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1-11 三男坊 傭兵に会う

レオン達が魔獣狩りに向かうと先に魔獣と戦っているグループと出会いました。

村に来たレオン達と彼らに騒動だ持ち上がります。

 訓練と実益を兼ねた魔獣狩りに出かけた俺達だが、魔獣被害のあった村の近くで魔獣の群れを発見する。


 森の中を馬車で魔獣に向かって近付く。

「ここから200m位、約20匹、人の魔力もある」

「人もいるのか!何人居るか判るか?」

「魔力が弱くて解りにくいけど4~5人、でも強い人が一人いる」

 アンナは魔獣はかなり正確な探索が出来るようになってきたが、魔力の比較的弱い人間はうっすら解る程度だ。


 人が居るのならアンナ一人では置いて行けないし、もちろん連れてはいけない。

「コトネ!アンナを守って居てくれ!俺は様子を見てくる」

「分かりました。でも気を付けてください」

 俺は手を上げるとアンナが探知した方向に向かって、駆け足で進む。


 居た!森が途切れ、岩がゴロゴロむき出しで転がっている開けた場所で人間と魔獣が戦っている。

 俺は木の陰に隠れて様子を見ることにした。

 魔獣はオオカミとゴブリンだ、然程脅威ではない。

 人間は5人、男が3人と女が2人、男は剣が一人、この人がリーダーみたいだ。後の二人は槍を使っている。

 女は一人が弓、一人が魔法使いみたいだ。


 剣の男が群れを割ると両側を槍が攻める。ある程度群れをかき乱すとサッと離れて魔法を放つ。

 火炎系の魔法だな。魔法使いの前に直径1メートルほどの魔法陣が現れ、そこから魔力が放たれると敵の近くで火炎に変わる。破壊力はあまりなさそうだ。

 バラバラになって動きの少なくなった魔獣を矢が貫く。本来仮の肉体しか持たない魔獣に矢はあまり効果が無いのだが、ボコッと直径20cmほどの穴が魔獣に空くので魔力を纏わせているみたいだ。


