13:友との再会
侯爵家の次男に見つかって早三週間。それから何の動きもなかったから多分もう来ないのかと思っていた。
安心していると今度は王都の貴族たちが良く使うお忍び用馬車が学校まで来た。本当に貴族って「身分隠します!でも馬車は自分の家紋がついてないけど貴族が良く使う馬車使います!これで貴族ってばれないよね!家紋がないのだから!」って感じで家紋がついてない馬車使うから貴族ってバレバレなんだよね...
「ハァ...皆、さっき教えた魔法の練習してて、先生お客様と会ってくるから。」
『はーい!』
生徒が魔法から練習している練習場から離れて馬車の方に向かって歩いた。
馬車から人がちょうど出てきた...ってあれ?あいつじゃない?
馬車から出てきた人も私に気づいたようだ。
「お!リーナ!久々だな!田舎での生活はどうだ!」
私をリーナと呼ぶ人は片手で数えるぐらいしかいない。
「コニー久々だな!」
この男はコニーウェル、私もプライベートではこの男のことをニックネームで呼んでいる。学生時代から仲が良い友人のうちの一人だ。
赤土のような色の髪の毛と髭は繋がっており肌は日に焼けた健康な色の肌。彼の瞳の色は彼の一族の者しか持てない翡翠色。顔も騎士団とか冒険者にいそうなイカツイ顔なのに趣味は裁縫と愛娘と遊ぶこと。しかも、こう見えても公爵で夫人も今の妻一人しかいない。これがギャップというやつか。
コニーの妻は小柄でとても可愛らしい女性だ。ちょっと癖は強いがそれも彼女の良いところだと思う。その娘も彼女の遺伝子を強く受け継いでて小動物のような可愛らしさがある。でも、コニーの遺伝子もところどころ受け継いでいるみたいで、髪の毛の色と瞳の色はコニーと同じ色。
「五年も連絡取れなくて心配したんだぞ!私の妻もお前のことが大好きだからな...泣いて俺がすっごく大変だったからな!」
...君の妻が私のことが大好きなのは結構有名な話だったね。なんかお疲れ様。
「あぁ、こんな田舎だけど今度連れてきたらどうだ?私と息子達で歓迎するよ。」
「なっ!なっ!む、息子達だとぉー!?お前!いつの間に妊娠して子供を産んだんだ!父親は!?父親は誰なんだ!!」
相変わらずうるさいなぁ...学生時代から思ってたんだけど、こいつすべてに対してオーバーじゃない?私が婚約した時も「おぉ!凄いな!お前婚約したのか!おめでとう!!俺は嬉しいぞ!感動だぁああ!」とか叫びだすし、コニーの妻が私と仲良くしてるのを見て「俺は嬉しいぞ!友が妻と仲良しなんて!なんてすばらしい光景なんだぁあああ!!」とか叫びながら泣くし...その感情豊富な感じ私にちょっとだけ分けてほしい。
「あぁ、質問多い。今この村で先生しててさ、今授業中なんだよ。ちょっと待っててくれ。あと少しで終わるから。終わったら私が住んでる家に行くか?息子達もいるから美味しいご飯食べられるぞ。」
「そうか!親友の息子達に会っとかないとな!でも、お前相変わらずメシだけは作れないんだな!」
私は料理ができない訳ではないがリロイと比べたらまずいの部類に入るのかもしれない。
リロイが作る料理はとても美味しい、まるでお母さんの料理って感じの味と出来で凄くホッとする。
「じゃあ、早く授業終わらせて来い!俺は馬車の中で待ってるぞ!」
「あぁ。」
そう言い私は学校に帰って授業を続けた。
子供達には
「先生!あのクマみたいなおじさんとお友達なの?」
と聞かれて笑いそうになった。クマか。確かにあれは森の中とか歩いてたらクマって勘違いする。
「そうだよ。先生の親友なんだよ。」
しばらくして授業が終わると馬車の方に歩いてコニーを呼んだ。
「お前の家に行く道教えろ!せっかく馬車があるんだから乗っていくぞ!」
コニーにそう言われ、御者に道を伝えるとコニーが座っている馬車の中に入って反対側に座った。
「コニーお前が来たのは私に会いに来ただけじゃないだろ?」
「流石だな。リーナ」
こういう普通のトーンで話すときのコニーは真面目な話をするときだけだ。
「実は大事な話があるんだ。今、話しておこう。侯爵家がお前のことを屋敷に戻そうとしてるみたいだ。次期当主の坊主が俺と面会してお前を丸め込む手伝いをして欲しいって話してきてな。流石に親しい友人を丸め込むっていい気がしなくてな、断ったけど。気をつけろよ。あいつお前に執着してるように見える...いや、そいつだけじゃない。侯爵家の子供達と侯爵もだ。」
侯爵って離婚した元旦那だよな?
「なんで侯爵が私に執着してるんだ?愛も何もない結婚だったぞ?」
「それがな。俺もわからん。今年に入ってお前が住んでた屋敷に頻繁に出入りしていると聞いた。あとこれは屋敷の使用人から聞いた話だけど...どうやら、なぜお前が居なくなったか分からないらしいぞ。それで、嘆き悲しんでいるとか。」
はぁ...なんか嫌な話きいた。
元旦那が関わると嫌なことしかない。




