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2-1 三男坊 二年生になる

二年生になったレオンは魔法の勉強を始めます。

 俺達は夏休みを使ってミューラー伯領に言って魔獣狩りを行った。その結果獣人差別の現実と魔法を手に入れたのだった。


 俺とエリーゼ、エイトは始業式が終わって、寮の俺の部屋に集まった。

「寮にいないと思ったらそんな所に行ってたのね」

 俺は魔法の話を隠して魔獣狩りの話をした。

「そう言えばミューラー伯爵が西部方面軍に魔獣退治を依頼したそうだよ。兄貴から聞いた」

 エイトが地元に居る時に聞いた話をしてくれた。


「傭兵まで雇ってたのにどうしたんだ」

「多分、貴族派での悪事の証拠処分が終わったから、他所の軍隊を呼べるようになったのよ」

 エリーゼは夏休みに俺と遊べなかったので不機嫌だ。


「エイトはどうだったんだ?」

「僕は・・・」

「話題を逸らさないで。お婆様にもあんたを誘うよう言われてたんだからね」

 話題を切られたエイトがあわわとなってる。

「知らなかったものは仕方ないでしょう」

 いい加減機嫌を直してほしい。


 俺の機嫌が悪くなったのを見てエリーゼが慌てる。

「エイトはどうだったの?」

 あ、誤魔化した。


 一通り夏休み中の報告が終わると今学期の予定を話し合う。

「一年の時と同じように深い関係の友人を作らないで下さい。高等部になるまでは気を抜けないんです」

 はっきり言えば俺は余裕があるが、この二人によそ見をしている暇はない。

「解ってるさ。僕は学年十番だった。ここにいるのは運が良かったのかもしれない」

 エイトが言う。


 十番以内でないと進級試験は受けられない。学校の勉強をやりつつ進級試験の範囲を勉強しないといけないのだ。今回なら二年の二学期の勉強を学校でやり、寮に集まって二年の三学期から三年の二学期の範囲の進級試験の勉強をするのだ。


「心配事があるの。二年には第六王女が居るのだけど貴族派の反乱で、許婚が粛清されちゃったから絡んで来るかも」

「まあ、警戒しつつ、我関せずでいきましょう」


 次の日、俺は二年から始まった魔法学の授業を受けていた。

 担当の教諭はまるで魔女を彷彿させる外観の初老のドリス先生だった。

「一学期の復習をしましょう。魔法の起動と発現について・・そうね、ミスターイエーガー、あなたは飛び級で二年になったのね。説明してくれるかしら」

 俺を指差して回答を求めた。


「まず、頭の中に魔法式を思い浮かべ、それを魔素で魔法陣として描きます。そして魔法が発動可能な魔力を注ぐことで魔法が発動します」

「はい良く出来ました。二学期は魔法式に着いて学んでいきます。それでは教科書28ページを開いて・・」

 俺は具体的な魔法式が知りたいと思ったが、その方法が解らない。先生に聞いてみるか。


 授業が終わって、職員室に戻ろうとする先生を引き留めた。

「ドリス先生、少しよろしいでしょうか」

 先生は興味深げに俺の顔を見る。

「何かしら、次の授業があるからそんなに時間はないわ」


「お手間は取らせません。いろいろな魔法の具体的な魔法式が掛かれた本とかは無いですか?」

「それなら図書室に何冊かあるはずよ。見に行ってみたら」

「ありがとうございます。助かりました」

「いいえ、頑張ってね」

 先生は急いで立ち去って行った。


 そうか図書室か、まだ言ったことが無かったな。学校の勉強は教科書だけで出来るからな。

 昼食を手早く済ませて、図書室に行く。当然のようにエリーゼとエイトが付いてくる。

「どうしたんだよ。図書室なんて?」

「そうよ。そう言えば司書が美人だって噂だわ」

 しまったな、想像以上に騒がしい、無理にでも置いてくるんだった。


 図書室はがらんとして、人は受付のようなところに座る女性だけだった。

 この人が司書か。確かに美人だけど・・。三十台後半?。

「何かお探し?」

 俺に話しかけてきた。

「ドリス先生から聞いたのですけど、ここに具体的な魔法式が掛かれた本があると・・」

「魔法式や魔法陣なら、右奥の2段目か3段目を見てみて」


 それらしき本を三冊選んで、閲覧用のテーブルに持ってくる。

「休憩時間も勉強するの?私はこっちの恋愛小説でも読もうっと」

「僕は英雄の自伝を読みたかったんだ」


 エリーゼとエイトが本に夢中になってる間に魔法式を書き写そう。

 書き写した魔法がすべて使えれば、大昔に居たどんな魔法も使えたという大賢者と、肩を並べることになっちゃうのかな。

 今日はまだ体慣らしで半日しか授業が無いので図書室が閉まる時間も早い。

 かなり正確に魔法式を写し取ったので時間内では5個だけだった。


 本を戻して司書のお姉さんに聞いてみた。

「本の貸し出しなんて出来るんですか?」

「はい、三日間までならできますよ。休日を挟むとその休日はカウントされません」

 よし、休日は勉強は休みだから休日に全部写し取ってやる。


 寮に帰って二人と勉強した。

 今日は早く魔法式を確かめたくてうずうずしてた。


 夜子供達を寝かせてからノートを開いて、写し取った魔法式で魔法陣を描く。

 しかし、書いた先から消えてしまう。

 夜中までやったが一つとして最後まで書けたものはなかった。

 どうも魔法式に欠陥があるらしい。


 次の日も授業が午前中なので、また図書室に行く。

「ようし、続きを読むわ。今日は勉強会が中止だし、明日はお休みだから何冊か借りて行こうかしら」

 そうなのだ。俺は勉強会を中止にして魔法式の研究をしたいのだ。

「僕も借りて行こうかな」

 エリーゼ、エイトはお気楽である。俺はうまく行かなかったので、やや落ち込んでいる。

 俺も昨日の本を持ってきて、魔法式の文を読んでみた。


 なになに・・・

「魔法式は正確に書けないと魔法陣として成立しない。そのためここに書かれた魔法式を魔法陣にしようとしても出来ずに消えてしまうであろう。現在の所、個人が魔法を覚えた時、頭に浮かぶ魔法式以外は魔法陣として成功していない」・・・


