3:隣国
「今から二人に魔法かけるけど怖がらないでね。」
二人にクリーンという魔法をかけた。
この魔法は体を清潔にしたり身に着けてるものを清潔にしてくれたりする魔法だ。
あとは...服をどうにかしないと。
「す、すげぇ!きれいになってる!」
「本当だね!リロイ兄さん!」
リロイはいつの間にか帽子を取っていた。綺麗なプラチナブロンド色の髪と淡い黄色の瞳だ...ってあれ?この顔どこかで見たような気がするんだけどな...誰だったかな?
キースは綺麗な緑色の髪に淡い黄色の瞳、この二人の目そっくりだね。血がつながった兄弟なのかな?
「さぁ、服を買いに行くわよ。そんな恰好じゃ乗合馬車で怪しまれるわ。」
あらま、私ったら。言うの忘れちゃったわ。
「実はあとちょっとしたら乗合馬車で隣国まで行くのよ。」
「え、えぇ!」
私も、うっかりさんね。こんな大事なこと言うの忘れるなんて。
「あなた達、この国に未練はある?」
子供たちに聞いてみると二人ともハッキリ「ない。」と言っていた。
早速、大通りに出て子供用の服の店に入り二人に会う服を何枚か見繕ってもらった。
結局、子供達に服やズボン、下着など必要な物をいろいろと買ってしまった。だって、何着ても似合うのよ?しょうがないよね?
買った物が多すぎたせいで二人分のカバンも買った。あとなんか美味しそうな屋台のお菓子とジュースも二人に買った。二人の食べてる姿が可愛くてついつい、いっぱい買ってしまいそう。
「お、おい。」
リロイがどうやら私を呼んでいるみたい。
「ん?どうしたの?」
「服とカバンとお菓子とジュース...ありがとな。ぉゕぁ.. 」
え?さっきなんか聞こえた気が...
「んもーリロイ兄さんもっと大きな声で言わないと聞こえないよ?ボクも一緒に言うから恥ずかしがらないで!ね?」
弟に優しく注意されるってなんか可愛いね。
「せーの」
『お母さんありがとう!!』
うちの子...可愛いですわ!可愛いですわ!グッジョブですわ!!うちの子可愛いですわ!
「あらあら。二人とも可愛らしいわねぇ。どういたしまして。」
内心「うちの子可愛い」を連発しながら、顔だけ普通に微笑んでるように見せるって難しいね。
もう少しで時間になりそうだから、乗合場に行こう。
「二人とも、乗合場に行くから適当に話合わせてもらえるかしら?」
「え!そ、そんな...お、俺頑張る!」
「うーん...リロイ兄さんは何も言わなくていいよ。ボク頑張るから。」
なんだろうか、キースすっごく頼りになる。リロイより頼りになる。
乗合場に行くとおじいさん達がいた。
「おや?どこから子供連れてきたんだ?」
「実は離婚した元旦那がこの街の近くに住んでまして。再婚してあちら側にも数人子供がいるらしいので子供を引き取りに来たんです。」
「うん!そうだよ!ボク、久々にママに会えてうれしいな!」
キースはそう言い私にべったりくっついてきた。
リロイもそれを真似て私にくっついてきた。
これは...萌えますわね。えぇゲキカワですわね!
「そうか...お姉さんも若いのにいろいろ経験してるんだな。」
まぁ、人生そんなものですよ。山あり谷ありです。
「おじいさんや。早く乗らないと乗れないわよ。」
おばあさんと女の子が乗合馬車に乗ったおばあさんに急がされた。
私とリロイ、キースも馬車に乗った。しばらく、他に誰か乗るかな?って持ってたけど結局私達だけだったようだ。
あと少しで隣国につくらしい。日が沈むごろに着くとおじいさんは言っていた。
乗合馬車に揺られてる間、リロイとキースは女の子と喋っていた。なんだかんだ言って仲良くなってるのね。子供のコミュ力凄いわ。
私はうとうとしていた。そしていつの間にか意識は遠のいた。
「...か...ん!お...あ...ん!おか...さん!お母さん!起きて!」
リロイに起こされた。どうやらついたようだ。
「あらあら。起こしてくれてありがとうね。ついたのかしら?」
「お母さん着いたよー。」
隣の国は結晶の国って呼ばれてる。そう呼ばれるにも理由はあるけど、国の入口の門から見てわかると思う。
白色と水色の透明な結晶で作られた大きな門に金色の装飾。きれいだなー。
「綺麗な門ね。」
「そうじゃろ?この門からあっちはもう隣国じゃ。」
ちゃんと区切ってあるのね、国境が。