19:どんな仕事してるんだっけ?
侯爵家の長男がうちに来て数週間たった。
最近は週一で侯爵家のうちの誰かがやってくるようになっている。正直、家にいれたくない。
っていうかあいつら暇なのか?
確か長男は次期当主でしょ?それで、次男は国が経営してる魔法研究所の研究者。三男は騎士団の隊長。四男は次男と同じ場所で働いてるけど研究者じゃなくて古代魔法の学者。五男はまだ学園の生徒で六男はたしか...引きこもってる。
侯爵は...まぁ、やるべき仕事があるけど昨日の長男の様子じゃあ、やってなさそう。夫人達も誰も働いていないと思う。私がお金を使いすぎることを注意した時も嫌味を言われたがこのままいくと赤字になり侯爵家のお金が回らなくなって侯爵が他の貴族に借金したり、領地に使うお金が足りなくなって領民の世話ができなくなり暴動で殺されるぞと脅したら使う額を減らしていたぐらいだからね。
というか侯爵家の子供達って、皆忙しいはずなのによく来るな...引っ越そうかなもう。
なんか面倒臭いし。
でも、この街にも愛着あるしな...子供達の友達もいるし、生徒もいるし。なんか自分の事情だけで子供達と友達を離れ離れにするのも気が引ける。
あーあ...どうしたもんかね。
いろいろと考えているうちに休み時間が終わり授業に戻った。
「皆、今日は召喚の勉強をする。昨日習った魔法円を本見ながらでいいから床に書てね。次に~~~」
いつも通り夕方になる少し前まで生徒を教えていた。
「あぁ...終わった。疲れた。」
「あ!エカテリーナ先生!お疲れ様です!」
この学校も先生が増えた。そのおかげで、前ほど忙しくはないし生徒も色んなことを勉強できるようになった。
「お疲れ様。」
若くて優秀な先生もいっぱいいるのであと数年で引退する予定だ。
アルフィーさんは学校の校長をしていて引退のことを話した。まだ年寄りじゃないから早すぎはしないか?って止められたけどなんかもう疲れた。リロイは数週間前にちゃんとした治癒師として家の小さい治癒院じゃなくてギルドの中にある治癒室で治癒師として働いてる。キースも王国魔術研究員になることが先週決まったばかりだ。家の一階にある小さめの治癒院の方は薬の販売をしているが、販売員をしているのは人族ではなく、使い魔だ。お金もちゃんと数えられるし、お客様の対応もちゃんとできる。老後の貯えもあるし、息子達に迷惑をかけないように余生を穏やかに過ごしたい。
荷物を準備して移転魔法を使い家に戻る。
「ママー。おかえりー。」
草に寝っ転がっているキースが声をかけてきた。
「ただいま。キース。」
「お母さん!おかえり!今日は村のばあちゃんから野菜もらったからキッシュにしたよ!あとちょっとで焼けるから待ってて!」
「ただいま。リロイ」
幸せだな...子供達に引退のこと言わないと。
席に着くと野菜のピクルスの瓶がダイニングテーブルの真ん中に置いてあった。
キースもいつの間にか席についてリロイを待っていた。
「できた!」
魔法で器用にキッシュの入ったフライパンを浮かしながらテーブルにゆっくりと置いた。
適当に切ったキッシュを自分の皿にのせてお祈りをする。このお祈りは豊作の女神と生の女神に対して行うものだ。前世でやってた”いただきます”的なもの。
皆がキッシュを食べた始めたのを見てとりあえず引退の話をする。
「二人に話があるんだけど、聞いてちょうだい?」
二人が一回フォークを置いて私の方を見た。
「お母さんあと、二、三年で教師を引退しようと思ってる予定よ。」
『えっ!』
リロイは目を見開いてびっくりしてるけどキースはなぜか凄く嬉しそうだ。
「引退するってことは、もうお仕事に行かないってことだよね?」
「まぁ、そうなるわね。」
「じゃあママとずっと一緒にいれるね。嬉しいな。」
なんだ、そんなことか。可愛いな。でも十三歳でまだ私とべったりだとマザコンって言われないかな?
「そうなのか!?じゃあお母さんギルドの治癒室で手伝ってくれよ!最近他の村からも患者が来て大変なんだよな。俺一人じゃ時間かかるし。」
...どうやら引退後はギルドでリロイの仕事を手伝った方がいいらしい。
「わかったわ。引退したら手伝うわよ。」
「えぇーリロイ兄さんズルーい。じゃあママも僕の助手になってよー。僕王都の研究所で働くんだよ?寂しいな~。」
私はどうすればいいのか。地元に残るか王都に行くか...