 駄目じゃん。誰かが魔法陣を作った時に取るしか方法ないじゃん。

 よく考えればここに書かれた魔法式で、魔法が使えるならハルトマン伍長やエリーゼも魔法を使ってるよな。


 ちょっと待てよ。新しい魔法は無理としても魔法陣の改造とかなら出来るんじゃないか。

 おお、ここに魔法陣の図形の解析結果が出ている。注意点は?

「魔法陣の改造は、今まで成功したことが無い。魔法陣を改造しても発動しなかったり、魔法陣が消えてしまったりする。さらには元の魔法陣が変形し、魔法が使えなくなることも多いので、改造には取り組まない方が良いだろう」・・・

 俺なら元の形は収納庫にあるので、これを失うことが無い、改造をしてみるべきだろう。


 俺は3冊の魔法式の本を持って司書の所に行く。

「これを貸し出してほしいんですけど」

「はい、生徒証を出して。レオンハルト=イエーガーさんね。生徒番号が・・。休み明けに返してね。返却時に汚れや破損があると弁償って事もあります。返却が遅れると成績が悪くなることもあるので注意してちょうだい」

 エリゼも2冊、やはり恋愛小説を借りていた。エイトは貸し出しはやめたみたいだ。


 俺達は寮へ、エリーゼは城へ帰るので、学校を出た所で分かれた。

「レオンさあ、あまりエリーゼ様を怒らせるなよ。とばっちりが来るから」

「勝手に怒ってるんだろう。俺に言うなよ」

「お前が結婚を断ったからだろうが」

「俺は自分で成り上がりたいんだ。両親や兄姉のお陰で貴族になるなんて真っ平だ」


 エイトは信じられないと言った顔だ。

「そんなのおかしいよ。皆、貴族になるために四苦八苦してるんじゃないか。僕だったら二つ返事だね」

「俺は小さい頃からミソッカスだって、みんなに貶められてきた。俺にも意地があるところを見せたい」

 そうなのか、俺が今まで意地を張っていたのは、幼いころからミソッカス扱いされて来た反感からなのか。

 エイトに反論したことで俺の心の底にあるものが出て来たみたいだ。


「ハハハハ」

「どうしたんだよ。いきなり」

 突如笑い出した俺にエイトが驚く。

 今まで賢しらぶってたけど、俺の根本は子供だったんだな。

「ありがとう、エイトのお陰で気付くことが出来た」

 辺境伯の言っていた違う考えの者を近くに置くことの重要さを知った。

「何が何だか、分からないんだけど」

 エイトは首を捻って寮の一階の自分の部屋に向かった。俺は階段を登って自分の部屋に向かう。


 次の日、数十の改造した魔法式を作って、王都を出て実験する予定だ。

 流石に暴走するかも知れない魔法を王都内でぶっ放すわけにはいかない。

 馬を借りるため、昨日コトネに近衛の駐屯地にお使いを頼んだ。

 流石にあの辺は治安が良いので、絡んで来る奴もいなかった。


 近衛で馬を二頭借り、門の方に出かける。

 いつものように交換所に寄って薬草を交換する。

 いつものおばちゃんが居たので聞いてみる。

「あいつは居ないだろうな」

「あれから来てないから、諦めたんじゃないかな」


 俺達は門を出て、人気のない河原に来ていた。

 当然のように二人も着いて来ていた。

 昨日、魔法の研究の話をして、危ないから留守番しているように言ったが聞かなかった。

 まあ、そうだろうなと思っていたから着いてくることを許した。


 火炎放射フレイムスローは、油のような燃える液体を出す、着火する、この二つの魔法の組み合わせだ。もちろん出す量や勢い、着火のタイミングなど細かい設定も必要だ。

 最初は射程を伸ばすために油の噴出速度を早くしてみた。


「フレイムファーストスロー!!」

 勢いよく噴出された油は空気抵抗に負けて霧状に、それに着火したもんだから爆発的に燃焼した。

 ボンと大きな音がして、火球に包まれる。

「「レオン様ー!!」」

 離れた所から見ていた二人の悲鳴のような呼びかけが聞える。


 俺はとっさに濡らしたシーツを被ったので怪我一つしていない。

 駆け寄ってきたコトネとアンナが半泣きで俺に抱き着く。

「大丈夫だ。ちゃんと対策はしている」


 結局数十個の魔法式はすべて使えなかった。大幅に変更して、バランスを取らないとまともに発動しないことが解った。

 とてもじゃないが中等部に居る間は、長い時間を要する研究は無理そうだ。恐らく長い時間研究されてきた魔法式を改善することは、おいそれとは出来ない。

 一応今日の結果はノートに書いたので、しばらく研究は中止することにする。

次回レオンを尋ねて来た少女の目的は?

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