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知らない子

作者: よぞら

美緒…小学3年の私

昌樹…幼稚園年中の弟

将太…去年まで子供会に所属していた高校1年男子

徹…去年まで子供会に所属していた高校1年男子

静絵…子供会の小学5年女子

 小学校3年生の時でした。

 夏休みになりますと小中学生が集まり夜7時半から8時くらいまで地域を一周する子供会のイベントが週に2回ございます。

 中途半端な田舎町の中で区切られた地区内の子供会となりますと人数も20人に満たない小規模な集まりです。

 2キロ程の距離を最年少の子に合わせて30分ほどかけてゆっくりと歩きます。

 今となっては全ての歌詞を忘れてしまいましたが童謡のような唄を歌いながら小学校1年生から学年順に並び、最前列と最後列は同伴当番の保護者が懐中電灯を持って見守っておりました。

 この日の当番は我が家で父が同伴いたしました。出掛けに幼稚園児の弟、昌樹が付いて行きたいと泣いてぐずり困り果てた父は抱き上げたまま連れて参りました。

 無理矢理ついてきたはいいが夜の外が怖く父にしがみつく昌樹。仕方なく一緒に最後列へ行き父の代わりに懐中電灯を持つことになりました。

 集合場所の公園から出発し地区内を歩き出します。


 よっさーい よっさーい

 よっさーい よっさーい


 唄いながら歩いておりますと道沿いのお宅から窓が空き「お疲れ様です。」と声がかかります。都会よりは山や林が多くございますので夜の7時半を過ぎますと真夏でも涼しい風が吹いておりました。


「お疲れ様。」


 終点であるバス停に着きますと今年高校生になったお兄さん達がおりました。唄が聞こえたので夕涼みついでに出てきたそうです。去年までは一緒に歩いておりましたので少し寂しく感じます。


「しょう兄ちゃん。」


 抱っこしたままだった昌樹が父の手からすり抜けて将太さんのところへ走っていきました。将太さんは背が高く子供会の男子達のなかでは一番人気の先輩でした。小さい子にも優しく遊んでくださるので昌樹もよく懐いております。


「抱っこしてたのまーくんだったのか。」

「そうだよ。」


 将太さんに頭を撫でられながら嬉しそうに笑う昌樹。その様子を見ていると将太さんと一緒にバス停に居た徹さんから手招きされたので近くへ行きました。


「懐中電灯持ってたの美緒ちゃんだったの?」

「うん。お父さんがまーくん抱っこしてたから。」

「じゃあさ美緒ちゃんのすぐ後ろに居た子だれ?」


 言われて首を捻ります。昌樹を抱き上げていた父と懐中電灯を持つ私が最後列を歩いておりました。後ろに誰かが居る筈がございません。


「美緒ちゃんと同じくらいの女の子いたでしょ?誰かの親戚の子?」

「そんな子知らないしいないよ。」


 同じくらいの女の子は一人いますが今日は家族旅行で来ておりません。下の学年も上の学年の子も男の子です。基本的に子供会に親戚の子が参加することもございません。


「だってさっき俺ん家の前通った時、白っぽいワンピース来た二つ結びの女の子が美緒ちゃんの腕掴みながら後ろに居たよ。」


 ゾクリと背筋に悪寒が走り身震いした時、近くで話を聞いていた5年生の静絵さんが悲鳴をあげました。


「美緒ちゃん!腕っ!」

「……なにこれ?」


 静絵さんの悲鳴と大声にバス停でそれぞれ屯っていた子供会の子たちが全員注目する中、左腕をみると誰かが掴んだような形で赤黒い手形が付いておりました。

 恐怖で手足が震える中、背後にいた女の子の話を徹さんがすると全員が恐怖に顔を歪ませます。

 夜道に紛れ込んだ知らない子の存在に場は騒然となり、いつもは各々帰宅しましたがその日は当番の保護者が二手に分かれて家の前まで一緒に帰る事になりました。

 それから夜の子供会は一時中止となり翌年の夏休みまで再開することはございませんでした。

 徹さんが見た女の子は誰だったのでしょう。

(◉ω◉)体験談をもとに脚色したお話です。

世の中は不思議な事に溢れております。


ご覧いただきましてありがたく存じます。

お気に召してくださった方は恐れ入りますが下記にてご評価いただけますと幸甚にございます。

励みになりますので宜しくお願い申し上げます。


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