三度、ネカフェ内で……
──ネカフェ内ドリンクバー前
「あ、ジュンさん、どうも~。また来たんですか? ネカフェ好きですね~」
「……また呼ばれて来ただけだけど、話合わせればいいのね。──あぁ、偶然だねぇ。ホント良く会うよね。1週間で3回も会うなんて、もう運命だよね」
「wwwwww じゃ、まーた来~てくーださい♪」
「はい、いーですよ。今日はどれくらいの時間?」
「えーっと……ちょっと変則ですけど~、1時間くらいに20分くらい間をあけてからまた1-2時間くらい♪」
「えっと、途中の20分は──何?」
「あ、ちょっと20分だけ用事あって一旦外に出るんですけど~、また戻ってきますので♪」
「えっと……その用事で出ていった間、待ってろ! って事?」
「い~じゃないですか♪ 漫画でも読んで待っていて下さいよ~」
「……ま、いいけど……」
「じゃ、いきましょ♪」
──ブース内
「いやぁ、まさか1週間のうち3回もここに来る事になるとは夢にも思わなかったよ」
「ジュンさん、暇人なんですね♪」
「──! 人を呼びつけておいてよく言うねぇ。呼ばれたから来たんじゃん!」
「いや~、そう言われたらその通りなんですけど、普通来ます? 余程暇人じゃないと来ないですって~」
「ま……確かに先日から長期休暇取ってるから、暫くはホント暇だけどね」
「──え? どういう事ですか?」
「いや、基本俺は1年のうち3-4カ月くらいしか働かないの。当然、休んでいる間も気晴らし程度にはやるけど、本気でやるのは3-4カ月くらいで、後は他事してる事が多いかな」
「えっと……意味分かんないんですけど」
「一応、自営になるから、ね。そこまでお金に執着ある訳ではないから、ある程度あれば暮らしていけるし。本気で動くと、自分の体力と精神力は2-3カ月しか持たないというのもあるけど、ね……」
「なんか……メチャクチャ優雅な暮らし、してません? そんな人、聞いた事ありません」
「──ん? ここにいるじゃん。ただ、最初からこうなった訳じゃなくって、当然人一倍の苦労・努力をしてるよ。例えば────」
──30分後
「へぇ~~、そんな事までやってきたんですか。それにしてもHP運営も極めるとこんな風になるんですね」
「って、なんでこんな話になってるんだろ……そもそもこんな仕事の話聞いても詰まらんでしょ」
「いえいえ、滅茶苦茶面白いですよ♪ こういう話は普段聞けないから、新鮮です」
「まー、お世辞でもそう言って貰えると嬉しいものだね、ありがと」
「──あ、ちょっともう来たみたいです。ごめんなさい、20分くらい待ってて下さい」
「ん? ま、いいけど……」
──30分後
「(ハァハァ)ただいま~、ちょっと遅くなってすいません」
「いえいえ。……仕事、上手くいった?」
「──え?」
「してきたんじゃないの? お仕事」
「……そ、そういえば、初対面の占いでズバッと私の裏の顔、当ててましたね。すっかり忘れてました──」
「あ、やっぱ当たったんだ。で、ここからは新たな推測だけど──身体は売ってないんだ。更に……お口でもやってないか。要するに手だけか。時間から推測すると、ネカフェ内かな?」
「──!! えっと、滅茶苦茶怖いんですけど……ついてきて覗いてました?」
「い~や、それくらいは簡単に分かるよ。衣服乱れてないし、口紅も出ていく前と変わりないし、時間的に外に出ていったとは考えにくいし、ちょっと観察すれば分かるかな、これくらいは」
「……そういえば、占い──いや、プロファイリングでしたっけ? 得意でしたね、ジュンさん。えっと……どこまで気付いてます?」
「いや、そこまで分かっている訳ではないけど、恐らくはネカフェを拠点としてネカフェ内でソフトな援交してるかな? 誰にも内緒で表では優等生なお嬢様で通しているかな? ──というくらいだよ、現段階で分かるのは」
「う! 既に私の秘密の7割型当ててるし……この人」
「どれくらい稼いでるの?」
「まぁ、それなりですよ。流石にジュンさん程には稼いでいないです」
「ほぉ……案外稼いでいるんだ」
「!!! 怖いですって~。なんで分かる──いや、教えてくれなくてもいいです」
「wwwwwww」
「──あれ? よくよく考えたら、最初から私の裏の顔、知ってた訳ですよね。なんでジュンさん、何も言わないんです?」
「え? どういう事??」
「いや、普通こういう事してるって聞いたら、批判したりやめさせようとしたりするじゃないですか。もしくは、ちょっと引いて距離を置いたりとか」
「あ~、そういう事? 別に仕事は自由だし、好きでやってるんならいいんじゃない? って思ってるし。そこらのマッサージ屋とやってる事、変わらない訳だし、ね。当然、誰かに強制されてやってるとかなら話は別だけど、ユキさんは違うっぽいし」
「……」
「よく立派な仕事とか汚い仕事とかいうけど、ギブアンドテイクが成り立つならそれはいい仕事じゃんって俺は考える訳。感謝されない仕事なんて星の数程ある訳だし。ぶっちゃけ、誇ってもいいくらいだよ、今やってる仕事」
「……ぅわ、ジュンさん、平気で恋人とかソープに沈めそう……」
「!!! な、何て事言うの! そ、それは絶対ないって!」
「www ありがと、です」
「──え?」
「何でもないでーす^^ それで、ね♪────」
──この後も何度か同じ様な会合を繰り返し、2人の距離は徐々に近づいていく事になる。そして──