27:未来視は危険
それから、侯爵家の子供達のことをリアムから聞いて、私はビックリした。
まさか好かれているとは知らなかったし、子供達が私のことを嫌ってないのは予想外のことだ。
あんなに厳しく接してたのにな...
五男はなんか敵意とか、帰ってほしい感じがしなかったしとりあえずは侯爵家側ではないことは確かだ。
「そうですか。それは、私も初耳ですわ。ところで、リアム様はどこにすむのですか?」
「お義母様、どうか。前みたいにリアムと呼んでください。」
「今の私達は他人です。こう呼ぶのが一番無難でしょう。」
「そう...ですか。」
「それで、どこに住むのですか?ここら辺に侯爵家の別荘はなかったような気がするのですが...」
「ギルドに行ってここらへんで家でも買おうかと思います。」
「そうですか。では、私はここらへんで失礼しますわね。」
私はそう言い、リアムの返事を待たないで足早にその場を去った。
「ただいま、二人とも。」
「お母さん!今日かえりはやいなーあと少しでご飯できるから待っててくれ。」
「ママ、今日疲れた?あと... (クンクン)、 なに?この匂い...知らない男の匂いだ!」
...キースは犬なのか?
「新しい先生の面接をしたのよ。見知った顔だったね。」
「...ふーん。」
キースの機嫌が悪そうだ。
なぜ機嫌が悪くなったのか、私も分からない。
「キース、なんで機嫌が悪そうなの?」
「...だって、こんな田舎町で同じ先生として見知った顔の人に会うってなんか運命の出会いっぽくて。」
「...やめてくれ、そんな悪夢みたいな運命の出会い。もうあの家の人間とはなるべく関わりあいたくない。」
「また侯爵家の人?はぁ...ホント、目障りだよね...消しちゃおっか?」
物騒だ。キースが言うと凄く物騒だ。
目ざわりと言ったが家ごと消すというのは少し違ってくるぞ。
「やめなさい。」
「わかった~。」
聞き分けだけはいいんだから。
タイミングよく、リロイが料理をテーブルに並べ始めた。
風魔法で食器を運んでいるので、何品かの料理が台所からテーブルに飛んでくる。
「今日はギルドの冒険者にオークの香草焼きの作り方教えてもらったんだよ。」
これがオークの香草焼き...豚の香草焼きだな。
それからしばらくして、夕食を終わらせるとキースとリロイは皿洗いをしていた。
私はなぜか家事を手伝いたいと息子達に行っても全然させてくれない。多分、ずっと前、私が皿洗いをしたときに六枚ぐらい割ってしまったのが原因だと思う。それ以来、なかなか台所にも立たせてくれないし、家事も参加させてくれない。
暇な間、私は数日前、酒場に来ていた旅人に教えてもらった未来視の魔法を使ってみた。
家の外に出て、近くの川の上で魔法円を描き魔法を唱えると、魔法円が光っていた。
誰の未来を見ようかな?考え込んでいると、横からキースが声をかけてきた。
「ママ?それ、未来視の魔法だよね。誰かの未来みたいの?」
「ん?あぁ、この前酒場の旅人にやり方を教えてもらってね。面白そうだからやってみたのよ。別に特定の相手の未来とか見たいわけじゃないわ。」
「そっかー。じゃあ、リロイ兄さんの未来、見てみようよ!」
「いいのか?」
「いいよ!いいよ!」
そうか。いいのか、では見てみようか。私の息子、リロイの未来を。
魔法を唱えること数秒、魔法円に未来のリロイの姿が映し出された。
リロイは大人っぽくなり、白衣を着ていた。そうか。リロイは大人になっても治癒師をしているのね。
リロイの隣にはリロイと似た8から10歳ぐらいの子供と幼子を抱いた優し気な女性がいる。これが将来のリロイのお嫁さんと子供達か...
『あなた、お義母さんに会いに行くわよ。』
『あぁ、そうか。よし!ルナとサンおばあちゃんに会いに行くぞ!』
リロイが向かった先は私の家、そして家に入ることはなくリロイは木の方へ歩いて行った。
木の下を見ると、そこには墓があった。
『エカテリーナ・ラインハルト この地に永眠する。』
お墓の私はこの時すでに亡くなったようだ。そうか、結構早めに死んだんだ。
というか、ラインハルト?...私が知ってる苗字ではないな。まぁいい。未来のことだ。再婚したか息子達のうち誰かが爵位を貰ったのだろう。
「う、うそ...ママが...ママが...」
キースはショックを受けているようだ。
人間、生きる者もいれば死ぬものもいる。死というのは結構当たり前のことなのだ。そんなにショックを受けることなのだろうか?
『お母さん、今日もサンとルナを連れてきたよ。お母さん、二人が生まれた時凄く喜んでたよね?...お母さんがここにいればもっと、もっと幸せなのにな......そろそろ、キースが来ると思うから、子供達とここらへんで遊んでるね。』
リロイはそう言い墓から少し離れて子供達と遊んでいた。
そこで占いの魔法円は消えた。
キースはショックを受けているのか、何かぶつぶつ呟きながら私に抱き着いてきた。
確かに、母親の死をこうやって知らされるのはちょっとビックリするかもしれない。




