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離婚したので放っておいてくれませんか?  作者: 肉まん太郎
第二章
31/48

30:勘というのは当たるもの

それから数日私はリュウの秘書として働いている。

リュウ曰く「姉さんがいると助かるよ。」らしいのだが、こいつ皆に「〇〇がいると助かる。」というのが口癖みたいなものなので信用ならん。


そして、あの手紙が来なくなって数日悪い予感がした。なんでか分からないけど家から出たくない。でも仕事があるのだ。

機嫌が悪いままギルドに行くとリュウも困った顔をしてソファーに座っていた。


「おはよう。どうしたんだい?機嫌が悪そうね?」


私が声をかけるとこちらに気づいたのか少し困った顔でニコっと疲れたように微笑んできた。


「あぁ、姉さん、おはよう。今日はちょっと困った来客が来るんだ。」


「困った来客?」


リュウが私に手紙を差し出してきた。

見慣れた模様の手紙。これは侯爵家からの手紙だ。


「はぁ...」


確かにこれは困ったことだ。

因みにリュウには侯爵家のことを酔った勢いで話したことがある。

だから彼も息子達同様、侯爵家にあまりいい印象を持っていない。


「手紙には”今、秘書をしているエカテリーナ様を絶対同席させること”って書いてあるんだ。姉さんはどうしたい?」


「別に構わないわよ。それで?今回はどんな要件でここに来るの?」


「表向きは討伐の依頼とここの領主様を訪問するときの護衛の依頼だよ。」


「そうかい。」


仕事は仕事、プライベートはプライベート。仕事と私情は無関係な方だし、もうギルドに来たから帰るのが面倒くさいのでこのまま仕事をしよう。


それから数時間後、昼ごはんの時間が過ぎたあとに侯爵家の人はやってきた。

久々に見る侯爵家の人間の顔は相変わらず気分がいいものではなかった。


客室に入ってくる侯爵の顔とその秘書の顔は嬉しそうだけど私の腰にあるものを見るとショックを受けていたようだ。

侯爵は顔が青白くなったり赤くなったり忙しようだがその右腕の秘書は顔が真っ青だ。


それはそうか、今リュウは私の腰に腕を回している。これは作戦だ。

昼ごはんの時、リュウに冗談で「恋人いるって知ったらあきらめるのでは?」という話をしていたら「面白そうだ。あとはそうだな。...ラブラブだったら絶望させることができそうだから。ラブラブな恋人のマネをしよう。」と乗ってきたのだ。ノリはいいがまさか本当に実行するとは思わなかった。


「侯爵様遠いところまで足を運んでいただきありがとうございます。」


「あ、あぁ。ところで、その腕は?」


「ん?あぁこれでございますか?何と言いますか。エリーは私の恋人なのですよ。もう大好きで大好きで一秒たりとも離したくないのです。」


頬をピンク色に染めて言うリュウの演技力はギルドマスターになるより俳優とかになった方が絶対いいのでは?と思ってしまうほどのモノだった。


「こ、恋人...だと?い、いつからんだ?それはいつからなんだ!?」


焦っているのか急いでいるのか分からない侯爵の質問に対してリュウが答えた。


「うーんそうですね。ここに来てすぐエリーに交際を交際を申し込んだのですよ。まぁ、私の一目惚れですかね。あっははは!」


「あなたったらもう。そうね?いきなりだったわよね?」


私もノリに乗ってリュウを見ながら微笑む。傍から見ればラブラブなカップルが凄く仲良しな夫婦だ。もう年も年だし夫婦でもおかしくないこの距離感。リュウの方を見ればじーっと私の顔を見ていた。なんだ?喧嘩売ってるのか?それとも内心「こいつ、微笑んでるのか?それともニヤニヤしてるのか?」とか思ってるのか?なんかじーっとみられるとちょっとイラつくな。


「リュウ?なんでそんなに見てるの?私の顔に穴が開いちゃうわ。」


「あぁ、エリーの微笑んでる顔があまりに可愛らしくてね。」


リュウの頬がちょっと赤くなっていた。

チラッと公爵の方を見ると目に涙をためて拳を震わせていた。

面倒だ。とても面倒だ。権力というのは判断力と責任感がある人が持つべきであって彼のような感情で動く人が持っていいものではない。感情で動く人が権力を持つことは子供がナイフをもって走っているようなものだ、周りにとっても危ない上に自分にとっても危ない。まぁ、その権力と責任を全部コイツに譲ってここまで逃げてきたのは私なんだけどね。


「エカテリーナは...エカテリーナは私の妻んだぞ!?分かっててそれをやっているのか!?」


「妻...ですか?それは、おかしいですね。エリーからは離婚したと聞きましたが?」


「そ、それは...」


「しかも、夫婦の関係が破綻していたのではないのですか?第一夫人の所には全然顔を出さず他の夫人ばかりと遊んでいたと聞いていますが...違いますか?」


「で、でも...エカテリーナは私のことを...愛していたんだ...エカテリーナは、私のことが好きで結婚したんだ!」


「思い込みなのでは?エリーがあなたのことを愛しているというのならもう戻っているはずですよ。ここにいると言うことは...そういうことでしょう。さて、侯爵様も秘書様も座って今日の話をしましょう。ね?」


リュウが侯爵とその秘書を座るように促すと二人は、嫌な顔をしながらも座った。

私とリュウはその二人の反対側に座り、恋人繋ぎしながら二人に依頼を受けることができる冒険者の説明をして、B級からS級の冒険者のリストを見せた。

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