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10-16 即位と建国と同盟

ご愛読、ありがとうございます。

今回は建国、即位、同盟締結です。

10章はこの章で終了です。

 誘拐事件を解決したことでヴァイヤールとの同盟も見えて来た。レオンは自身のアルカディア王国の王に即位するために色々やっていた。今は王都アルカディアの建設に奮闘していた。


 〇王都アルカディア予定地 

 レオン様達は今日の作業を終え、ハーヴェル城へ戻るので聖金字教会からのノルンを待っていた。

 彼はさっきから今日はよくやってくれたとアンナの頭を撫でていたのだけど、ちょっと子ども扱いが過ぎると思ったのか、彼の手を握って聞いて来た。


「レオン様、お姉ちゃんと結婚するの?」

「俺はそのつもりだったんだけどな」

 アンナは『え、どう言う事。何か障害があるの』と言う顔をした。

「何か問題があるのですか?」

「うん、まあな」


 アンナは年末に彼女が寝たのを見計らって、レオンがコトネにプロポーズして断られたなんて知らないからこれ以上は言えなかった。

 少し考えてから理由を聞くのを諦めたみたいに、レオンを見上げてアンナは言った。

「じゃ、じゃあ、私と結婚してくれる?」

「うーん、アンナは大切だし、ずっと一緒に居たいけど、結婚はまだ考えられないかな」

 レオンは突然の告白にあいまいな返事をするしかなかった。


 そもそもアンナはレオン達にかけがえのない存在である。

 従者通信もアンナとロキが居て、初めてできる技術スキルだ。



 前にヤヌウニさんになぜ他の誰も従者通信を使わないのか聞いたことがある。

「使わないのではない。使えないのだ。初め、君達はロキを通じて通信をしていたはずだ」

「最初の頃はアンナと離れると、ロキが通信しにくいと言ってたような」

 レオンは王都で学生をしていた頃のことを思い出していた。


「それ見ろ。元々精霊や妖精は精霊通信が出来る。それをロキがアンナの膨大な霊力を利用し、従属回路を使って精霊通信と同じようなことをしているのが従者通信だ」

「なら、アンナやロキが居なくなったら従者通信は出来ないんですか?」

「まあ、そう言う事だな」

 と言われ、ロキとアンナの存在に感謝したことがある



 レオンがそんなことを思っていると、考え込んでいたアンナが彼を見た。

「私は子供だからってことね。成人したら考えてくれるんだよね」

「ああ、もちろんだ。その代わりイイ女に成れよ」

「うん、でもフェリ様やエリーゼ様との結婚だけど、・・そこに愛はあるんかあ?」

 レオンは痛い所を突かれたみたいだ。


 レオンはより強固な同盟を締結するため、二人との結婚を打診している。これについては帝国、ヴァイヤール王国ともにいい感触を得ている。

「うーん、確かに君達みたいな家族としての愛は無いかな。でも二人共、俺を愛してくれているぞ」

「レオン様は、レオン様は愛してないの?」

 アンナとの問答は厳しい。精神を削り取られるようだ。


 レオンの感情とすれば二人を愛する自信はある。しかし、今は好意を持っているぐらいだ。まあ、半ば政略結婚だからなと割り切っている。しかし、大人の恋愛に憧れる十一歳の少女に、どう説明すれば良いのか悩むレオンであった。


「そうだな。女性として好意を持っていることは確かだ。それが愛と言う感情になると俺は信じてる。それに二人との結婚はこの地域に平和をもたらしてくれる、とっても価値のあるものだよ」


