序章
オンラインゲームのログイン祭り・・・
アプデ直後の緊急メンテ・・・
プロバイダーごと回線障害・・・
他人事なら楽しい祭りなんですけどね。
序章と一話(一話は4部分構成)を約一時間毎に一気に放出します。
業務連絡:ミク誕おめ
少し先の世界。
ゲーマー達が待ち望んだVRハードが発売された。
VRゲームの黎明期、と呼ばれる頃のお話。
ハードの性能は当時は十分だった。
しかし、回りの環境がハードにとって足りないと言うのはよくある事。
莫大な費用をかけてグラフィックが本物とほぼ変わらないゲーム。
広大すぎるワールドマップを売りにしたゲーム。
NPCキャラクターが人と間違えるほどのAIを搭載し様々な表情を見せるゲーム。
同時に接続できる人数を無制限にして大規模な戦闘を売りにしたゲーム。
人気が集まったゲームは発売日にサービスを中断せざるをえなかった。
通信回線がパンクし、運良く繋がってもラグだらけの後結局回線切断でゲームにならなかった。
そしてプレイヤーはまだ稼働していた不人気のゲームに流れ、それらのゲームも同様にサービス中断が連鎖した。
一般回線にも影響が及んだ為、インフラ改善の数ヵ月はゲームとしては使用しないように。と即日法案が通った程の混乱を起こした。
その後、徐々に整備され都市部から制限付きで解禁されていった。
その数ヵ月に耐えられず倒産したゲーム会社もありゲームの本数的には絞られたが、自社で使用できる回線の容量制限内で元々予定されたゲーム内容を全て提供するは到底足らず、各社がクオリティを落としてサービスを再開したのだった。
やはり人気なのは脳の肉体への信号をそのまま使う事で体を動かす感覚そのものでプレイできるタイプのゲームだったが、身体のサイズを微調整しただけで違和感、異常なストレス等を感じ、日常生活に問題が出る程の重傷者が出た為に、肉体のデータを一定期間毎に特定の場所でスキャンして、そのデータでしかキャラクターを使用できなくなっていった。
ヘッドセット型のVRマシンで全身スキャニングする技術の登場は、まだまだ先である。
一方で、脳波をどう動かすかのコントローラーとしてしか使わず、肉体への信号を使用しないゲームが存在した。
シナリオはギリギリ合格点、ちなみに随時シナリオライター募集広告を出している。
データの更新や追加も頻度は高くない、むしろゆっくり。
オブジェクトの解像度等は標準レベル。
唯一の売りは、モンスター以外の生物の描写がもはや本物レベル。
噂ではキャラクターデータとリス一匹がほぼ同サイズのデータで動いているらしい。
開発者に否定されたが、通信制限さえなければと付け加えられたという話も。
しかしそのゲーム、複数の特定の趣味の人達によって「神ゲー」と呼ばれていた。
まずは動物達さえ居れば他は何も要らない、と言い切る俗に言う「ケモナー」。
そして自分の体では無い形の生物でも動かせる、四本腕の人型キャラや腕の無い鳥人属や人魚等を好む「人外フェチ」。
中でも獣人属でコントロールさえできれば、耳や尻尾をプログラムではなく自分の意思で動かせると言う事にこだわった、上記二つのハイブリッド型「自己ケモナー」が多かった。
九尾の狐を作ったがコントロールしきれずにケモナー達の餌食になったPCもいたとか・・・
そして普通の人間キャラ使いだが年齢、身長、性別等も自由の為・・・あえて言うまい。
他のゲームと操作が違う為癖があり普通の人型さえ動かせない場合も有るが、大多数のプレイヤーが独特の趣味を目的ととした、「選ばれた人」の為のゲームとも呼ばれた。
人は、《Dragon's World Frontier》と言うありきたりなタイトルのゲームを「ドワーフ」と呼んだ。
色々な悪意を込めて、だが。
そして数年、更にインフラ環境も進み、通信規格も変わり通信速度の問題が解決された。
512k動画も数秒とかどこかで聞いたようなフレーズも・・・
そしてゲームへの回線制限が事実上完全撤廃される事となった。
それに合わせ各社待ち望んでいたフルサービスをどうやって提供するか、それで市場シェアを上げようと躍起になっていた。
そんな中、《Dragon's World Frontier》は全体の描画の向上のみに留め、20才以上限定の《Dragon's World Fantasia Option》を発表した。
基本はドワーフ(DWF)の性能向上版と同一。
PCキャラクター種族を要望により追加。
従来の獣人属ではなく、完全な動物を。
元々データにあった動物以外は要望が多ければ追加となる。
そして一番の売りとして・・・
「視覚や味覚等は他のゲームで再現される、ならうちは・・・触覚だっ!」
と言う開発責任者のインタビュー動画が流れた。
五分もせずに、限定版の呼び名が「どあほぉ」に決まったのは言うまでもない。
そんな「どあほぉ」のサービス開始の日から話は始まる。
なお超高画質動画のある世界ですがまだDVDは販売しています。
それではモフモフをお楽しみ下さい。