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2-2 三男坊 教会に行く

同級生の女の子が教会の関係者で教会に行くことに・・。


2024/4/21 誤字修正

 二年生になった俺は魔法式の研究を始めるもうまく行かず、膨大な時間が必要だと気付いた。そのため魔法式の研究は余裕が出来るであろう高等部になってからと決めたのだった。


 俺は魔法式の研究を後回しにしたので、図書室通いもやめて通常モードへと戻った。

 そんなある日の事だった。

「もし、レオンハルト様、お話を伺わせていただいても宜しいですか」

 幼さが残る顔をした少女が声を掛けて来た。後ろに二人、男子生徒が護衛の様に立っている。

 昼食が済んでエリーゼ、エイトとお喋りをしていたので、すごく唐突に感じた。


「済みません、そちらの名前を伺ってもよろしいか?」

 第六王女かとも思ったがそれにしては丁寧過ぎるとも思った。

「これはご無礼しました。私は二組のジュリア=クラウスと申します」

 エリーゼとエイトの顔を見る。二人は首を横に振る。


「私に答えられることならば聞いて下さい」

「あなたは獣人を家族の様に扱っていると聞きました。どうしてですか」

 俺はこれはこんな場所でする話ではないと思った。獣人差別をする者は何処にでもいる。

「それはこのような衆人が居る中では答えられません」


 いろいろな考えを持つ奴がいるのにこんな人ごみで話せるもんじゃない。

 少女は困った顔をして後ろの二人を見た。二人は少女に比べれば大人の対応が出来るように見える。

 そしてそのうちの一人が耳打ちする。少女は二、三度頷き、俺の方を向いた。

「申し訳ありません。それに着いて決して悪意を持つ者ではありません。いつどこでならよろしいですか?」

「この人たち、多分教会よ」

 エリーゼが耳打ちしてくれる。教会かあ、あまり知らないんだよね。いい機会かも。

「私達は放課後、私の部屋で勉強します。宜しければそこでお話します。もちろん後ろのお二人もどうぞ」

 俺は教会への興味もあるが、この少女がなぜか無視できない存在感を感じさせることの真相が知りたかった。



 放課後、俺達は少女と二人を引き連れて、俺の部屋に入った。

「私の小間使いのコトネとアンナそして第七王女エリーゼ=ヴァイヤール様、その護衛のマシーダさん、友人のエイトリッヒ=シュナイダーです」

 俺はここにいる一人一人を紹介した。

「ありがとうございます。私はジュリア=クラウス、そしてニルドとキャミールです」


 俺はコトネとアンナを従者部屋に、エリーゼとエイト、マシーダさんに俺のベッドに座って貰う。

「済みません。テーブルが小さいので、お二人はそこの椅子にどうぞ」

「我々はジュリア様の後ろに立つので、ご配慮は無用にして下さい」

「そうですか、ご随意にして下さい」


「では、ご質問にお答えします。私には師が居ります。東洋の高貴な生まれと聞いています.その師が故郷に帰る前に私を信じてコトネを預けて行きました。アンナはウエルフェルト村の唯一の生き残りです。ゆえあって私に預けられました。私は彼女たちと過ごすうちに親愛の情が生まれ、彼女たちが幸せを掴めるようになるまで手元に置こうと決心しました。以上が理由です」


 ジュリアは難しい顔をして俺の話を聞いていた。

「私はケルンベルグ大神殿で神に仕えるべく修行をする者です。私は神に等しく作られたはずの人間と獣人がなぜ差別が起きるのか理解が出来ません。その理由が判るなら教えて頂けませんか?」


「私のような若輩者があなたにお教えするようなことはございません」

 幾つか耳にしたことはあるが、それを俺の意見として言うことは出来ないし、敵を作るから危険だ。

 せっかく貴族派の脅威が去ったのに危ない橋は渡れません。


 ジュリアは後ろの男の方を見た。意見を聞いているみたいだ。

 ニルドと呼ばれた男が聞いて来た。

「レオンハルト殿、わずかに思ったこともございませんか」

「私はイエーガー領を出るまで、ほんの数カ月前ですが、この国に獣人差別があるとは知らなかったのです」

 これは本当の事だ。うすうすは感じてはいたが。


「なんと、イエーガー領には獣人差別がないと仰るのですか?」

 ジュリアが驚いて俺の言葉を繰り返す。

「これには訳があります。獣人がコトネしかいなかったこと。コトネの主人である私の師が領の恩人ともいえる方で領民に尊敬されていたこと、アンナは少しの期間しか領にいなかったことが挙げられます」

「左様ですか」

 俺の回答には満足はしていない様だが、一応の納得はしてくれたようだ。


 今度はキャミールと言う男がにやけた顔で声を掛けて来た。

「なんだ、英雄とか聞いたのにやっぱりミソッカスか。もっと受け売りの理屈を並べるかとおもったのに」

「お前達がレオンの話を聞きたいって言ったんだろ。なぜそんなことを言う」

 後ろで聞いていたエイトが腹を立てて割り込んできた。


「キャミール、あなたが悪いわ謝って下さい」

「これは申し訳ない。傷つけてしまったかな」

 こいつはどうも俺を煽ってるようだ。ジュリアに従うように見せてはいるが。まあ、俺はうちの従士たちに散々煽られてきたから引っ掛からないがな。


「済みませんでした。御不快にさせたようです。帰ります」

 ジュリアは立って頭を下げた。

 おっと、ここで帰られてはここに連れて来たかいが無い。

「今度の休みにでも教会を案内していただけると嬉しいな」

 俺の言葉にジュリアはパーッと顔が明るくなった。

「ぜひ、門番には言っておきますので私を呼んで下さい」


 ジュリアたちは帰って行った。

 エリーゼが御立腹だ。

「どういう事、あんな女のどこが良いのよ」

 俺はやれやれと思いながら言った。

「俺は教会が何を考えているかが知りたいんだ。彼女の言葉通りならコトネ達を連れて行っても大丈夫なのか?」


「うーん、教会に獣人が出入りしてるなんて、聞いたことないけど」

「テレジアスの教会に何回か言ったことがあるけど獣人は見た事無いよ」

 二人の話から教会が特に獣人を優待している訳ではないと言う事だ。

 それならジュリアはなぜ俺に近付いた?

