34:一人演劇
今度は元旦那の顔が真っ青になった。
赤くなったり、青くなったり、泣いたり、忙しい奴だな。
呆れながら床に座り込んでる元旦那を見ていると今度は文句のようなものを言ってきた。
「なんで...なんで国王様まで話が行くんだ!こんな事になったら...戻るものも戻れないじゃないか!私達は家族じゃないか!なぜ他人を私達をわざわざ巻き込んでまで...なぜなんだ!私達は愛し合っていたではないか!私はこんなにもエカテリーナのことを愛しているのに!なのに!こんな田舎町で愛人と隠し子もいたなんて!」
最終的には一人演劇みたいな感じになっていた元旦那。
元旦那の秘書は苦虫を噛み潰したような顔で元旦那を止めようとしていたが元旦那の体格の方が大きいのでオロオロしてるだけで結局何もできていない。
「侯爵様!侯爵様!ここで膝まづかないでください!」
何を見せられてるのだろうか。
こんなの見るんだったら地面見つめてる方がいい。
未だに床で項垂れている侯爵はチラッチラッとこちらを見ているが私に何をしろと...
正直こんな年でこんなことして構ってもらえると思ってること自体にびっくりしている。
子供ならまだ「あっかわいい」、青年だったら「ネタかな?」、中年がすると「不愉快」とくに好印象のコの字もないが中年がするとより一層気持ち悪い。
「そうだ...そうだ!エカテリーナはお前たちに洗脳されたんだ!」
・・・これがいわゆる話が通じないやつか。まさかそんな斜め上なアイディア思いつくなんてある意味天才なのかもしれない。
「あぁ!可哀そうなエカテリーナ、こんな本当に愛してもいない男と生みたくて生んだわけではない子供に支配されて!私がエカテリーナをここから連れ出す!さぁ!エカテリーナ私の手を取ってくれ!」
頭が痛い。
侯爵はもしかしたらゴブリンなのかもしれない。
そう考えた方が納得できる。
「はぁ、侯爵様。何をお考えになっているのか分かりませんが私は洗脳されたわけではございません。好きでここにいるのです。」
「洗脳された人は皆そういうんだ!」
なんかイライラしてきた。
「侯爵様、なにがどうであれ。私はあちらに戻ることはありません。国王様に許可を頂いているのです。そもそも、国王様に離縁をする許可を取っていながら戻るということはおかしいのでは?」
「そ、そんなもの...そんなものどうにかできる!私は侯爵家の当主だぞ!」
見苦しい。早く当主変わってくれないかな。
多分次期当主の方がまともに物事判断できる気がする。
侯爵がアレコレ言い続けている間、私はずっと侯爵の後ろに飾ってある絵を見ていた。
リュウも息子もなんか遠くを見てるし侯爵家の秘書もなんか途中までは頑張って止めようとしていたけど今はもうただ立ってみてるだけ。
この秘書もなかなか役に立たない。書類仕事とかは凄くできるのに、こういう仕事はできないのね。




