47:狂信者の独り言
私はあと数日で自分の愛しい人を殺さなければならない。
いや、殺すというのは物騒だな・・・解き放つ。この言葉がしっくりくる。
あの人は女神だ、女神がこんな場所にいていいはずがない。彼女は解き放つ者を待っているのだ!
小さい頃、私はよく母に読み聞かせをしてもらっていた。
私が一番好きな物語は他の神の策にはまり呪われ人の体で暮らすことになった神の話だ。
女神は呪われたが神と言うことには変わりなく不死身であり数千年分の知識、力を持っている。
全ての問題はほぼ解決できるが自分を解き放つことは許されていない。女神”人としての生を終わらせる”ことができる人を待っている。
私の愛しい人はきっとその女神に違いない。
言い伝えの通り彼女は美しく、底知れない知恵を持ちながら国、いや、大陸で一番魔力を持っている。これが女神でなければなんというのだ!
彼女と私の出会いは十数年前にも上る。彼女はきっと私のことを覚えてはいないけど私は彼女のことを忘れることができなかった。
その日以降、目を閉じれば彼女のことしか考えられなくなり、彼女が私に使った治癒魔法、つまり私に魔力を流したところを見てこれが私と彼女の初めての共同作業だということを思い出させる。甘い思い出にひたるのも悪くないけど彼女の魔力は私と相性がいいようで馴染みが良い。
旅の間、私が探し求めていたモノがエルフの住んでいる森付近のダンジョンでボスを倒した後に手に入るというのでボスを倒したら本当にあった。
神殺しの剣。
長い間、私はあの人を”生”から解き放つためにこれを探していたのだ。
あぁ、やっと見つけた!
やっとあのお方をこの世界から解放できる。
そして、人でなくなったあの方は永遠に私のモノとなるのだ。




