃ』

「体を小さく出来るか」

 俺はロキの提案を聞いてみる。


『うむ、出来るぞ。どれくらい小さくなればいい?』

『ちょっと待て、ご主人。小さくなる時に魔素が大量に余るからそれを溜めておいてくれ』

 俺は収納から空の樽を出して言う。


「良し、いいぞ、小さくなってくれ」

 ドラゴンは魔素を排出しながら小さくなっていく。俺はその魔素を樽に圧縮して放り込む。

 ドラゴンは猫ぐらいの大きさまで小さくなった。


「ミラ、ワームホールを開いて」

「よし、開いたぞ」


「皆、中に入って」

 皆がワームホールに入ったのを確認して言った。

「ダンジョンマスターをキャンセルして。譲渡しちゃ駄目だよ」

 新しい精霊にミラが言う。ドラゴンが頷く。


 ゲートの向こうが土の壁になる。

「よし、終わった」

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