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兄と妹は譲り合う  作者: 嘘を知らない猫
第1章 堺 美甘とお家騒動
3/4

笹田 鈴と不可抗力のダブルデート

今回は長くなりそうなので切りました。続きはまた一週間お待ちを…。

前話の少し前。天野高等学校1-4教室

「鈴。今日はお前にお願いがある。」

「なんだ。」

「今週の土曜日にショッピングモールに一緒に行ってくれないか?」

「それまた。なぜ?」

「実は~。沙耶とデートの約束を取り付けたんだが、沙耶の父親が二人きりではダメだと言ってな?友人を一人連れていくことになったんだよ。」

「なぜ僕なんだ。どういう風に考えればクラスでも目立たない僕に白羽の矢が立つんだ。意味が分からないんだが。」


今まで目立つことはしてきていない。沙耶の父とやらが僕に関心があるのか?


「本当は時谷とかに頼みたかったんだが土曜日とかいきなりお願いしても皆予定入ってたんだよ~。それで暇そうなお前なら良いかなって。どうだ?」

「一つ聞きたいんだが、まさかお相手さんの方にも付き人がいたりしないよな?」

「それが~。沙耶の父が…」

「二人ともそれぞれ連れてデートしろとか言ったのか?」

「そうだ。」


なんでこうなる?いくらなんでも可笑しい気がする。彗也も沙耶も有名な会社の息子と娘だ。その友達はどちらも優秀だと思い仲を深めさせようとしているのか?


「拒否権はあるのか?」

「もう、お前以外頼める人がいないんだよ~。だからお願い。今度必ず埋め合わせするからさ。頼むよ。」

「仕方ない。お前の頼みだ、行きたくないが行ってやるよ。その代わり、今度駅前の店でラーメン奢れよ。」

「ありがとう!ラーメンで沙耶とデート出来るなら安いもんだ!」


沙耶や彗也とは普段から話しているので違和感は殆ど無いだろう。問題は沙耶の方の付き人がほぼ確実に堺時雨であることだ。沙耶には基本的に信頼している友達はいない、唯一無二の親友と言っても過言ではないのが堺だ。


正直よろしくない展開だ。彗也と沙耶は殆ど一緒に過ごすだろう。付き人が付くのは父を説得する材料に他ならない。そもそも俺とはあまり話したりしないだろう。とすればどうなる?僕はもう一人の付き人とずっと話していなければならないだろう。


堺 時雨。ココアのような澄んだ瞳。艶のある黒い長髪。華奢な体型。男子高校生からモテる理由を多いに持つ才女。彼女に告白したものは現在いないものの、これから増えることとなるだろう。


不味い。堺とデートしてることなんかがクラスメイトにでもバレて見ろ。大変なことになるぞ。変装していった方がいいのか?


「おい。彗也。僕はお前らの付き人だとバレて目立ちたくないんだ。」

「そう言うと思ったよ。そのために変装道具用意してっから。」

「そうか。有難うな。」

「見ろこれを!金髪のウィッグとブルーのカラコンだ!お前顔は普通に良いのにおしゃれしようとしないからな。ほれ、着ていく服だ。これでお前は堺美甘とデートする貴公子だ。」

「そこまでの設定はいらないが。ありがたく頂戴するよ。」


ーーーーー

「しぐちゃん、笹田は目立たないように変装してから来るってさ。」

「え。そうですか。やはり私とは誰とも遊びたくないのですか…」

「いや。多分だけどあいつが目立ちたくないだけなんじゃない?」

「そうでしょうか?」

「いや。絶対そうだね!しぐちゃん可愛いのに自信ないから。本当は裏でモテてるかもよ~?」

「ないでしょう?」


沙耶の冗談ともとれる発言に堺時雨は苦笑いする。



ーーーーー

こんなものか。鏡の前には金髪碧眼の貴公子(笑)がいる。家族は家にほとんどいないので感想を聞くことは出来ないが、まあ良いだろう。


10時集合の筈が、10時半を回っている。周りからの視線も痛いし、早く来てくれ~。 


『おい。鈴お前、寝坊か?もう三人集まってるぞ。』

『え?まじ?僕噴水前にもういるんたが?』

『え?ホントか?あれ、あの金髪お前か?』

「あ、彗也おーい。」

「よお。鈴。お前、髪と眼の色変わったら印象大分変わるな。」

「ホントだー!鈴全然印象変わるね!それウィッグとカラコンでしょ。それ!良いなー私も着けてみたい!」

「そうか。明日には返すよ。」

「いや、いいぜ。そのまま今日返してくれ。」

「いや。返さない。バレたらどうする?絶対に明日返す。」

「分かったよ。はあ…お前は本当に頑固だな。」


頑固ではない、バレたく無いだけだ。今も通る人の視線は僕らに向いている。内の学校の生徒が見れば一目で分かるバカップルと学校1の美少女。嫌だなー。こんな奴らと歩くの。


「…。似合っていると思いますよ。」

「そうございますか。どうも。」


堺は何か探ろうとしているのかこちらを見つめてくる。やめてくれ、ただでさえこの格好でさっきまでずっと見られていたのに…


「それにしても鈴似合うよな。地毛に見えるぜ。」

「ホントだねー。まあ彗くんには負けるけど。」

「おいおい。褒めてもなんにも出ないぜー?この服似合うと思うけど」

「いや。大分面白い服だね!?」

「そうか?良い感じだろ?」

「…。」


鈴の好みにドン引きだ。あんな服誰も買いたくないだろ。趣味が悪すぎる。


「私は結構良いものだと思いますが。」

「そうかい。試着してみる?」

「では、ぜひ!」


…。どう感想を言えば良いのだろうか…。似合ってなかった場合どうすれば良い?

 

「どうですか?似合いますか?」

「似合ってる思いますよ。亀齢です」

「…。」


堺美甘は静止した。


「え…。もしかして今…。その…。えっと…。」

「どうした?どこか体調が悪くなったか?」

「いや…。えっと…。」

「おんぶしてやろうか?」

「ふうー。もう大丈夫です。」

「ホントに?」

「本当に大丈夫です。」


本当か?とはもう言わない。ダルい奴とは思われたくないし、心配してくれる善い人と思われていれば良いのだ。






見てくださり感謝します

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