43:新しい家
それからしばらくライレックと話した後にリロイと合流した。
「お母さん!なんでそんなに遠くに行ったんだ!俺心配したんだぞ!?」
「大丈夫よ。カエデにもついて来てもらったし、ね?」
そう言って息子を見るとイヤーな視線をカエデに向けた後に拗ねながら文句を言ってきた。
息子はもう成人してるけど、こうやって機嫌が悪そうにしてるにもかかわらず可愛い。
「リロイ、子供じゃないんだから。ほら、手。」
そう言い手を差し出すとちょっと嬉しそうに手を繋いでくれた。
この子、もしかしてマザコンかもしれない・・・(気づくの遅い)
それからリロイにこの国にいる知り合いから家を借りる代わりにその息子に魔法を教える約束をしたことを伝えた。
リロイは了承してとりあえずギルドに行って仕事を探したみたいで、運よく治癒院の人員が足りてなかったそこに行って仕事するらしい。
場所も書いてあるからこれから行ってみるんだとか。
じゃあ私はライレックが貸してくれるっていう別宅に行って家を見てみるか。
カエデが案内してくれるんだよな?
「カエデ、あなたが別宅に案内してくれるのよね?」
「はい。町の中にあるので少々騒がしいかもしれませんがギルドと市場とライレック様の屋敷に近いですよ。」
便利な場所ねぇ。
というか自分の家が近いのに別宅立てるって・・・愛人用の家だったとか?
まぁ無料で貸してくれるんだ。そんなの気にしていられない。
ギルドから歩くこと数分すぐに別宅とやらについた。
こじんまりした家というか、店だ。
「コレが別宅?店じゃない。」
「昔ライレック様の奥様が隠れてお菓子屋をしてたんですよ。」
天真爛漫な奥様ね・・・
「飽きたらしいので放置されていたらしいです。」
「そう・・・誰か掃除しに来た?」
「多分それ以来誰も近づいてないですね。」
「そう。じゃあ『クリーン』」
とりあえず全体を綺麗にした。
「・・・改めて人族の魔法を見ると凄いですね。」
「そう?」
「獣人は攻撃魔法と防衛魔法しかできない人が多いので・・・」
へぇ~生活魔法がというか細かい調整を必要とする魔法が得意じゃないのか。
ドアを開くと中はカフェ風で机といすが何個かが並べてあった。
オープンキッチンで結構おしゃれなのね。
カウンターもあってレジもあって、食糧庫もある。
お客様用のトイレもあるし空いてる時間に冒険者、旅人向きの薬やポーションを作って売るのもいいのかもしれない。
二階が寝室数個にトイレそしてなんと庶民の家ではなかなか見られないお風呂もある。
「いい家じゃない。後は自分でするからカエデはもう帰っていいわよ?」
「承知しました。」
そういうとカエデは外に出て行った。
これからしばらくここで生活するのか・・・リロイの職場からそんなに遠くないしいいんじゃない?
「お母さんここが新しい家?なんか商売するの?」
どこにいるかリロイに教えてないけど、腕輪で私がどこにいるのか分かるリロイはドアをノックもしないで家の中に入って来た。
「そうね、空いてる時間にポーションとか売ろうと思うの。」
「うーん。俺はいいと思うけど、また侯爵家に見つからない?」
「一応対策はあるのよ。」
私が考えた対策は簡単。
魔法で見た目を変えればいい。
変装すれば気づく人も少ないと思うし、外見を変える魔法は得意だ。
「外見を変えるのよこうやって『エンチャント』。」
魔法を唱えると見る見るうちに外見がどんどん獣人っぽくなっていく。
黒い耳に黒い猫目そして何とも言えないこの長い黒猫の尻尾。
私は猫の獣人に外見を変えた。
鏡の前に行き自分の姿を確認してみると思ったより美人に出来上がってる。
「リロイどう?」
「凄く綺麗だよお母さん!客に口説かれないか心配だ。」
なーに言ってるの、口説かれるのも仕事のうちよ。
「それで?仕事はどうなったの?」
「ん?あぁ。」
そういうとリロイは色々と新しい仕事について説明してくれた。
リロイ曰く、新しい職場は治癒魔法が使える獣人が少ないのにギルドからの依頼は終わりがないみたいに来る。だからリロイは治癒院務めだけど、ギルド内にある治癒室で務めになることになると言っていた。
前の仕事とそこまで変わらないじゃない。
夕方になるとリロイにご飯を作ってもらい、食べようかなと思っていたころにキースが移転で家の前まで来ていた。
「あら!キース久々ね?寂しかったわ。」
「ママ!僕もすっごく!すっごーく!寂しかった!ハグして!」
「フフっ甘えん坊さんねぇ。」
こんなマザコンだけど甘えてくる息子が可愛くて可愛くて仕方がなかった。
家に入れて机に付くと改めて二人の顔を見る。
大きくなったわね・・・にしてもリロイのこの顔、どこかで見たことがあるのよね・・・
まぁいいわ。思い出せないということはそれほど大事じゃないってことだから、別に思い出さなくても困らない。
久々に息子達と会話を楽しみ、その日は大満足してベッドに入った。