 まあ、教会を知るいい機会である。


 イエーガー領には教会なんてなかったし、あることは知っていても詳しく知るはずもない。

 そこで、俺はエリーゼに教会の事を聞いた。


 教会の正式名は聖金字教会と言い、約千年前に大陸の西の方で神の声を聴き、その代行者だと言う女が現れた。その女は病気やけがを治す魔法が使えたので、多くの人々が彼女の元に集まった。

 彼女の名はヤヌウニ=クラウス、金字ピラミッド型の建物を作り、人々を癒し、教え導いたので金字教と呼ばれる。

 長い年月のうちに多くの分派を作り、その中でも権力と結びついて勢力を伸ばしたものが聖金字教会だ。


 ヴァイヤール王国の西側には、聖金字教会を国教としている国が、いくつかあるので戦争理由にされないように国内での布教を認めている。

 教義は金持ちに都合が良く、改変されている。つまり、権力や金を持つ者が正義である。

 例えば、悪い事をすれば地獄へ落ちるが浄財を積めば天国へ行ける。

 貧しいものは先祖が悪行を積んだ。富める者は先祖が善行をした。

 先祖が悪行を積んだ物でも浄財を納めれば先祖の悪行は消される。

 権力者は神が富める者から選ぶ。など金が無ければ天国へも行けないし、富める者にも成れない。


 治療魔法の使える者は囲い込み、クラウスの姓を与えて、治療魔法が教会外に漏れることを防いでいるらしい。

 と言うことはジュリアは治療魔法を使えるのか。


 まあ、胸糞悪いので、コトネ達は連れて行かない方が良さそうだ。


 その夜、眠る前にアンナが俺に聞く。

「レオン様、教会に行くの?」

「ああ、行くよ。アンナは連れて行けないけどな」

「うん、アンナは行かないよ。だって怖いもん」

 何で怖いのか聞いたら、村に来た教会の人が死ぬと怖い所に行くと言っていたみたいだ。なんであんな辺鄙なところへ行ったんだろうか。


「レオン様はなぜ行くのですか?」

 今度はコトネだ。

「まあ、あれだ。好奇心だ。エイトたちにはそれなりなこと言ったけど、その実、あまり中身はない」

「物見遊山って感じですか?」

「お、難しい言葉を知ってるな。しかしかなり少ない可能性だが、卒業後聖職者になるかも知れない」

「冗談は良いです。おやすみなさい」「おやすみー」

 俺がからかい気味に言うとコトネはアンナを連れて、ツイッと寝に行ってしまった。


 休みの日、俺が朝食を終え、顔を洗っていると扉をノックする音がする。

 コトネが扉の前に行き、誰何する。

「僕だよ。エイトだよ。開けてよ」

 コトネがこちらを向いたので、頷いてOKを出す。


 エイトが疲れ気味な顔を出すと言った。

「朝から、エリーゼ様に叩き起こされて、レオンを迎えに行けって言うんだよ」

「どこかへ行くのか?」

「教会に行くんだろ?」

「俺に逃げられないようにこんなに早く来たのか」

 俺は呆れた。エイトは一階に部屋があって、外からでも起こせるから起こしたんだろうな。

 マシーダさんに頼んで俺の所まで来てもらえばいいのに。外聞があるから一人では入って来れないか。


 俺が着替えて、エイトと降りて行くとエリーゼと初見の護衛が居た。

「おはようございます。今日はマシーダさんは非番ですか?」

「そんなこと良いの!、さあ行くわよ」

 ということでエリーゼの用意した馬車で教会に行くことになった。歩くと30分は掛かるから助かる。


 馬車は寮の敷地には入れないから門で待っている。馬車に俺、エリーゼ、護衛が乗り込み、教会に向け走りだした。

「エリーゼ様は教会で何をされるのですか」

 エリーゼの機嫌が悪い。

「あんたを見張りに行くとは言わないわ。こないだ言った第六王女だけど嫁ぎ先が決まりそうなの」

「はい、それが?」

「国名はまだ言えないけど聖金字教が国教の国よ。当然結婚式は教会で行われるわ。私もあんたに振られたらそうなるかもね」

 睨まれた。怖い。


「はあ、そうなんですか」

「今の話は別として、今後国家間の婚姻が増えそうなの。皆親戚になって平和にしましょうねって感じ」

 成程ね、エルフやドワーフ、獣人の国は無理でも人間の国の連携は強くなるのか。人間以外の国が危なくなりそうだな。


 教会の役割が今まで以上に重要になるのか。もしかしたらこの国も聖金字教を国教に定める日が来るのかな。こんな世俗にまみれた宗教に帰依するのも嫌だなあと考えていたら四角錐の建物が見えてきた。

次回、新しい魔法と魔人がレオンを尋ねてきます。

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