 あっという間に魔獣は倒され、その手際に驚いた。魔獣を倒した後、全員で魔石を拾っているようだ。

 あ、誰かが俺の気に触れた。

「誰です!そこに居るのは?」

 弓の人が俺の方を向いて叫んだ。

 他の全員も俺の方を向いたので俺は木の陰から出て行くことにした。


「お前は誰だ。何をしている」

 剣を持ったリーダーらしき男が俺に聞く。

「俺はレオン、魔獣を見つけたので狩りに来たのですが、あなた達が先に戦っていたので見ていました」

 正直に答えた。

「あははは、お前ひとり魔獣を狩りに来ただと、冗談も休み休み言え!」

「ゴキブリみたいに拾い残した魔石でも取りに来たんだろうぜ」

 槍の二人が俺を罵る。


「おやめなさい!」

 弓の人が男たちを止める。この人、隙が無いし、他の人とはレベルが違うようだ。

「私はルジータ、連れの者が失礼をしました。少しあなたの話を聞きたいわ」

「済みません、連れが心配しますので、あまりゆっくりできません」

「お前、姫様に逆らうのか」

 リーダー男が剣に手を掛ける。

 そういや俺はまだ刀も出してないな。え、今姫様って言った。言ったよね。


「やめなさい!全くお前達はなぜ、そんなに粗暴なのですか」

 やばいなあ、逃げると追いかけられそうだし、どうしよう。

「まだ、この辺で狩をするのですか?」

「今来たばかりなので、どうするかは村で情報を集めようと思っています」

「そうですか。なら一緒に村に行きましょう」

 あ、詰んだ。断る理由がありません。


 彼らは問題を起こしそうには見えなかったので、渋々馬車に案内する。

 コトネとアンナを見てビックリする一行。

「ハハハ、これはお前達がついてくるのを嫌がるはずですね」

 ルジータの笑った顔は可愛い、俺と同じか少し年上かな。

 彼女が俺が嫌がると言ったのは獣人の子供を知らない人間に会わせたくないと言う気持ちを理解したという事だろう。

 それに対してコトネは明らかに嫌そうな顔だ。アンナは状況が理解できていない。

 俺は馬車の中を片付けるふりをして箱と樽を出して置く。


 村までまだ4~5kmあると言うことで馬車にルジータ達を乗せた。

「ウェインが姫って呼んだから警戒してるでしょう」

「はい、少し」

 ウェインと呼ばれた叔父さんは言った。

「相手が子供だと油断しまして、申し訳ありません」


「うーん、このことは内緒にして貰えるとありがたいです。バレるといろいろめんどくさいんです」

 ルジータが言うので俺は別に外交とかは関係ないので承諾した。

「と言うことで我々は傭兵をやっている”青い衝撃”と言うパーティでリーダーのウェイン」

 ウェインさんが軽く頭を下げる。

「前衛のビルとミック、そして魔法使いのアニーです」

 三人が頭を下げる。

「俺は学生で学費を稼ぐため魔獣狩りや薬草採取をしているレオンと言います。そして猫獣人がコトネ、狐獣人がアンナと言います」

 コトネとアンナは御者席にいるので挨拶はしてない。


「一つだけ聞いていいでしょうか?」

 ルジータが俺に問いかけた。

「話せることなら」

「あなたは魔獣狩りにあそこに行ったんですよね。なぜナイフの一本も持ってないのですか?」

 青の衝撃のメンバーもそりゃそうだと言った顔になる。

 実を言えば森の中を歩くのに邪魔だったから刀を収納庫に入れてました。

「あー、聞かないでください」


 この青の衝撃のメンバーはミュラー伯爵から魔獣退治を請け負っており、成果は魔石を市場の五割増しで引き取ってもらえる。これから行く村を拠点にしているらしい。

 俺は両親がやっていた傭兵と言う職業に興味があり、色々と質問した。

 俺の両親が昔傭兵をしていたという話が気に入ったのか、いろんな話をしてくれる。


「そうか、君の御両親が傭兵を、・・それで君は自分の学費を稼がないといけないのか。苦労してるんだなあ」

 ウェインさんが俺にしきりに同情してくれる。父親の職業が伯爵なのは言わない方が良いみたい。


「でもこの幌馬車は立派だな。御両親のものなのか」

 ウェインさんが疑念を抱いたのか聞いて来た。

「これですか。これは俺のです。賊をやっつけた時に分捕りました」

「え、こんな二頭立ての馬車を持った賊ってかなりやばいんじゃないの?」

 ミックと呼ばれた男が突っ込んできた。


「その時は領軍と一緒に行動してたんです。領軍は急いでたみたいで賊をやっつけた後、馬車を置いてったんで俺が手に入れたんです」

 まあ、嘘は言ってない。

「それはついてたなあ。いや羨ましいよ」

 今度はビルが言った。


「なぜ、獣人の女の子を連れているのですか?」

 魔法使いの女性アニーが聞いて来た。

「猫獣人の子は戦士もできますし、狐獣人の子は感覚が優れていて、簡単な探索が出来るので連れてます」

 あまり勘ぐられても困るので簡単に答えておいた。


 ミックが身を乗り出し話し出した。

「俺はよ。こんな近くで獣人を見たのは初めてだけど獣臭くねえし、可愛いし、女の子だからなのかな」

「普通獣人は貧しいので、清潔を保てずに匂ってしまうことがあります。でもそれは人間も同じですよね」

 俺は獣人は人間と変わらないことを強調する。

「でも、耳と尻尾が獣よ。人間と一緒って事はないわよね」

 アニーが言う。


 ビルも気に入らないらしい。

「頭が悪いって聞いたぜ」

「うちのコトネは11歳ですが初等部の学習内容はすでに習得済みです」

 俺はフォローを入れる。

「それじゃあ、獣人特有の特殊能力もあるから人間よりも優秀なんじゃないですか」

 ルジータがそう言うとビルとアニーがあからさまにいやな顔をする。

 ああ、この人たちは獣人が嫌いなんだな。


「獣人は人口が圧倒的に少ないので人間に勝てないのです」

 俺がそう言うとルジータは答えた。

「獣人がその能力を発揮できる時代が来ると良いですね」

 まあ、獣人を擁護する俺へのその場限りの迎合だろう。


 そうやっているうちに村に着いたので、コトネとアンナに馬の世話を頼む。

 俺とウェインさん、ルジータさんは村長宅へ情報取集に向かい、ビル、ミック、アニーは魔石の交換所に向かった。

 その時、事件は起きた。

 アンナがハンカチのような物を持って彼らの後を追って声を掛けた。

「忘れ物だよ」


 アニーが振り向くと同時に叫んだ。

「汚い手で触るんじゃないよ!!」

 そしてアンナが吹き飛ぶほどの平手打ちを見舞った。

 コトネがすぐにアンナに憑き添い、怪我の具合を確認している。

 俺達もすぐに現場に向かって走り出す。しかし離れすぎてる。


「おまえ、アンナになんてことをする!!」

 俺は切れていた。年端も行かない女の子にする所業じゃない。

「うるさい!!獣人が私の物に触ったのがいけないんだ!殺してやる!!」

 アニーの前に魔法陣が現れ、その狙う方向にはコトネとアンナが居る。

 ビルもミックも驚いて固まっている。


「やめなさい!!」

 ルジータが叫ぶ」

「やめろーっ!!」

 俺は慌てて魔法陣を取ろうとした。


「死ねーっ!!」

 アニーが叫ぶ。


 魔法陣が消えた。

「へっ?!」

 アニーが間抜けな声を出す。


 ようやくアニーの所に着いた俺は、彼女の鳩尾みぞおちにパンチを入れた。

「ああ、」

 アニーは体をくの字に曲げ、そして倒れた。


 ビルとミックが剣を抜き、俺を襲ってきた。

 俺は剣を持っていない。


 組むと隙が出来るので、まず先に来たビルの顎に掌底を突き上げる。ミックにはビルの陰から脇腹に後ろ回し蹴りを入れる。二人が倒れる。


 剣を抜こうとするウェインを手で制して、ルジータが頭を下げる。

「申し訳ありませんでした。大丈夫でしょうか?」

 俺がコトネを見ると大きくうなずく。口に血が見える。口の中を切っただけなようだ。


「大丈夫そうだ。この国では獣人にも人権が与えられている。解っているのか?」

 俺はルジータ達に向き合いそう言った。

「解っています。どうかお許しください」

 ルジータがまた頭を下げる。


「姫様!おやめください。姫様が謝ることなどありません」

 ウェインは慌ててルジータに寄り添い、俺を睨んで来る。

 なんだ、俺が悪いみたいじゃないか。

魔獣狩りを続けるレオンが魔法を?

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