「そっかあ、結婚ってただ愛し合っていれば、良いってものじゃあないのかあ」

 アンナが理解してくれたみたいでホッとするレオン。このおませで恋愛に恋する少女に結婚を理解させるのは難しい。


「恋愛は二人の問題だけど、結婚は家と家、それに生活とか恋愛だけでは済まない問題があるんだ。だからもし俺が二人と結婚したら、アンナも協力してくれ」

「うん、せっかくの結婚も意地悪な姑や小姑が居たら、百年の恋も冷めちゃうもんね」

 お前、どこでそんなことを覚えてくるんだよ。と言いたいレオンであるが、総じて女の子は男より早熟なものである。



 〇ハーヴェル城に向かうノルンの上 <レオン>

「ちょっと、いきなりお城が出来てるってどういう事」

 聖金字教会での仕事を終えたエリーゼが俺の耳を引っ張った。

「作ったからに決まってるじゃないか。近日中にあそこで即位式をやるんだ」

 もうそろそろ敬語はやめよう。ためで良いよね。


「え、いよいよ王になるのね」

「王にならないと同盟の締結も出来ないしね」

「わ、私も出るの?」

 なぜかエリーゼ様が慌て始める。


「いや、即位式は内部的なものだから、国内の人だけもつもりだけど」

「良かった。ドレスとか持ってきてないし」

 それで慌ててたのか。

「うちのスタッフは元々平民が多いから、王女様なんか来たら縮こまっちゃうよ」


「対外的には戴冠式をやる予定。まあ、お偉いさんの予定を調整しなきゃだから、年内に出来れば良しだけど。その時には結婚式もついでにやるから君も準備しといてね」

「え、け、結婚。誰と?」

 エリーゼが一気にテンパる。こんなところは可愛いよね。


「君と俺。もう王太子様から内諾貰ってるけど聞いてない?」

「き、聞いてない。なんで言ってくれないのよ!」

 急に怒り出した。彼女の感情の起伏が大きすぎて、ついて行けない所がある。

「今、言っただろ。結婚は今年中に出来るかどうかだから、慌てる必要はないよ」

「で、でも・・・」


 なんだろう。結婚を望んでたよね。もしかして嫌になったとか。それは悪い事をしたなあ。

「嫌だった?どうしてもって言うなら、取り消すけど」

「ううん、違うの。いやじゃないけど・・・」

 うーん、どうすれば良いのか、さっぱり分からん。


「レオン、エリーゼ様はもっとロマンチックに言って貰いたかったんだよ」

 そう言って来たのはエイトだ。

「何を言っている。家同志の承諾があれば結婚は成り立つんだ。事実を伝えれば良い」

「もう、レオンは朴念仁の唐変木だねえ。そんな事じゃモテないよ」

 こいつ、自信満々じゃないか。一年会わない間に女でも作ったか。


「もう、分かったからやめて」

 エリーゼに言われて話は唐突に終わった。

 アンナが横でまたいやらしい笑いをしている。こういう女性問題ではコトネやアンナの方が進んでるから、また虐められるかな。


 ハーヴェル城ではコニンさんにアルカディア城の内装の要員の派遣をお願いして置いた。最近ドワーフの移民も多いそうで、アルカディア王国の工場としてハーヴェルが稼働しつつある。

 アキラさんの化学工場、コニンさんの機械工場、キラの魔道具工場が稼働始めている。

 原材料や製品の搬送には水運を使う予定で、テーベ川から運河を引いている。



 〇アルカディア城 <レオン>

 アルカディア城を造り始めて一週間、エリーゼはヴァイヤール王国に帰り、コトネが解放されて戻って来た。

 ヴァイヤール王国は母の病気と誘拐事件のお陰で、アルカディア王国の実力を認めてくれた。王太子は国交の樹立と軍事同盟の締結を打診してきた。元々春まで掛かると思われた同盟は一カ月も掛からずに目処が立った。


 今日は即位、建国式だ。国内の主だったものを集めた。アルカディア城の内装は式を行う大広間の内装は急いで作り上げた。本来、春完成の予定だったから仕方ない。

 ここへ繋がるはずの街道もまだ半分も出来ていない。まあ、同盟の調印式は帝国とヴァイヤール王国、それぞれでやるからここは使う予定はないし、俺達が移り住むのは春以降になる予定だ。


「陛下、そろそろで御座います」

 案内のサクラの声で、コニン一家の労作である王の正装を身に着けた俺が立ちあがる。緋色の足先までのサーコートは革細工で装飾され、羽織ったガウンは表が鮮やかな青、裏地は白、金色の革細工で縁取られる。王冠は普段使いな奴で、針金状の金色の線を荒く編み込んだ軽めのものだ。王笏は細めで金色の棒の先に五鈷杵のようなふくらみを設け、赤、青、白の宝石を嵌め込んである。

 まあ、王は金を持ってるから安心しなさいと言う服装である。


 俺はステージのようになった所を中央の椅子に向かって歩いていく。

 ステージには先に紹介された大臣たちが並んでいた。

 総裁兼外務大臣  アキラ

 副総裁兼運輸大臣 マサユキ

 文部厚生大臣   ヤヌウニ

 科学建設大臣   コニン

 軍務大臣     ロンメル

 親衛隊隊長    ジェリル


 ロンメルは俺を帝国に呼んでくれたあのロンメル少佐だ。彼は元帥が老齢で引退したので再び冷遇されて、今回の顧問団に参加してアルカディア王国への帰化を申請した。話したところ知識が深く、応用も利くので大臣とした。もちろん皇帝の許可は取ったよ。


 俺はステージの中央に立ち演説を開始した。

「諸君、我々は国民を苦しめた悪の組織オリンポスを倒し、三か国を解放した。その結果、国は貴族や教会のものではなく、国民のものとなった。・・・<中略>・・・

 私、レオンハルト=イエーガーはレオンハルト=アルカディアと改名し、アルカディア王国を建国し、その王となることを宣言する」

 聞いていた百数十人の人達が割れんばかりの拍手をして、俺は国民に擁立された王となった。


 その後、俺はハーヴェル城、エドゥアルト城、聖金字教会本部で同じ演説をした。

 俺は国内では王と認識されるようになった。


 二月には、帝国、ヴァイヤール王国で同盟を締結し、フェリとエリーゼとの婚姻が決まった。

 結婚式は戴冠式と兼ねて十月に行うことに決まる。アルカディア城は出来るけど招待客の宿泊施設が危ない。そういやアルテミスに教会でやるって言っちゃったなあ。教会も作らないと。こりゃ大変だ。


 そういや学校も試験と手続しなきゃ。一応三学期は試験のみで単位が認められることになった。勲章受章者であることが考慮されたらしい。しかし、今年はとてもじゃないが通学は出来ないので休学する。

 ええ、エリーゼとエイトがハイデルブルグ学園を受験するから連れて行けって。はいはいついでに連れて行くよ。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

この小説は水曜、土曜の0時にアップする予定で書いています。

次回は9~10章の登場人物紹介です。

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